石坂浩二:「べらぼう」松平武元の“白眉毛”秘話 当初もっと長く「前が見えない」とカット “意次”渡辺謙とは「ほとんど阪神の話」

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で松平武元を演じた石坂浩二さん (C)NHK
1 / 38
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で松平武元を演じた石坂浩二さん (C)NHK

 俳優の横浜流星さん主演の大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で松平武元を演じてきた石坂浩二さん。今作での武元といえば、長い“白眉毛”が特徴的だが、当初はもっと長かった? 石坂さんが武元役への印象や扮装秘話、第15回「死を呼ぶ手袋」(4月13日放送)でまさかの“共闘”が描かれた田沼意次役の渡辺謙さんとの共演を振り返った。

あなたにオススメ

 ◇“保守の親分”松平武元役 特徴的な“白眉毛”は大胆に

 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は64作目の大河ドラマで、日本のメディア産業やポップカルチャーの礎を築いたとされる蔦屋重三郎(略して“蔦重”)の生涯を描く。

 石坂さん演じる武元は、吉宗、家重、家治(眞島秀和さん)の将軍三代に仕え、家治からは「西の丸の爺」と呼ばれ信頼された「老中首座」。上野国館林藩主でもあり、その官位から「右近将監(うこんのしょうげん)」様と呼ばれ、敬愛を集めるが……というキャラクターだった。

 石坂さん本人は、将軍三代に仕えた武元として「コテコテの徳川というのを出したかった」と明かす。

 「家康が作った“一つの方程式”が正しい、それを継承していくのが自分の仕事だと思っている。そこへ新しい勢力というか、米本位から金や銀、貨幣本位にするべきだと声高らかに叫んでいるのが意次」

 武元は、“新鋭・意次”と相対する“保守の親分”という位置づけで、演じるにあたっては「古い芝居」を意識した。

 「『古い芝居』というと変な言い方になりますが、今風に手を使わない、あまり動かない。せりふも理屈で切れるのではなく、なんとなく昔風に流れで切れていく、それで同じことを何回も言っている。それを表現できればいいかなと思いました」

 武元といえば登場から話題になっていたのが、演じているのが石坂さんだと「言われないと気付かない」ほどの扮装。その大きな特徴となっていたのが、長い“白眉毛”。

 「台本を読んだら『あの白眉毛め』とか書いてあって、だったらそう言われるくらいのものをつけないといけないんじゃないかという話になって、チーフ演出の大原(拓)さんに相談したら、『大胆にやった方がいいです』となって作っていただきましたが、扮装合わせで実際につけてみたら、前が見えないんですよ(笑)。それで長かったのを少しずつ切って、片目は長くでもいいけど、もう片方は短いほうが、左右同じじゃなくてもいいですよねって感じで、長いのを作ってからだんだんと短くして完成したもの。振り向くとき、横の視界が遮られるので不安もありましたが、今は懐かしくて、記念に(白眉毛を)持って帰ろうかと思っています(笑)」

 ◇武元の最期への見解 シーンの合間に渡辺謙とは…

 第15回「死を呼ぶ手袋」では、十代将軍・家治(眞島秀和さん)の嫡男の“西の丸様”こと家基(奥智哉さん)が鷹狩りの最中に突然倒れ、急逝。その死をめぐって、武元と意次が共闘関係を結ぶようになり、関与を疑われた意次は、これまで幾度も政策に異を唱えてきた武元によって命拾いするという展開に。しかし、その矢先、武元は……。

 石坂さんは武元の最期について「毒をもられて死んだと私は解釈しています」と話す。

 「武元はお世継ぎのこととか将軍家代々ってものをかなり真剣に考えていたと思うんですね。ですから、自分もその中に巻き込まれた感はあったと思いますし、下手をするとなんらかの形で自分も抹殺されるかもと考えていたはず。だから“西の丸様”が亡くなって、自分の存在価値がなくなってきたから毒をもられたんだと、その自覚はあったと思います」

 石坂さんにとって「べらぼう」は14年ぶりの大河ドラマとなった。昨年7月の出演発表の際には「約15年ぶりに渡辺謙さんと新しい作品でご一緒できるのが楽しみです」とも語っていた。

 また石坂さんと渡辺さんはプロ野球・阪神タイガーズのファンという共通点も。「シーンの合間はほとんど阪神タイガースの話しかしておりません」と認める石坂さん。改めて渡辺さんの印象を聞くと……。

 「渡辺謙さんって声の使い方がうまい、微妙に変化させるのがお上手なんですよね。実際にしゃべっている声というのは、(NHKのスペシャルドラマ)『坂の上の雲』のナレーションでもそうでしたが、後ろに優しさがある声。それをうまくコントロールしていて、悪く聞こえるようにしてみたり、聞いていて面白かったです」

写真を見る全 38 枚

テレビ 最新記事