加藤渉×新祐樹:「怪獣8号」インタビュー レノと伊春 「負けるわけにはいかない」という気持ちで

「保科の休日」の一場面(c)防衛隊第3部隊(c)松本直也/集英社
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「保科の休日」の一場面(c)防衛隊第3部隊(c)松本直也/集英社

 集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中の松本直也さんの人気マンガが原作のアニメ「怪獣8号」の第1期総集編が、3月28日から3週間限定で劇場上映される。同作は群像劇としての魅力もあり、主人公・日比野カフカ/怪獣8号以外のキャラクターの活躍、成長も大きな見どころになっている。第1期では日本防衛隊員の市川レノ、古橋伊春の友情や成長、葛藤が描かれ、レノと伊春が強敵・怪獣9号と対峙(たいじ)するシーンも話題になった。レノ役の加藤渉さん、伊春役の新祐樹さんに第1期を振り返ってもらった。

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 ◇怪獣9号との戦いの裏側

 ーー第1期を終えて感じていることは?

 新さん 伊春の人間くささをお芝居で出すことを意識していて、レノという競い合う仲間がいて、負けるわけにはいかないという気持ちでした。加藤君に対してもそう思っていました。

 加藤さん アニメで新さんが演じることで、伊春というキャラクターがより膨らんだように感じていました。レノとして、一番近い関係はカフカだと多くの方は思うかもしれませんが、個人的には伊春が一番接しやすい存在でした。最初に話しかけられるところからまず距離感が近かったです。音としてのコミュニケーションで、こういう人なんだと最初から受け取ることができましたし、レノは少し引き気味でしたが、気安く接することができる関係になっていきます。さらに、怪獣9号との戦いで、二人で死線をくぐりぬける。アクションだけではなく、人間関係の描写が作品の魅力だと改めて感じています。

 ーー怪獣9号との戦いは第1期の熱いシーンの一つです。

 新さん 怪獣9号役の吉野(裕行)さんと3人で収録しました。我々が戦っても吉野さんに全然通用しないんです。

 加藤さん 吉野さんは大先輩で、我々は命を懸けて向き合うけれど、伊春とレノの攻撃と同様に、怪獣9号には、全く届いてない。

 新さん 響いていないんだよね。

 加藤さん 我々の演技が吉野さんに響いているかはわかりませんが、僕としては、届け!貫通させてやるぞ!と試行錯誤するけど伝わらないというのは感じていました。

 新さん いなされているんですよね。だからより悔しさがありました。殺意を届けようとするけど、遠いんです。また、怪獣9号との戦いのようにシリアスなシーンもあるけど、コミカルなシーンもあって、そのギャップを作ろうともしていました。コミカルなシーンも好きです。

 加藤さん 印象的だったのが宴会のシーンのガヤです。アドリブで新さんが巻き込んでくれてできました。

 新さん あのメンバーの中で引っ張るのはムードメーカーの伊春ですしね。伊春は自分に対してコンプレックスがあり、周りに置いていかれるようにも感じています。そういう人間くささを感じるシーンです。

 加藤さん お調子者だけじゃないんですよね。

 新さん そこが難しいところなんですよ。

 ◇伊春によって熱さが引き出された

 ーーこれまで共演は?

 加藤さん 初めてでしたよね。

 新さん レノ然としていてびっくりしました。レノのような実直さを第一印象から感じていました。言葉の紡ぎ方がキレイで、熱いお芝居も一緒にできて気持ちよかったです。

 加藤さん 僕は、オタクとして新さんの出演作を見ていたので、キャスト発表された時、ぴったりだなと最初から思っていました。共通の友人から新さんのお話は聞いていたのですが、実際にお会いしてみると、これまで演じてきたキャラクターのイメージと違って、落ち着いた方という印象がまずありました。伊春として引っ張っていただきました。あと声量が大きくて驚きました。

 新さん そうなの?

 加藤さん そうですよ! お芝居の時は特にそうなんです。マイクに対しての音圧みたいなものがしっかりしていて、僕はそういうところがあんまりないから。

 新さん そうは思わないけど。

 加藤さん 自分では思っていて、だから掛け合いの時に、伊春に対して、自分の声の大きさを意識していました。

 新さん 全然そんな感じなかったよ。むしろ冷静なのに、響いてくると感じていました。

 加藤さん 埋もれてしまってはダメなんだけど、レノとしてはムキになってはいけないので、。伊春によって熱さが引き出されたと感じています。

 ◇伊春に遠慮がないレノ

 ーー総集編と同時上映の「保科の休日」は、保科宗四郎の休日だけでなく、レノと伊春の日常も描かれます。

 新さん それぞれのキャラクターが深掘りされています。みんな仲がいいんです。

 加藤さん 「保科の休日」というタイトルですが、レノと伊春が結構出てきます。それぞれの日常が全編にわたって描かれていて、すごく楽しいですし、演者としてもキャラクターの幅を広げていただいたような感覚がありました。

 ーー第1期で培われた二人のコンビネーションも活かされた?

 新さん 活かされていると思います。

 加藤さん レノが気を抜いて話していて、伊春に遠慮がないんです。

 新さん 関係性が出来上がっているからできることです。

 加藤さん 新さんへの遠慮もなくなっているし(笑)。

 新さん そうだね(笑)。

 ーーそれぞれのキャラクターの意外な一面も見られる?

 新さん 僕は保科が好きなんですけど、その休日も想像を超える人なんだと分かります。より好きになりました。

 加藤さん 最終的に保科に全部持っていかれます。保科最推しの人にはたまらないですよ。

 新さん 誰が推しですか?

 加藤さん 伊春かな。でも、みんな好き。小此木このみも好き。

 新さん いっぱいキャラクターが出てきますしね。

 加藤さん ハルイチや葵とか以外にも、水無瀬あかりや五十嵐ハクアなどもそろって楽しく仲良くやっているので、原作ファンとしてはうれしいですね。

 ーー総集編を大画面で楽しめるのも醍醐味です。

 新さん 音楽もすごいですしね。映画館で大迫力、大音量で見られるのが楽しみです。

 加藤さん アニメ第1期はフィルムスコアリングでしたが、総集編では繋ぎが変わるので、音楽も作り直していてそこも楽しみです。

 ーー7月には第2期の放送も控えています。

 新さん 第2期は、レノと伊春のいいシーンもあると思うので、楽しみにしていてください。

 「怪獣8号」は、2020年7月から「少年ジャンプ+」で連載中のバトルマンガ。怪獣が容赦なく日常を侵す怪獣大国・日本を舞台に、謎の生物に体を怪獣化された主人公・日比野カフカの活躍を描く。コミックスの累計発行部数は1800万部以上。アニメ第1期がテレビ東京系列ほかで2024年4~6月に放送された。アニメ第2期が7月から放送される。

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