べらぼう:蔦重が意次に「この忘八が!」と暴言 横浜流星の迫真演技引き出した渡辺謙の“受け”

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第16回の場面カット (C)NHK
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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第16回の場面カット (C)NHK

 俳優の横浜流星さん主演のNHK大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜午後8時ほか)。4月20日放送の第16回「さらば源内、見立は蓬莱」では、平賀源内(安田顕さん)が獄死したことを知った蔦重(横浜さん)が悲しみと怒りからか、田沼意次(渡辺謙さん)に向かって暴言を吐く姿が描かれた。チーフ演出の大原拓さんが、同シーンの横浜さんと渡辺さんについて語った。

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 ◇源内が獄死したことが伝えられると、蔦重は…

 第16回では、家基(奥智哉さん)の急逝した事件は、確固たる証拠を得ぬまま幕引きとなる。意次は、源内にこれ以上詮索を控えることを告げると、源内は激怒する。一方、蔦重は、源内の住む“不吉の家”と呼ばれる屋敷を訪ね、正月に出す戯作の新作を依頼するも、時折、奇妙な言動を繰り返す様子が気になっていた。

 そんな矢先、蔦重や意次のもとに、“源内が人を斬った”という知らせが入る。意次は獄中の源内から、意次が頼んだという「屋敷の普請話」を聞かされるが、当の意次はまったく心当たりはなかった。

 終盤、蔦重は、須原屋市兵衛(里見浩太朗さん)らと意次の屋敷を訪ねる。蔦重は、源内が書き残した「死を呼ぶ手袋」の原稿には続きがあり、持ち去られた形跡から、“あの場”には他の人間がいたはずだと訴える。さらに須原屋たちは、源内はずっと以前に刀を売り払っており、携えていたのは竹光だったこと、今回、酒に酔っての凶行とされているが、源内は下戸であることなど不可解な点が多いことから、意次に源内を救ってほしいと嘆願する。

 しかし、「死を呼ぶ手袋」の原稿に目を通した意次は、真相究明にどこか及び腰で、「今のやつ(源内)ならやりかねん」とまで口にする始末。そうこうするうちに、源内が獄死したことが伝えられると、蔦重はショックからか、その場を立ち去ろうとする意次に向かって「田沼様は、源内先生に死んでほしかったんじゃねえすか。田沼様は、源内先生に何かまずいことでも握られてたんじぇねえすか」と疑問をぶつける。

 ここで意次は踵を返し「俺と源内の間には漏れてまずい話など山ほどある」と認めた上で、「何を口走るか分からん狐憑きはおそろしいからな」と付け加えるが、納得のいかない蔦重は周りに押さえつけられながらも「忘八…この忘八が!」と暴言を吐くのを止めなかった。

 その裏で意次は「源内……言うたではないか。お前のために忘れよと」と涙ながらに悔やみ……と展開した。

 ◇暴言シーンで横浜流星が感情を持っていけたワケ

 同シーンにおける蔦重の意次に対する言動は「本来は絶対にありえない」というのが大原さんの考えだ。

 それでも、蔦重の源内を思えばこその、どうしても納得できないという“本質の部分”が出てしまったシーンと捉える大原さん。

 「現実に政権のトップの近くにいる人(意次)に暴言を吐くなんてことはありないのだけど、そうなってしまうくらい(蔦重は)源内のことを思っているし、田沼だから言えたっていう部分はあるだろうし、田沼じゃなかったら言えなかっただろうし、会えもしなかっただろうしって。そこのすべてが合致したからこそ、流星さんがあそこまで(感情を)持っていけたのかなって思っています」

 大原さんいわく、横浜さんは「すごく役の本質部分、台本に書かれていない部分を埋めてくれる」役者でもあるとか。

 「そこのストロークをちゃんと考えて埋めてくれているから、ああいう表情になっていくのかなって。それが横浜流星たるゆえんというか、流星さんの魅力が一つ出たのかなって思います」

 その上で大原さんは、意次役の渡辺さんの“受け”の芝居があってこその横浜さんの迫真演技だったと語る。

 「あればすごく謙さんが受けてくれています。謙さんが受けてくれていることによって、そこまで(感情を)ぶつけることができるっていう。あれば受けてくれなかったら、ぶつからないんですよ、結局は。それが大きな要素だと思います」

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