松嶋菜々子:「あんぱん」“奔放な母”登美子の行動「全部説明できなくてもいい」 嵩を「捨てたつもりはなかった」と気持ち代弁

テレビ小説「あんぱん」で“奔放な母”登美子を演じる松嶋菜々子さん (C)NHK
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テレビ小説「あんぱん」で“奔放な母”登美子を演じる松嶋菜々子さん (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)に出演する松嶋菜々子さん。「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさんがモデルの柳井嵩(北村匠海さん)の“奔放な母”登美子を演じている。「登美子を通して思うのは、自分の行動を全部説明できなくてもいいのかな」と語る松嶋さんが、これまでの放送を振り返った。

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 ◇発想が少し独特な登美子の「心の揺れを理解することが大切」

 登美子は文化的な教養が豊かであり、美しく勝ち気で利発な嵩の母。嵩が幼い頃に夫の清(二宮和也さん)を亡くす。奔放な振る舞いで、嵩を翻ろうする。

 松嶋さんは2019年度前期の「なつぞら」以来、6年ぶりの朝ドラ出演で、北村さんの母を演じるのは2回目だ。

 「今回はまた違った性格の母親なので、ご一緒できるのが楽しみでした。北村さんはすごく落ち着いていて、どっしり構えている方で。本当にこんな息子がいたらいいのになぁと思っています」

 登美子の印象については「発想が少し独特なのかなと思います」とも話す。

 「子供への愛情がありながらも、自分の人生に迷いがあったり、葛藤を抱えていたり……。演じる上では、そうした心の揺れを理解することが大切だと感じています。実際、嵩のモデルであるやなせさんの母親も、息子たちを残して姿を消したと聞きました。そうした複雑な背景を持ちながら“アンパンマン”という作品を生み出したやなせさんにとって、母親は影響力のある存在であり、発想の源だったのだろうなと」

 突然現れては周囲を振り回し、またいなくなってしまう奔放な登美子だが、松嶋さんの考えははまた別のところにある。

 「設定だけをとるとどこか冷たく感じるかもしれません。けれど、嵩に対しては母親の愛情をきちんと伝えられるよう、丁寧に演じていきたいと思っています」

 ◇のぶに責められるよりも心に響いた嵩の言葉

 4月11日放送の第10回では、ハガキの住所を頼りに登美子に会いに来た嵩を“親戚の子”と周囲に偽った上で、嵩には「ここに来ちゃもういけないの。伯父さん(竹野内豊さん演じる柳井寛)のところに帰りなさい」と追い返す登美子の姿が描かれた。松嶋さんは「どういう塩梅で演じようか迷った部分ではありました」と明かす。

 「スタッフの方たちとは、夫である清さんを早くに亡くしたことで、ぽっかりと空いた穴を埋められず、それを埋めるための愛情を求めているのではないか、だから自分のことで精いっぱいなんじゃないかとお話しして。とはいえ、時代的にも、より子供が幸せになるのであれば、(寛の家に)置いていくことも子供たちにとっては最良の選択であり、そこになじんでほしかったからずっと連絡を取らなかったんじゃないかとか。いろいろ想像しながら臨みましたね」

 第3週で、8年ぶりに町に帰ってきた登美子。4月18日放送の第15回では、のぶ(今田美さん)から、その行動を非難されるシーンもあった。

 「どういう反応をしていいのか分からなかったですね。のぶちゃんに責められたことよりも、嵩が言った『のぶちゃんは、母親に捨てられたことないだろ』という言葉のほうが心に響きました」

 なぜ心に響いたのか、「捨てたつもりはなかったので……」と登美子の気持ちを代弁する松嶋さん。

 「でも、のぶちゃんに言葉を返さなかった登美子を通して思うのは、自分の行動を全部説明できなくてもいいのかなと。気持ちの整理って全部が全部ついていなくてもいいんじゃないかなと思いましたね」

 町に帰ってきたあと、嵩を医者にしようとした登美子。松嶋さんは「自分と清さんの子ならできると信じる気持ち。寛先生や千代子さん(戸田菜穂さん)に恩返しをしたいという気持ち。自分の居心地をよくしたいという気持ち。たぶん全部本当の気持ちで、言ったことがそのままの人なのかな」と受け入れる。

 「周りから見たら支離滅裂だったり、言動に驚かれたりするかもしれませんが……。それでも嵩は、どんな時も優しく受け入れてくれるんですよね。いつも振り回してしまいますが、会うたびに、少しでも嵩が“母の優しさ”を受け取れる瞬間があるように、表現していけたらいいなと思います」

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