119エマージェンシーコール
#06 夜の闇、人の心、命の声
2月24日(月)放送分
「外国人を働かせてやってるんじゃないです。私たちが、彼らに働いてもらってるんです」──。俳優の奈緒さんと松田龍平さんがダブル主演を務めるNHKの「ドラマ10『東京サラダボウル』」(総合、火曜午後10時)の第5話(2月4日放送)では、とある介護施設での事件を通して、技能実習生として日本へとやってくる外国人労働者の環境や立場にスポットが当てられた。冒頭のせりふは終盤、窃盗容疑をかけられたベトナム人スタッフを邪魔者扱いしてきた同僚に向けて、通訳人の今井(武田玲奈さん)が放った言葉の一部である。放送後、さまざまな意見が飛び交った同回について、ドラマの制作統括・家冨未央さんに話を聞いた。
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ドラマは、「クロサギ」で知られる黒丸さんのマンガ「東京サラダボウルー国際捜査事件簿ー」が原作。約70万人の在日外国人が暮らす東京を舞台に、奈緒さんがミドリ髪の国際捜査の警察官・鴻田麻里に扮(ふん)し、松田さん演じるワケありの中国語通訳人・有木野了とのコンビで、日本社会からこぼれ落ちそうな人生を拾い上げていく社会派エンターテインメントだ。
第5話の副題は「ティエンと進」。介護施設で入居者のタブレットが窃盗される。は疑惑をかけられたベトナム人ケアスタッフのティエン(Nguyen Truong Khangさん)の取り調べを行う。
ベトナム語通訳人の今井は、ティエンの体にあざがあることを発見。外国人労働者の厳しい現状を前に落ち込む今井を有木野が慰める。真相を探るうち、鴻田はティエンが“友達”と呼んでいたケアスタッフの早川(黒崎煌代さん)にたどり着き……と展開した。
終盤、ティエンの同僚の別島(亀田佳明さん)は事情聴取の席でこう話す。
「外人が増えりゃ治安も悪くなるし、犯罪も増える。移民政策を進めたヨーロッパがそうじゃねえか。なのに日本も外人をもっと増やせ、どんどん増やせって。そしたらどうなる? マイノリティーがマイノリティーじゃなくなったら、もっと権利よこせってやかましくなるに決まってんだろ。日本で働かしてもらってる立場も忘れてよ!」と──。
話を立ち聞きしていた今井は、去り際の別島を呼び止めると、「今後のために言います」と前置きし、「外国人を働かせてやってるんじゃないです。私たちが、彼らに働いてもらってるんです。日本は人口が減って、子供が減って、今の社会を維持するための労働力も消費力も足りない。日本人だけではこの国はもうもたないんです。外国人を無理に愛せとは言わない。でも、彼らを敵視して排除しようとしても、あなたの居場所は守れないですよ。同じ社会に生きる者として、せめて受け止めなきゃ。あなたが苦しくなるだけです。日本はもう変わっていくんです」と強い口調で訴えかけた。
SNSでは別島と今井がそれぞれの立場で語った、外国人労働者に対する“本心”に視聴者は反応。さまざまな意見が飛び交い、いわゆる賛否両論となったわけだが、現実問題に対して、グッと「踏み込んだ回」と多くの視聴者が感じたのは間違いないだろう。
家冨さんも「生み出すのに相当の覚悟とパワーが必要だったシーン」と振り返る。
同シーンの前には、現状の外国人技能実習制度の“ほころび(問題)”について、通訳センターのメンバーと鴻田が議論し合う場面もあったが、家冨さんいわく「普段、言う機会もないですし、言うことを憚れる人たちもたくさんいる」制度の問題、外国人労働者の厳しい現状に切り込むにことについて、家冨さんは第5話を全9回で描く連続ドラマの“へそ”と位置づけ、「今まで(第1~4話まで)の蓄積を込めて、あそこではっきりと言うってことは、この作品をやる意義」との考えから、トライした。
劇中で今井が語った言葉は、原作マンガにすでにあったもの。今回、ほぼ同じ内容で映像化された。
家冨さんは「今井という女性が通訳人としてではなく、一人の人間としてこう思っているってことを別島に語ってくれているので、だったらドラマでも言えるんじゃないかと思えたのは大きい。それを武田玲奈さんが今井の言葉として響くように言うってことで、救われる人がいるならちゃんとやりたいなと思ったっていう。玲奈さんがものすごくバランス感覚のいい方で、玲奈さん自身が制作陣の思いを背負ってくれたことにも心から感謝しています」と語る。
一方で、「別島を立体化させることにもすごく意味があった」という家冨さん。ドラマの放送後、別島の言葉の方に気持ちが振れた視聴者がいたのもまた事実。だからこその賛否両論でもあった。
別島について「彼のイラつき、それはそうだろうと思うところって絶対にあると思うんです」と理解を示す家冨さんは、「スタッフの中でも反応はわかれました。別島の言っていることもすごく分かるっていうのが半分くらいいて。それはすごくこのことの本質であって、それくらい難しいことなんだって感じました。実は考証の先生方も、この問題に対して『すごくあせりがある』ってことを一様におっしゃっていて。10年、20年やってきても何も変わらないと。人の命にかかわることや運命が左右されてしまうことに対して、何も言わないままでいるのはものすごい気持ち悪いんで、だから今回やってみようと思ったんです」と話した。
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