薬屋のひとりごと
第38話 踊る幽霊
4月11日(金)放送分
堀越耕平さんの人気マンガ「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」の公式スピンオフが原作のテレビアニメ「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」で、アーティストのこっちのけんとさんの書き下ろしの新曲「けっかおーらい」がオープニングテーマ(OP)として流れる。昨年大みそかの「第75回NHK紅白歌合戦」初出場も話題になったこっちのけんとさんにとって、初のアニメタイアップとなる。アニメやマンガが大好きで、中でも「ヴィジランテ」はアーティスト活動を始める前から大ファンだったというこっちのけんとさんに、楽曲に込めた思い、制作の裏側を聞いた。
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「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」は、古橋秀之さん脚本、別天荒人さん作画のマンガで、集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で2017~22年に連載された。「僕のヒーローアカデミア」本編の数年前の日本を舞台に、人々に認められ活躍するヒーローの裏側で、誰にも認められずとも誰かを救わずにはいられない非合法(イリーガル)ヒーロー・ヴィジランテたちのドラマが描かれる。
“ヒロアカ”も「ヴィジランテ」も愛読していたというこっちのけんとさんは、その魅力を“リアルさ”だと語る。
「例えば、火の“個性”を使えるヒーローの場合、火を使いすぎたら体が熱暴走しちゃうから、多少なりとも冷やして戦わないといけない、みたいなリアルな部分。ヒーローもヒーローで苦労しているところがしっかり描かれているのが、魅力的に映っていたので、めっちゃ好きになりました。“個性”と実生活というので面白いのが、“ヒロアカ”の鉄哲徹鐵(てつてつてつてつ)というキャラクターで、体が鉄になって強くなるんですけど、日常生活でちゃんと鉄分をいっぱい取ってるとより硬くなるという。鉄哲徹鐵は名前も含めて大好きですね。アニメで、プレゼント・マイクの声で『鉄哲徹鐵!』と紹介されているのが最高でした。ぶっ飛んでますね」
鉄哲徹鐵も含め、マンガではマイナーなキャラクターを好きになることが多いそうだが、「ヴィジランテ」に関しては主人公の灰廻航一が大好きだという。「なんでだろう?と改めて自分で思った時に、『ヴィジランテ』がスピンオフということもあって、元々主人公になれなかった人の物語だなと。それでより好きになって、めっちゃ感情移入しちゃうんですよね」と語る。
こっちのけんとさんは、アーティスト活動を始める前、一度会社員として職に就いたものの、体を壊して退職した経験がある。
「僕も最初社会人になって、みんなと社会に出れるというか、ヒーローになれると思っていたんですけど、結局できなかった。そこで灰廻と同じような感情が芽生えていたところもあって、すごく感情移入できる。あとは、『逃げたい』という気持ちがあるのに、でも『人のことは助けたい』という矛盾した感情が、一人の人の中に入っている感じがすごく共感できるんですよね。『僕のヒーローアカデミア』も、ヒーローの苦労は描かれているんですけどでも、それでもやっぱ強いというか、象徴のイメージなんですけど、『ヴィジランテ』の中でも特に灰廻航一は『ヒーローって言えるのかな?』みたいな。『弱いもんな、あいつ。でも、あいつには救われるもんな』という不思議なバランス感覚があるところが好きですね」
「ヴィジランテ」のOP「けっかおーらい」はどのようにして作られたのだろうか。
「僕の人生の経験と『ヴィジランテ』との掛け算で出したのが、『未熟』と『でも人の力になりたい』というテーマでした。僕自身も未熟だけど気がついたら人の役に立てていた、みたいな人生だったので、そこに焦点を当てて広げていきたいなと思って始めました」
その掛け算は、楽曲のAメロ冒頭の「好印象なノービス から転がるスターに ばらまいた優しさの外に 手を伸ばして」という歌詞に表れているように感じる。
「すごく不思議なんですけど、マンガを最終巻まで読んで灰廻航一の人生を4行で表すとしたらどうなるだろう?と思って書いたら、割と自分の2024年に当てはまった(笑)。ということにすごくびっくりして、そこから自分の経験値も生かせるかもしれないと思って、どんどん作り上げていった感覚でしたね」
「身の程にも合うその日を願うから今」という歌詞にも、自身の経験が反映されているという。
「今は身の程に合っていないけど、いつか自分のやりたいことと、自分の能力が身の程に合う日を願って、今はとりあえず走り続けるというのが、結構僕の経験、人生にも言えるなと思っていて。プラス、灰廻の人生を思い浮かべてみても、その感覚というか。もし、大きい敵を倒せたとしても、灰廻航一は何も変わらないというか。僕で言うと、紅白歌合戦に出させていただく、アニソンを歌うみたいなことがあったとしても変わらない。どこかへっぴり腰の可愛い感じみたいなものが、自分の理想でもある。そこは結構歌詞に反映したと思いますね」
タイトルの「けっかおーらい」は、こっちのけんとさんのこれまでの人生の一つの結論でもあるという。
「今までのいろいろな失敗とか、これで良かったのかな?と思うことも、結果的には、僕にとっては本当に良かったというか、結果オーライになった。救う側に自分がなれた時に、悩んでいた経験があるからこそ、同じ経験をした人のためになれるというか。そういう意味で、やっぱり『結果オーライだな』という結論に至ったので、このタイトルにしました。平仮名のタイトルにしたのは『未熟』というのを伝えたかったからです。漢字やカタカナ、英語にすると格好良すぎるというか、マッチョになっちゃうので。背中で語る格好よさよりは、灰廻航一みたいにちゃんと振り返って目を見て助けるタイプがいいなと思って、平仮名にしました」
主題歌のオファーを受けた際、特にこうしてほしいという要望はなかったそうだが、「この作品のアニソンを作るとなった時に自信はなかったんです。でも、客観的に見た時に、この作品で主題歌を作るとしたら合いそうな人は誰だろう?と思った時に自分が思い浮かんで。自信はないけど、応えられる気はするみたいな感覚が湧いて、作品愛で自由に作りました」と語る。
タイアップということで、普段の曲作りとは違ったところもあったという。
「これまでは曲を作っていて途中で行き詰まった時には、自分の卒業アルバムやスマホにメモしている独り言みたいなものを読んで、曲に入れるということをしていたんです。絵を描く時のパレットみたいな感じで、自分のメモや卒業文集を用意しているんですけど、今回それがマンガになって。ちゃんとストーリーもあるし、完結もしているので、何周も読むみたいな。しかも、読んでいたら楽しくなって曲を作らなくなる、みたいな(笑)。マンガを読みながら、頭に歌詞やメロディーが浮かんでくるのは、すごく不思議な感覚でしたね。よく『降ってくる』と言いますけど、それよりは染みてくるというか。じわーと入ってきて、『あ、作ろう』みたいな感覚でしたね」
こっちのけんとさんは、「けっかおーらい」を自信作とも語り、「僕の中では、作品と合っているんじゃないかなと思えたのがすごくうれしくて。アニソンを作ることがそもそも初めてだったので、合う・合わないが絶対存在して、自分はどっちなんだろう?と思っていたんです。それが自分の中で確認できたのが面白かったですね」
最後に「『ヴィジランテ』は、マジで最高というか、見ていて面白いし、興味深いという意味でも面白い。それが合わさった作品なので、ぜひぜひ僕の楽曲と共に楽しんでほしいです。自分の人生を振り返りながら、人生間違っていなかったな、結果オーライだったなって思いながら見ていただけたら幸いです」とメッセージを送った。
「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」オープニングムービー
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