海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
俳優の趣里さんがヒロインを務める2023年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(月~土曜午前8時ほか)。第86回(2月2日放送)では、恋人・愛助(水上恒司さん)の死を知ったスズ子の絶望と、悲しみを乗り越え、母として生きることを決意する姿が描かれた。ラストシーンでは、スズ子が見る“幸せな夢”が描かれたが、その狙いについて制作統括の福岡利武さんが語った。
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第86回で、山下(近藤芳正さん)から愛助が亡くなった事実を聞かされたスズ子は、「ワテも死にたい」と口走るほど深く絶望する。そんな中、スズ子は愛助が最期につづった手紙を読み、娘のために生きる決意を固める。
娘の泣き声を聞いて我に返ったスズ子は、愛助が名付けた名前である「愛子」と娘を呼び、「お母ちゃんな、あんたと一緒に生きるで」と語りかけると、涙ながらに愛子を抱きしめた。
この直後、スズ子が「ラッパと娘」を歌いながら、愛助と自宅の縁側に並んで座り、愛子をあやす場面が映し出された。それは、スズ子が病室のベッドで見た夢で、夢の中では親子3人が幸せそうに笑っていた。
この場面について、福岡さんは「スズ子のモデルになった笠置シヅ子さんが、出産前に婚約者の吉本頴右(えいすけ)さんと舞台に立つ夢を見たそうなんです。『ラッパと娘』の夢を見たと本に書かれていました」と話し、笠置さんの実際のエピソードを参考にしたことを明かした。
「スズ子の夢をどこで見せるかについては、議論を重ねました。愛助と会えない時に、スズ子が夢で見て出産に臨むという表現もできましたが、2人が会えない時間をしっかり描きたいということで、『夢を見るなら出産の後にしようか』という話になりました」
出産後に夢を描くのであれば、「舞台で3人で踊っているような現実離れしたものではなく、日常の中で幸せをかみしめているような表現にしたかった」という。
「『ブギウギ』の世界では、ステージシーンや、歌って踊って元気を届けるスズ子の姿が大事なテーマになっていますが、生活感をすごく大切にしているドラマでもあるので、愛助との自然体な生活を夢にしようということに落ち着きました。このシーンで、スズ子が次に明るく進んでいく感じが伝わればいいなと思っています」
スズ子が子守歌のように歌う「ラッパと娘」については、「切ない展開の中でも、前に進んでいく小さな明かりが見えればと考えていましたが、イメージ通りにしっかり歌っていただけたと思います」と趣里さんの歌声をたたえる。
「この場面の状況を(演出を務めた)二見大輔が説明して、趣里さんには3人の幸せな姿をイメージしながら、自然体で歌っていただきました。スズ子が母になった雰囲気も自然と感じられて、すごく良いシーンになりました」と手応えを感じた。
福岡さん自身もこのシーンが好きだといい、「撮影している時も、周囲がみな切ない感じにはなっちゃうんですけど、趣里さんと水上さんはしっかり楽しく演じていただけたので良かったなと思います」と振り返る。
「夢の中では、赤ちゃんがいて、3人は幸せな家族になっている。お二人はそういう世界観を本当に楽しんでいらっしゃるようでしたし、実際に父と母の目線になって、愛があるお芝居をしていただきました」と実感していた。
愛助の死を乗り越え、母として娘・愛子と共に生きていく覚悟を決めたスズ子。恋人との永遠の別れを経て、母としてはもちろん、歌手としてもたくましく成長していくスズ子の活躍から目が離せない。
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