一ノ瀬ワタル:「対岸の家事」子煩悩なパパ役が話題 手本にしたのは2人の俳優 多部未華子の印象も明かす「とても頼りになる方」

ドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」に出演する一ノ瀬ワタルさん(C)TBS
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ドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」に出演する一ノ瀬ワタルさん(C)TBS

 連続ドラマ「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」(TBS系・火曜午後10時)に出演する一ノ瀬ワタルさん。詩穂(多部未華子さん)の夫で、チェーン展開の居酒屋の店長として働く村上虎朗を演じている。「家族のために“家事をすること”を仕事にしたい」という詩穂の思いを理解して尊重している虎朗をどのように演じているのか。一ノ瀬さんに話を聞いた。

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 原作は、朱野帰子さんの小説「対岸の家事」(講談社文庫)。詩穂が自分とは異なるさまざまな立場や、考え方を持つ「対岸にいる人たち」との交流を通し「家事」という終わりなき仕事を描く。

 --本作への出演が決まったときの心境を教えてください。

 自分の中で、TBSの火曜ドラマ枠は「女性を描く作品が多い」というイメージがありました。普段、自分は悪役を演じることが多いので、この枠を好きで見てくださっている視聴者の皆さんに受け入れてもらえるのか、不安もありましたね。しかも、多部さんの夫役ということで驚きました。

 --脚本だけでなく、原作も読まれたと伺いました。

 朱野帰子さんが描く世界に圧倒されました。原作ファンの方も楽しめる作品になっているはずです。個人的にうれしかったのは、「HiGH&LOW」シリーズ(日本テレビ系)で演じた関虎太郎という役に、帰子さんがハマっていたこと。しかも、その影響で「虎朗」という名前をつけたと聞いて、思いがけない繋がりに感慨深い気持ちになりました。

 --虎朗を演じるにあたって、どのような役作りをしていますか。

 普段の自分はキャラクター作りをする際、“潜る”ような感覚で役に入り込むのですが、今回は“if”の感覚で演じるようにしました。「もし俺がキックボクサーを続けていたら」「もし居酒屋の店長になっていたら」「もし詩穂みたいな人と結婚していたら」――そんな、“もう一つの人生”を生きるような気持ちですね。スタッフの方からも「とにかく詩穂と苺が大好きな人でいてください」とリクエストされました。

 --虎朗はとても子煩悩なパパですが、参考にされた人物像はありますか。

 自分は「このシーンの芝居が好き」という理由で、さまざまな俳優さんを尊敬しています。その中でも特に“優しい芝居”をする方が好きですね。今回は、特にお手本にした俳優さんが2人います。

 1人目は、西田敏行さん。映画「学校」の黒井先生や「学校Ⅱ」の青山竜平の演技が特に印象的で、西田さんのような温かみのある芝居ができたらいいなと考えました。

 もう1人は、桐谷健太さん。自分は5歳のときに父親を亡くし、母親が仕事に出ている環境で育ったので、大人の男性の存在があまり身近になかったんです。自分にとって“大人の男”は、柔道やキックボクシングの先生でとにかく怖い存在でした。でも、この世界に入って桐谷さんと共演したとき、「こんなに優しい人がいるんだ」と衝撃を受けたんです。子どもに対して本当に優しくて、いつも楽しませようとしている。そして家族をすごく大切にしている姿を見て、「父親役を演じるなら、桐谷さんのような人が理想だ」と感じました。虎朗を演じる上でも、その姿を意識しています。

 --初共演となる多部さんの印象を教えてください。

 多部さんはすごくすてきな方です。自分は普段、健康のために足ツボ激痛サンダルを履いているのですが、それを見た多部さんが「健康になってください(笑)」と言いながら、わざと体重をかけてきたり(笑)。そのときの笑顔がとても印象的で、「虎朗として詩穂を支えなければ」と、役への理解がより深まりました。

 お芝居に関しても、まさに百戦錬磨。たとえ自分がセリフを間違えたとしても、すべて受け止めてくださるんです。とても頼りになる方ですね。

 --苺役の永井花奈ちゃんとは、どのようにコミュニケーションを取っていますか。

 撮影の合間は、ずっと遊んでいます(笑)。花奈ちゃんが「怪獣を操る魔法をかけたい」と言うので、自分は魔法をかけられて追いかけられる役をやっています。

 でも、このドラマの撮影が終わったら、花奈ちゃんと会えなくなるのかと思うと寂しいですね。子どもの成長って一瞬じゃないですか。数年後に再会しても、自分のことを覚えていないかもしれない。普段なら共演者の方に「またどこかで会いましょう」とあいさつをして終えるのですが、花奈ちゃんには言葉にできそうにないです。すでにクランクアップしたときのことを考えただけで泣きそうになります……(笑)。

 --本作の撮影を経て、成長したと感じることは何でしょうか。

 これまで自分の精神年齢が高くないこともあり、子どもとの接し方が分からなかったんです。しかし、子煩悩な父親役を演じるにあたって、距離を縮めるための工夫をするようになりました。例えば、以前親戚のおばさんの影響でバルーンアートをやっていたのを思い出し、改めて練習をしました。

 最初は簡単な犬などを作っていたのですが、だんだん難しいものにも挑戦するようになり、家で大きな作品を作るように。それを現場に持って行って花奈ちゃんにプレゼントしたりしましたね。

 また、練習期間中に近所の保育園に作品を持って行ったところ、子どもたちがすごく喜んでくれたんです。バルーンアートのクオリティーが上がるごとに、子どもたちの反応も変わっていくのが面白かったです。

 --虎朗は詩穂が専業主婦でいることをOKしたと思いますか。

 自分の中で、「詩穂みたいな人と結婚したい」と感じるくらい、理想の女性像になりました。ただ、それは専業主婦だからという理由ではなく、虎朗としても「彼女が望むなら、その意思を尊重したい」という考え方なんだと思います。もし詩穂が働きたいと言うなら、それを応援する。大切なのは“思いやり”ですね。お互いの幸せを大事にすることが一番だと感じます。

 --どんな方にこの作品を見てほしいですか。

 このドラマでは、専業主婦の大変さだけでなく、働く虎朗の昼間の苦労も描かれます。いろんな方に、新たな視点を持ってもらえる作品になっているのではないでしょうか。

 自分自身、ジムに内弟子として入り、さまざまな経験をしたことで“思いやり”の大切さを痛感しました。家庭でも職場でも、お互いに思いやりを持てば、助け合えるはずです。実際、従兄弟夫妻が家事について揉めている姿を見かけたとき、「やっぱり思いやりが大事だな」と改めて感じました。この作品を通じて、そういった問題が少しでも解決するきっかけになればうれしいです。

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