解説:蘭子の恋も気になる「あんぱん」 豪ちゃん役の細田佳央太の魅力 責任感の強さが役に直結

連続テレビ小説「あんぱん」で原豪を演じる細田佳央太さん (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」で原豪を演じる細田佳央太さん (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)。本作で、ヒロイン一家(朝田家)の次女の蘭子(河合優実さん)が恋心を抱いている相手とされる、若き石工・原豪を演じているのが細田佳央太さんだ。「あんぱん」で朝ドラデビューを果たした若手俳優の魅力とは、果たして。過去のインタビューなどからひもといてみたい。

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 ◇“町田くん”から「ドラゴン桜」“健太くん”経て、大河で“壮絶最期”

 細田さんは2001年12月12日生まれ、東京都出身の23歳。映画「舟を編む」の石井裕也監督がメガホンをとり、安藤ゆきさんの同名マンガを実写化した「町田くんの世界」(2019年)で、1000人以上が参加したオーディションを勝ち抜き、主人公の“町田くん”を射止め、映画デビューを果たしている。

 2021年4月期の連続ドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)では、髪を丸刈りにし、体重も約12キロ増量と、“町田くん”の頃のひょろりとした姿とは大きく異なる体形で、昆虫が大好きな心優しき“健太くん”を好演。高い評価を得ると、翌2022年1月期の「もしも、イケメンだけの高校があったら」(テレビ朝日系)でドラマ初主演を飾るなど、順調にステップアップしてきた印象だ。

 そんな細田さんがさらに知名度を高めたのが、2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」だ。

 細田さん自身、同作が初の大河ドラマで主人公の家康(松本潤さん)と瀬名(有村架純さん)の息子・松平信康に扮(ふん)した。

 信康は苦労を重ねた両親の姿を幼いころから見ており、父を支え、家族を守り、徳川家のために強く生きようとする、心優しき勇敢な青年だったが、時は戦国。殺し合いが続くことに心を痛め、いつしか“闇堕(お)ち”。その後、慈愛の心で結びついた「大きな国」を作り上げるという、母・瀬名の“壮大なはかりごと”に加担するも、勝頼(眞栄田郷敦さん)の裏切りにより、追い詰められると、瀬名と同じく自ら死を選ぶ。

 信康の真っすぐさは、同時に危うさでもあったが、その最期は、平岩親吉(七之助、岡部大さん)から刀を奪い、自らの腹に突き刺すという壮絶なものだった。

 当時、劇中で死を迎えるのは、細田さんの俳優人生では初めてで、「他人事にはできなかった」「信康のことが好きだし、だからこそ他人事にできなくて。ずっと死にたくない、死にたくないと、僕自身が思っていました。そこから脱却するのが大変でしたし、ここまで役に入ってしまうのは初めてでした」などと振り返っている。

 ◇「期待や予想を超えなきゃいけない」 “豪ちゃん”役への思いも

 そんな細田さんは、演じることへの責任感の強さが役に直結するタイプと言えるのかもしれない。

 “町田くん”のころは演技経験ほぼゼロということもあってか、当時のインタビューで「僕が生きてきた中で使えるものは、何もなかった」と話していた細田さんだが、「ドラゴン桜」出演時には、「役に対する責任感は、どんどん自分の中で強くなってきている」と俳優として意識の変化を告白。さらには 「“町田くん”のときはとにかく必死でしたし、監督とすり合わせながら作っていて、現場で何か言われて、あたふたしてしまうことも多かったのですが。今は自分が胸を張って『この役を全うする』と言えるくらい責任感を持たなくていけないなと思うようになった」と明かしていた。

 「どうする家康」出演とほぼ時を同じくして主演を務めた「連続ドラマW-30『ドロップ』」(WOWOW)の頃にも、「責任感は、10代より増した感じがします。ある一定のラインを見られた上で『この作品をお願いします』というオファーが増えてくると、やっぱりその期待や予想を超えなきゃいけないと思う。『自分がやらなきゃいけないんだ』という責任感は、10代の時より感じるようにはなりました」と変わらぬ思いを口にしていた。

 「あんぱん」で演じる“豪ちゃん”は、ヒロイン・朝田のぶ(今田さん)の祖父・釜次(吉田鋼太郎さん)のことを尊敬してやまない、若き石工。朝田家の一部屋に住まわせてもらっていて、のぶ、蘭子、メイコ(原菜乃華さん)の三姉妹のことは幼い頃からよく知っている。足の遅さは“町田くん”並み(まさかのオマージュ?)だが、絵に描いたような実直キャラの好青年で、“豪ちゃん”に対する蘭子の恋が実ってほしいと思っている視聴者も多いはず。

 細田さんは今回の役について「豪は決して口数が多い子ではありません。そういう意味では、にぎやかな朝田家とは対照的に見えるかもしれませんが、彼自身の心はしっかりと動いています。だからこそ、彼自身が持つ朝田家への愛情や、そのときに抱いた感情を丁寧に表現することができるよう精いっぱい努められればと思います」とコメント。

 「また、時間がたち、年齢を重ねてからの豪は人としての可愛らしさが出る場面もあるので、豪の人としての魅力を余すことなく伝えられるよう頑張ります」と語っていて、責任感の強さが役に直結する細田さんの俳優として魅力が、今後も発揮される場面が出てくるに違いない。

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