解説:「あんぱん」好評だった“子役ターン”終了 ここから“朝ドラブレーク”の予感漂うのは? “らしさ”まとう25歳も

連続テレビ小説「あんぱん」で柳井千尋を演じる中沢元紀さん (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」で柳井千尋を演じる中沢元紀さん (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)。3月31日にスタートし、2週にわたって主人公らの子供時代が描かれた。4月11日放送の第10回の終盤には、ヒロイン・のぶ役が永瀬ゆずなちゃんから今田さんへとバトンタッチ。嵩役は木村優来君から北村匠海さん、千尋役も平山正剛君から中沢元紀さんへと受け継がれた。好評だった“子役ターン”を終え、ここからは本役のキャストが続々と登場するが、その中で注目したいのは……。

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 ◇「未来のヒロイン候補」の二人の妹

 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家、絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」となる。

 4月14日に始まる第3週「なんのために生まれて」の舞台は、昭和10(1935)年になるという。のぶ(今田さん)は高等女学校5年生、嵩(北村さん)は、漫画が好きな中学5年生となり、朝田パンも細々ではあるが続いている……という設定だ。当然、のぶの“二人の妹”蘭子(次女)とメイコ(三女)も成長。それぞれを河合優実さん、原菜乃華さんが演じることに。

 河合さんは、昨年、大ヒットしたドラマ「不適切にもほどがある!(ふてほど)」(TBS系)以降、快進撃が続き、映画「あんのこと」の演技で、「第48回日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞に輝いた、いわば“最旬”な俳優の一人。一方、原さんは子役出身で、新海誠監督の劇場版アニメ「すずめの戸締まり」(2022年)、NHKの大河ドラマ「どうする家康」(2023年)、「実写【推しの子】」シリーズと話題作に起用されてきた。

 二人について、制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーは「河合優実さんと原菜乃華さんはヒロインオーディションにもご参加いただき、圧倒的な芝居力と天真爛漫さで、次女と三女のキャラにピッタリだと感じオファーさせていただきました」と、その実力とキャラクターを踏まえての起用となったことを明かしている。

 過去には土屋太鳳さん、杉咲花さん、清原果耶さんが「朝ドラヒロインの妹」から「朝ドラヒロイン」へと駆け上がっていて、河合さん、または原さんが同じルートをたどるのかどうか。「未来のヒロイン候補」という意味でも注目に値する。

 ◇ヒロインの「同級生で幼なじみ」といえば…

 河合さん、原さん同様に本役のキャストとして新たに登場するのが、のぶの同級生で幼なじみのうさ子役の志田彩良さん。

 ドラマ「チア☆ダン」(TBS系、2018年)、実写「ゆるキャン△」シリーズ(テレビ東京系)、日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系、2021年)などを経て、NHKの「ドラマ10『大奥』」(2023年)のシーズン2「幕末編」では、14代将軍・徳川家茂役を務めた。

 さらに、昨年の1月期には「消せない『私』―復讐(ふくしゅう)の連鎖―」(日本テレビ)と「こんなところで裏切り飯」(中京テレビ)の2作の主演ドラマが放送されるなど、着々と足場を固めてきた中で、今回朝ドラデビューを果たす。

 ヒロインの「同級生で幼なじみ」といえば、1年前の朝ドラ「虎に翼」で人気を博した“花江ちゃん”(森田望智さん)が記憶に新しいが、志田さんもうさ子として続くことができるだろうか。

 ◇役のビジュアルからは「実直」「清廉」といった言葉も

 すでに第10回で“お披露目”された千尋役の中沢さんにも朝ドラブレークの予感が漂っている。俳優キャリアはやっと丸3年というところだが、役のビジュアルを見る限り、「実直」「清廉」といった言葉が浮かぶ、どこか朝ドラらしさをまとう25歳の期待の若手俳優だ。

 注目を集めたのは、2023年10月期に放送されたTBS系日曜劇場「下剋上球児」でのこと。「最愛」(2021年)をはじめ、同局の人気ドラマで知られる新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が手がけた本作に、半年間に及ぶオーディションから選ばれた球児キャスト12人のうちの一人として出演、エースピッチャーの犬塚翔を演じた。

 当時、ドラマスタッフは中沢さんについて「坊ちゃん顔が役のイメージに合う。華がある」「グラウンドの真ん中にいても目を引いた。ワンショットが強い。お芝居に癖がなくて良い」と印象をコメントしていた。

 中沢さん本人はというと、このとき「ナチュラルなお芝居をして、魅せるところは魅せる、メリハリを持った俳優」と目標とする俳優像を明かしていたが、朝ドラ「あんぱん」での演技にも大いに期待したい。

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