おむすび:「大往生した」永吉さんのお通夜シーン サプライズゲストが続々 制作統括が明かす舞台裏

連続テレビ小説「おむすび」第105回の一場面(C)NHK
1 / 5
連続テレビ小説「おむすび」第105回の一場面(C)NHK

 橋本環奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おむすび」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第21週の第105回(2月28日放送)で、結(橋本さん)の祖父・永吉(松平健さん)のお通夜のシーンが描かれた。永吉にお世話になったという人が有名人も含めて続々と現れ、大ボラ吹きと思われていた永吉の自慢話エピソードが実は本当だったと分かる場面も。異色のお通夜シーンについて、制作統括を務める真鍋斎さんと宇佐川隆史さんに聞いた。

あなたにオススメ

 ◇糸島に帰って1カ月で亡くなった永吉 死因は?

 2月27日に放送された第104回のラストで、永吉が亡くなったことがナレーションで明かされた。亡くなる1カ月前まで神戸に住む息子の聖人(北村有起哉さん)のところへやってきて、2人で万博記念公園へ行ったり、家族でプリクラを撮影するなど元気な姿を見せていただけに、視聴者には衝撃が走った。

 永吉は元気そうに見えても90代で、劇中では明かされなかったが、裏設定では「老衰で亡くなった」という。

 真鍋さんは「永吉さんはかくしゃくとしているけれど、92、3歳になっています。永吉さんには元気なイメージのまま亡くなってほしいなって。眠るように亡くなっていったとお考えいただければ」と“大往生”だったと明かす。

 ◇元サッカー日本代表、糸島出身の紅白歌手も駆けつけた!

 そのため、永吉のお通夜は湿っぽくない雰囲気にしたという。永吉が「ループシュートを教えたとは俺たい」と話していた元サッカー日本代表のラモス瑠偉さんや「『紅白』で歌うた糸島出身の演歌歌手」と知り合いだと言っていた歌手の山内惠介さんも弔問に駆けつけ、ホラではなかったことを“証明”した。

 スペシャルゲストが通夜に駆けつけるくだりは、脚本の段階で根本ノンジさんが「最初から考えていた」といい、真鍋さんは「本当は、王(貞治)さんもお呼びしたかったんですけど、さすがに」と笑う。

 2002年前期の朝ドラ「さくら」にレギュラー出演していたラモスさんは、「お世話になった人のお通夜に来たという設定をちゃんとご自分の中で作られていて、スポーツ選手ですけれど、お芝居の仕事をするときにはきちんとそういう向き合い方をされるんだなと感心しました」と真鍋さんは明かす。ちなみに「さくら」のヒロインは北村さんの妻で俳優の高野志穂さんが演じていた。撮影現場でラモスさんは北村さんとそんなことを親しげに話していたようだったという。

 一方の山内さんは「糸島のご出身なので、舞台になったこのドラマに本当に出たかったと。こんな光栄なことはないですと言って、お通夜のときも一節、永吉さんの十八番を歌ってらっしゃいました。私たちもそういう形で(山内さんの夢に)関われて、参加していただき本当に良かったなと思いました」と宇佐川さんは語る。ただ、「出演する喜びが勝っていたのか、リハーサルのときにお芝居でも笑顔が結構多かったんです。あくまでお亡くなりになられた永吉さんへの弔問という神妙さを持ちつつ、演じてもらえたらというようなことをお話しながら撮影を進めました」とエピソードを明かした。

 王さんのバットやアントニオ猪木さん、引田天功さんからもゆかりの品が届いたが、本物が送ってきたのか、誰かのいたずらなのかは「謎のままです。それが“粋”ということで」と真鍋さんは笑顔で語る。

 ◇大鶴義丹と北村有起哉の2人のシーンは

 聖人の大学入学資金を岐阜の洪水で困っている小松原(大鶴義丹さん)に渡してしまった永吉だが、通夜に小松原の息子(大鶴さん二役)がお金を返しにやってきた。その場面での大鶴義丹さんと北村さんのやりとりは胸が熱くなるシーンとなった。

 土下座して援助を頼んだ父と息子の一人二役を演じた大鶴さんについては、「人生を懸けて土下座して頼む父親と、約束事を忘れないしっかり者として立派に育った息子のどちらも演じられるベテランの方としてオファーしました。大鶴さんの想像を超えた名演によってあのシーンは本当にうまくいったなと」と宇佐川さんは絶賛する。

 北村さんとのシーンは「リハーサルに時間をかけた」といい、宇佐川さんは「現場で、北村さんがすごいなと思ったのは、返されたお金を、こんなのもらうと親父に怒られると、『コラ!聖人、きさん何しよっとか!』と永吉さんのまねをしたんですよね。思わず現場で涙が出ました。おそらく親父の思いを自分が背負うんだっていう覚悟を、北村さんなりに表現されたシーンだと思って、すごく印象に残っています。本当にあのシーンを託せて良かったなと思います」としみじみ語る。

 ◇妻・佳代の“別れの言葉”はワンテイクで

 永吉の妻、佳代(宮崎美子さん)の“お別れの言葉”も印象に残る場面だった。

 「なるべく暗くなりすぎないようにということを前提にしました。『もともとあんまり家におらん人やったけん』と人には言いながら、でもやっぱり一緒に過ごしてきた時間みたいなものを感じさせる、なおかつ、シンプルな言葉で伝えたいと。笑顔で送るということがまずあって、それがふと涙に変わってくような感じで、と。あの表情はもうワンテイクで決めてましたね。おそらく宮崎さんにも達成感のようなものがあったと思います」(真鍋さん)

 ちなみに「参列者の中に実は聖人の妹もいます。あの真由子と佑衣子ですね。1970年代の回想シーンに登場した2人は、もう結婚して地元にはいなかったのですが、今回参列して親族席のところにいます」と宇佐川さんが裏側の小ネタを明かした。

 「おむすび」は3月3日から第22週「理想と現実って何なん?」に入る。病院の管理栄養士として現場で奮闘する結(橋本さん)や周囲の人々があと4週でどんな結末を迎えるのか。予告にはハギャレンの姿も見られ、どんな展開になるのか楽しみだ。

写真を見る全 5 枚

テレビ 最新記事