べらぼう:主演・横浜流星の役者としての“すごみ” 演出も「勉強不足は一瞬で見抜かれる」と勝負の気持ちに

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主演・横浜流星さん (C)NHK
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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主演・横浜流星さん (C)NHK

 横浜流星さん主演の大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合、日曜午後8時ほか)の第7回「好機到来『籬の花』」が、2月16日に放送される。前週第6回「鱗剥がれた『節用集』」に続き、演出を担当した深川貴志さんは「蔦重(横浜さん)が、どんどん本の世界に入っていく」といい、「何かをやろうとすると抱いてしまう苦さをどう乗り越えていくかが見どころ」と語る。そんな深川さんが感じた横浜さんの役者として“すごみ”とは……?

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 ◇ストイックな横浜流星 「考えすぎても表現できているのがすごい」

 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は64作目の大河ドラマで、日本のメディア産業やポップカルチャーの礎を築いたとされる蔦屋重三郎(略して“蔦重”)の生涯を描く。脚本は一昨年、NHKで放送され、大きな話題となった「ドラマ10『大奥』」などで知られる森下佳子さんが手掛けている。

 大河ドラマで初めて描かれるのは、華やかな町人文化が花開いた江戸中期で、主人公・蔦重が若々しくてエネルギッシュなのも特徴だ。深川さんは「これまでの大河ドラマの主人公の中で、いちばん人に会っている主人公だと思っていて」と印象を明かす。

 「当時の吉原には1万人ほどが暮らしていたと言われているのですが、その人たちとも会うし、市中の人たちとも会う。台本上ではひょんなことから田沼意次と会ったりと、立場関係なく、ものすごい数の人と会うのが蔦重。それだけの人と会ってやっていけるバイタリティーについては、横浜さんご本人も最初から意識的で、蔦重を通して、今までの横浜さんの作品とは少し違う横浜さんが見えるのかなと思っています」

 深川さんから見た横浜さんは「惚れるというか、かっこよさだけじゃないというか、取り組み方がすごいストイック」な役者だという。

 「一緒に台本作りをしていないはずなのに、一緒に作ったような感覚になるときがあるんです。あるシーンに対して、『こういうせりふがあるのだけど、ここでそのせりふを言うために、ここ(手前の別のシーン)でこう感じておきたいよね』みたいなことを、これほどしっかり考えてくる方がいるんだなと。自分が出ていないシーンもよくご覧になっていますし、考えすぎると良くないこともあるのですが、考えすぎても表現できているのが、すごい」

 横浜さんのアドリブで、蔦重が、中村隼人さん扮する長谷川平蔵宣以の前で歌舞伎の「みえ」を披露したシーンを例に、「いろいろな人に自分のアイデアや、やってみたいことをどんどん伝えてくれるのが横浜さん」と説明。

 「最初に演技するのを見るのが楽しみですし、こんなに考えていらっしゃるなら、こっちも恥ずかしい仕事できないと毎回、背筋が伸びる思い。勉強不足は一瞬で見抜かれるので、“勝負している”感じがしています」

 ◇作中にたびたび登場する「吉原の闇」 闇を描かないと「光は見えない」

 改めて、深川さんを含む、複数いる演出陣の共通認識は「主人公はスーパーマンじゃないってところ」だという。

 「なんでも解決できる特殊能力を持った人ではなく、何も持ってない普通の人が主人公というのが共通認識。ただ吉原で生まれて、吉原の苦しいところを背負って、良くしていこうという思いが根底にあるのが、演出陣が持っている意識。平蔵を頼ったり(カモにしたり)とか、主人公らしからぬ行動もあるかもしれないのですが、ただ彼の正義として正しいというか、『清濁併せのむ』部分はあって、その正義はいろいろな方向性を見せるので、楽しみながら演出しています」

 作中にたびたび登場する「吉原の闇」については、「何事にも二面性があって、光の部分があれば、闇の部分もある。闇を描かないと光は見えないだろうし、逆もまた然り」と考える。

 「暗い部分をキチンと描くことで表現できる、伝えることができると話していますので、撮影するときは『楽しいだけでいいのか』ということはいつも考えています。ですが、個人の思いとしては、本当に見てくれる皆さんに楽しんでもらって『あっという間の45分だったな』と言ってもらうのが理想です」

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