伊藤沙莉さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(総合、月~土曜午前8時ほか)で、なくてはならないキャラクターとなっているのが、土居志央梨さんが演じている山田よねだ。男装姿でひときわ目立つ存在だが、このドラマに彼女を登場させた理由とは。制作統括の尾崎裕和さんに聞いた。
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よねは、寅子(伊藤さん)が通った明律大学の同級生。登場当初こそ、誰とも群れたがらず、のんきに見える寅子たちに強く当たったりもしたが、仲間思いの一面も見せ、視聴者の人気も徐々に高まっていった。
尾崎さんによると、明律大学女子部メンバーのキャラクターを考える上で、脚本の吉田恵里香さんから「よねは男装をしている」というアイデアが出ていたという。
「当時、働く女性が男装をしていた事例もあり、男装をしている登場人物を出すというアイデアが膨らんでいきました。さまざまな人物がいる中で、男装の人物も(吉田さんが)描きたいというのがあり、この形となっていきました」
女子部メンバーは、涼子(桜井ユキさん)、梅子(平岩紙さん)、香淑(ハ・ヨンスさん)は高等試験を受けることもできず、先輩の久保田(小林涼子さん)、中山(安藤輪子さん)は女性弁護士になったものの、道半ばであきらめることとなった。
寅子と関わりがあった女子部メンバーが続々と“退場”していく中、よねは高等試験を受け続け、雲野事務所で手伝いもするなど、今もなお、登場している。
尾崎さんは「寅子とは違うテーマを背負っている」とよねの重要性を語る。
「恵まれた家庭環境で育った寅子の主張や思いに対して、対峙(たいじ)できる、『そんなに甘いものではない』と言える人物として配置されています。よねが世の中の矛盾や不条理への“怒り”を背負っている部分もあります。おかしいと思ったら声を上げる、それがはっきりと出ているキャラクターでもあるので、皆さんに共感していただけているのかなと思います」
よねを演じている土居さんは、2020年度後期放送の「おちょやん」以来、2回目の朝ドラ出演。今回のよね役の抜てきも、「おちょやん」で演じた富士子の好演があったからだという。
「山田よねという役は、難しさもありチャレンジングな役だと思います。土居さんもご自身でいろいろと準備をしてくださっています。土居さんならこの役を演じきってくれるだろうということで依頼しましたし、信頼できる役者さん」と賛辞を送る。
寅子がよねに妊娠を伝えていなかったことで、二人にすれ違いが生じた。よねは「こっちの道には二度と戻ってくんな」と突き放し、寅子も「言われなくてもそのつもりよ」と仲たがいしたままとなっている。
戦争が終わり、裁判官を目指す道を進んでいくことになる寅子。一方のよねは、どんな道を歩んでいるのか。二人の人生が、今後交わることがあるのか、注目したい。
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