海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
俳優の堺雅人さんが主演を務める日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(TBS系、日曜午後9時)。8月6日の第4話で、迫田孝也さん演じる丸菱商事の山本巧が、テロ組織「テント」のモニターだったことが判明し、堺さん演じる乃木憂助によって命を落とした。迫田さんに撮影を振り返ってもらった。
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面白すぎて一気に読みました。作品自体に吸引力があり、とても惹(ひ)きつけられたのですが、読み進めていくうちに「俺は死ぬんだな…」と気付きました(笑い)。最近、途中で死ぬ役が多かったので、今回は最終話まで完走したいなと思っていたのですが……。
でも、日曜劇場で、福澤(克雄)監督の作品で、あんなにインパクトのある最期を遂げられて俳優として幸せです。
テロ組織に加担しているエリート商社マンというのは、参考になるような体験もないですし、台本を読んだだけでは、リアリティーのある役を作リ上げるのに苦戦しました。
しかし、僕が台本を読んで浮かんだ疑問に対して、福澤監督がすべて的確に答えてくださったので、裏設定や山本のバックボーンなど、少しずつ理解していくことができました。
山本自身、具体的な何かがあって日本に敵意を向けるわけではないんです。ただ、世の中がこれだけ情報過多の中で、日常のストレスや疑問が積み重なった所に、裏組織の情報が引っかかった。それで傾倒していってしまったのではないかと自分では解釈しています。
第3話でサーバールームからデータを盗むシーンでは、山本は乃木を陥れようと思っているわけではなく、自分が太田梨歩(飯沼愛さん)に仕組ませたトラップに、乃木がたまたまハマッてしまったことへの罪悪感があるという役作りをしています。もちろん警察の捜査に食い込むことで、情報を得ようという企みもありましたが、誤送金された時点で山本の役目は終えているので、乃木を助けようとするのは本心。決して敵ではないという感情で演じていました。
実は僕もモンゴルに行っているんです。第4話で乃木と黒須が山本を追い込むシーンなのですが、実際に飛行機のそばで撮影しました。あと、4話だと、やはり最後の橋のシーンですね。厳重すぎるぐらいの命綱を付けて撮影をしましたが、とても高い場所で風も強かったので、かなり怖かったです。
また、第3話の皇居前で乃木と山本が話すシーンも印象的でした。島根県の松江城の前で撮影したのですが、歴史好きの僕としては、あのような場所へ行くととてもワクワクしました。撮影前に少し時間があったので、辺りを探索することもできました。
キャストだけではなくスタッフの皆さん全員が“福澤監督が描きたいものを、絶対に表現しよう”というエネルギーで繋がっていると感じました。
監督は、どういう画が欲しいのか、求めているものをとても的確に伝えてくださるので、僕はそこへ向かって真っすぐに突き進んで、ただひたすらに演じていました。
堺さんとは台本を基にセリフを読み解きつつ、つじつまを合わせながら、乃木と山本の描かれていない歴史を共通認識として増やし、関係性を作っていきました。
今回、久々の共演でとてもうれしかったのですが、僕?としては何年たっても堺さんは主君なんです(NHK大河ドラマ「真田丸」で主従関係で共演)。なので、撮影が始まるまでどういう顔をしてお会いしようかと勝手に一人で悩んでいました。同期の役で、タメ口がきけるのかと(笑い)。
また、堺さんも歴史がお好きなので、撮影の合間にはプライベートで訪れた名所の話などをしてくださって。「あの城は真田幸村にゆかりのある武将が築城に関わっていた」など盛り上がりました。
今後も日曜の夜、皆さんはテレビの前で必ず声が出ることになると思います。それぐらい面白い展開が続きますので、日曜の夜に盛り上がりながら観ていただけるとうれしいです!
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