3月31日にスタートする2025年度前期の連続テレビ小説（朝ドラ）「あんぱん」（NHK総合、月～土曜午前8時ほか）で、主演を務める今田美桜さん。「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさんの妻・暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶを演じる。のぶの幼なじみで、やがて夫婦となる柳井嵩を演じる北村匠海さんと夫婦役を演じる手応えや、舞台となる高知県ロケの思い出を語ってもらった。

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　◇北村匠海とは「息の合った演技ができている」

　「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん（1919～2013年）と、暢さん（1918～1993年）夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。脚本は、「ドクターX～外科医・大門未知子～」（テレビ朝日系）シリーズなどで知られる中園ミホさんが手掛ける。

　今田さん演じるのぶは、行動力とスピード感にあふれ、人生の荒波をパワフルに乗り越え、持ち前の男勝りで勝気な性格から「ハチキンおのぶ」「韋駄天おのぶ」とも呼ばれるキャラクター。のぶの幼なじみで、後に夫婦となる嵩とは「とにかく性格が対照的」と話す。

　「第1週で、小学生ののぶが嵩に『うちが守っちゃる』という言葉をかけるんです。最初はのぶのエネルギーで嵩を引っ張っているように感じますが、のぶは嵩がいるから強くなれている部分もあるし、のぶが困ったら嵩がさりげなくスッと手を差し伸べてくれる。2人にしか分かり合えない何かがあるんですよね。性格は真反対だけど、あんなふうに支え合える関係、性別が違ってもこれほど分かり合える関係ってうらやましいなと思います」

　嵩を演じる北村さんとは、映画「東京リベンジャーズ」シリーズなどで共演し、「あんぱん」が6回目の共演となる。今田さんは「これまでは何度も命を落として救ってもらう彼女役などで北村さんと共演したのですが（笑）、今回は幼なじみであり、夫婦になっていくという役どころ。今まで以上に距離が近い役柄だったので、相手役が北村さんということにとても安心感がありました」と明かす。

　「北村さんって本当に優しくて、いつも俯瞰で見ていて、誰かが困っていたらすぐに気付いて助けてくださる方。そこは嵩と通ずる部分もあるし、そういう方だからこそ、私も楽に肩の力を入れずに演じられています。元々そうなんですけど、これまで以上に遠慮がなくなったというか、何を投げても受け止めてくれるので、今までよりさらに息の合った演技ができているのかなと思います」

　◇高知県ロケを振り返って

　今田さんは、昨年9月8日に北村さんと共に高知県でクランクイン。「熱々の太陽が照らす中、走るシーンからスタートしました」と振り返る。

　「ロケをしていると高知県の皆さんがたくさん差し入れを持って応援に来てくださいました。のぶが走っている道のそばに川があって、そこに畑があるんですけど、今回の撮影のために、高知県の皆さんが耕して、そばの実を育ててくださったんです。そのおかげで、高知県の広大さを表す素晴らしいシーンになったと思います」

　高知県の人々の応援や期待を受け、今田さんは「高知の皆さんの温かさも東京に持ち帰りたいという気持ちで今、撮影をしています」と話す。

　「高知県の皆さんの温かさに故郷のような空気を感じました。初めましてなのに温かく迎えていただけたことや、『いつでも帰っておいでね』という雰囲気を感じて、きっと暢さんとやなせさんも、そんな高知に住んでいらっしゃったからこそ、『アンパンマン』という多くの人に愛される作品を生み出したのだろうなと感じました」

　今田さんは、やなさせんの絵本絵画や絵画作品を展示する美術館「香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」を2回訪れたという。

　「ミュージアムに入ると、親子で訪れている方がたくさんいらっしゃって、改めて『アンパンマン』は幅広い世代に愛されているんだなと感じましたし、『あんぱん』もそうであるといいなと思いました」

　やなせさんの作品が貯蔵されている貯蔵庫も特別に見学させてもらったといい、「『アンパンマン』だけではなく、他の作品も貯蔵されていたのですが、スタッフの方がとても楽しそうにやなせさんのことを話されているのが印象的でした」と回顧する。

　「そのスタッフさんの生き生きとした表情を見て、『きっとやなせさんもこういう方だったんだろうな』と感じました。ミュージアムで感じたことを生かして、最後までのぶを演じていきたいと思います」