池井戸潤:インスパイア作品「民王R」は「好きにやってね、よろしくね」 遠藤憲一&制作陣を信頼 “けしからんドラマ”に期待も

「民王R」の撮影現場を訪れた池井戸潤さん(左)と主演の遠藤憲一さん=テレビ朝日提供
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「民王R」の撮影現場を訪れた池井戸潤さん(左)と主演の遠藤憲一さん=テレビ朝日提供

 俳優の遠藤憲一さん主演で、10月22日にスタートするテレビ朝日系の連続ドラマ「民王R Inspired by 池井戸潤」(火曜午後9時)。池井戸さんの同名小説(文春文庫・角川文庫)を原作とし、2015年7月期に同局系で放送された「民王」の続編となるが、今作はinspire(インスパイア)作品という形で再始動。池井戸さんは「台本の表紙だけ、拝見しました(笑)」と、キャストと制作陣に一任しているという。ドラマの撮影現場を激励訪問した池井戸さん、約9年ぶりの続編に挑む遠藤さんに今作への思いなどを聞いた。

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 ◇役者人生で一番大変な作品

 総理の武藤泰山(遠藤さん)とおバカな大学生の息子・翔(菅田将暉さん)の心と体が入れ替わるという前代未聞の珍事をシニカルに、時にハートフルに描いた前作。遠藤さんと菅田さんの熱演も相まって、深夜帯のドラマながら大きな反響を呼び、「第1回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」(作品賞)や「第53回ギャラクシー賞」(テレビ部門)などを受賞した。今回は、再び総理の打診を受けた泰山が、国民の誰かと毎話ランダムに入れ替わっていく、さらに奇想天外な物語となる。

 取材日、撮影が行われているスタジオへ見学に訪れていた池井戸さん。収録を見た感想について「楽しそう! 皆さんの雰囲気が良いってことですよね」とにっこり。一方の遠藤さんは池井戸さんの来訪に「やっぱり緊張します」とかしこまりつつ「でも、気さくな先生なので、変な威圧感はないです(笑)」と話し、和やかなムードで取材はスタートした。

 自身の小説が“Inspire”された今作について「実は脚本を読んでいなくて(笑)」と、いきなりぶっちゃけた池井戸さん。「ストーリーを考えてくださいと言われて、僕は9話か10話で完結するプロットを作って『後はご自由にどうぞ!』って出したのですが、制作陣は1話ずつの連作短編形式を提案してきたんです。えっこういう風にやるんだって(笑)! すごくやる気があるなって思いました」と驚いたという。

 「ストーリーは長さの大小にかかわらず、考えるのは同じぐらい難しいんです。1話完結の物語を作るのは、単純にその話数分だけ労力が倍に……たとえば9話分だったら9倍、労力が掛かるんです。それにあえてチャレンジしてきたのは本気なんだなって。前回は深夜枠だったので、ゴールデンにきて更に力を入れて作っているなと思いました。ただ、遠藤さんの負担もその分9倍に……」と笑う。

 「俺が疲れるのはそこなんですね(笑)」と遠藤さん。9年ぶりの続編決定に「大好きなドラマだったので、マジ!? 面白そう!って前のめりになりました」と喜んだというが、いざ撮影が始まると「毎回違う人と入れ替わっていくので、予想の何倍も大変。正直、役者人生でこの作品が一番大変だなって感じています」と苦笑い。「監督とプロデューサーと相談しながら、くたくたになって、壁にぶつかりながら演じています」と述べた。

 ◇制作陣の胆力が試される

 「台本の表紙だけ、拝見しました(笑)。遠藤さんをはじめキャストと制作陣を大信頼して、全てお任せしています」という池井戸さん。

 その理由について「自分の作品の建て付けをうまく使ってもらって、クリエーターが力を発揮できるのであれば、原作者として一切文句も言わないです。それで、日本の映像文化を底上げできるなら。『民王は好きにやってね、よろしくね』と、そういう一句と共にお任せしています(笑)。今回は客観的に放送を楽しみたいですね」と述べる。

 「ただ、単純なおちゃらけにしてしまったらダメだと思います」とも。「社会的視点がなかったら、ただのおバカなドラマで終わってしまう。そこは押さえた上で弾けてほしい。社会的問題を問える入れ替わり物語になっているといいなって思います」と希望する。

 これに遠藤さんは「そこはバッチリです!」と即答。「社会問題がガッツリ描かれているエンタメ作品になっています。泰山が入れ替わっていくのにも、その話ごとに必ずテーマがあるので。原型は壊れてはいないと思う。池井戸ワールドで今回も突き進んでいると思います!」と自信を見せる。

 池井戸さんは「ゴールデンなので、いろいろとゆとりがあるようですし(笑)。どこまで“けしからんドラマ”を作れるのか、制作陣の胆力が試されるなっていう気がします。楽しみです」と、遠藤さんと制作陣に期待を寄せた。

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