解説:かつて“福岡で一番可愛い女の子”と呼ばれ 今田美桜、朝ドラヒロインまでの軌跡 「あんぱん」で期待すること

3月31日スタートの連続テレビ小説「あんぱん」でヒロインの朝田のぶを演じる今田美桜さん (C)NHK
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3月31日スタートの連続テレビ小説「あんぱん」でヒロインの朝田のぶを演じる今田美桜さん (C)NHK

 橋本環奈さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おむすび」の放送も残り1週となった。同作に代わって3月31日にスタートするのが、112作目の朝ドラ「あんぱん」だ。「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、小松暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデルの「愛と勇気の物語」となる。その主人公(ヒロイン)・朝田のぶを演じるのは、かつて“福岡で一番可愛い女の子”などと呼ばれた今田美桜さん。朝ドラヒロインに至るまでの軌跡を、主な作品と共に振り返ってみたいと思う。

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 ◇「花晴れ」原作再現度も話題に 「3年A組」「親バカ青春白書」では…

 今田さんは1997年3月5日生まれ、福岡県出身。地元で活動後、俳優を志して2016年に上京。2017年ごろから、前述の通り“福岡で一番可愛い女の子”とのキャッチコピーと共にメディアで紹介されるようになり、舞台やドラマ、映画に起用され、グラビアにも進出と、徐々に知名度を高めていく。

 そんな今田さんが俳優として転機となった作品の一つに、2018年の連続ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」(TBS系)が挙げられる。ツインテールの美少女ながら“小悪魔”的なキャラクターの真矢愛莉を演じ、その“原作再現度”も話題になった。

 これに先んじて出演した「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」(フジテレビ系)でも、高橋一生さん演じる市議会議員と悲恋を繰り広げた天真爛漫なデリヘル嬢役を好演と、ドラマファンの間では早くから注目されていた今田さん。

 2019年の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ)では、“一軍女子”ながら闇を抱える諏訪唯月役を務め、2020年の「親バカ青春白書」(同)では、打って変わって大学デビューで友達思いの山本寛子を演じるなど、いつしか振り幅の広い演技を見せるように。

 ◇「おかえりモネ」で朝ドラ初出演 再ドラマ化「悪女」「花咲舞」主演

 朝ドラに初めて出演したのは2021年の「おかえりモネ」。今田さんが演じた若手気象予報士の神野マリアンナ莉子は、物言いは素直でストレートだが、どこか憎めない独特な存在感で人気キャラクターになった。

 テレビドラマ初主演は、2022年の「悪女 ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ)だ。30年前に石田ひかりさんが主演を務めたヒット作の再ドラマ化で、何かと比較されることも多かったはず。しかし、今田さんは持ち前の存在感と演技力で見事にやり遂げると、2023年の「いちばんすきな花」では、多部未華子さん、松下洸平さん、神尾楓珠さんと並んでクアトロ主演の一人を務める。

 今田さんが扮(ふん)した深雪夜々は、美しいルックスのせいで男性からは恋愛と勘違いされ、女性からはねたまれてしまうという経験と、母親から“女の子らしさ”を押しつけられてきたという生い立ちを持った難役だったが、これも高い評価を得た。

 すでに連続ドラマの常連となり、映画でも「東京リベンジャーズ」シリーズや「わたしの幸せな結婚」といった代表作を得ていた今田さんは、2024年の「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)でも主演を担う。2年前の「悪女」同様に再ドラマ化作品となったが、演技巧者の山本耕史さんを相棒に、ここでも“前任”の杏さんに続いて主人公の花咲舞を演じ切った。

 ◇「あんぱん」では人生の荒波をパワフルに乗り越えていくヒロイン役

 そして迎えるのが「あんぱん」だ。「東京リベンジャーズ」などで共演してきた北村匠海さんとの夫婦役で、内容的には実質、二人のダブル主演と言えそうだが、3365人の応募があったオーディションから選ばれた朝ドラヒロインとして、今田さんにかかる期待は決して小さくはない。

 演じる朝田のぶの役柄だが、高知で祖父母・両親の愛情をたっぷり受けて育つ、三姉妹の長女。県大会で優勝するほど足が速く、行動力とスピード感にあふれ、人生の荒波をパワフルに乗り越えていくヒロイン、という設定。持ち前の男勝りで勝気な性格から「ハチキンおのぶ」「韋駄天(いだてん)おのぶ」とも呼ばれ、ちょっと気が弱くて自信のない柳井嵩(北村さん)と出会ってからは、激動の時代を共に生き、どんな時も励まし、けん引し続けることに……。

 一方、今田さんの魅力といえば、なんといっても自然と視線を引き寄せる“画(え)の強さ”だ。印象的な大きな瞳と豊かな表情には、出てくるだけで画面がパッと華やかになる、または心を揺さぶられるような力がある。そんな“画の強さ”を役へと昇華できるのが、“俳優・今田美桜”の最大の武器と言っては少々大げさか。いずれにせよ、物語そのものをグイグイとけん引するような“パワフルヒロイン”を、愛らしさ全開で表現してくれるに違いない。

 ドラマは3月31日からNHK総合、月~土曜午前8時ほかで放送される。

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