運命の出会い:木戸大聖 木村拓哉の主演ドラマが俳優を志すきっかけに 目標にしている人や憧れの俳優は?

映画「ゆきてかへらぬ」で中原中也を演じた木戸大聖さん
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映画「ゆきてかへらぬ」で中原中也を演じた木戸大聖さん

 今をときめく俳優やアーティストに、影響を受けた人物について聞く「運命の出会い」。今回は、広瀬すずさんの主演映画「ゆきてかへらぬ」(根岸吉太郎監督)で実在した天才詩人、中原中也を演じている俳優の木戸大聖さんに、俳優を志すきっかけになった木村拓哉さんの出演作との出会いについて語ってもらいます。

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 僕が、俳優になりたいと思ったきっかけは、木村拓哉さんが出演していた作品です。

 「プライド」「HERO」「GOOD LUCK!!」とか、「エンジン」「ラブジェネレーション」などを母と一緒に見ていました。

 その職業で本当に生きている人に見えて、俳優という仕事のすごさを知りました。

 ただ、目標にしてる人や憧れの俳優さんって聞かれても、そういう人がぱっと浮かばないんです。

 もちろん同じ事務所の先輩方(小栗旬さん、田中圭さん、綾野剛さん、坂口健太郎さんら)には離されたくないというか、もうとにかく食らいついていこうっていう気持ちはあります。

 けれど。自分の中では、他にはいない、“木戸大聖”という役者像みたいなものを作り上げたい。今、誰もいない“新しい席”のようなものを確立させたいな、と思っています。

 今回、映画「ゆきてかへらぬ」(根岸吉太郎監督)では実在の詩人、中原中也を演じました。広瀬すずさん演じる駆け出しの女優の長谷川泰子と岡田将生さん演じる文芸評論家の小林秀雄との3人の関係が描かれる映画で、3人のシーンがとても多かったんです。

 お二人との共演は、最初はすごくプレッシャーがありました。お二人のお芝居をたくさん見させてもらっていた側だったので、経験値のない自分がこの役に抜擢(ばってき)されたということは、お二人が100%で来るんだったら、こちらは120%で返して足りるかなっていうぐらいだなと、現場では常に考えていました。

 カメラが回ってない時のお二人はすごくフラットで、とても話しやすかったです。だからこそ本番に入った瞬間、目の感じが変わり、泰子なり、小林になるお二人のその憑依ぶり、瞬発力は怖いくらいでしたし、ものすごく圧倒されました。でも、負けず嫌いなので、それに負けちゃいけないって思う自分もいましたね。

 特に広瀬さんは、ものすごく感性が研ぎ澄まされている方だなって。多分スイッチみたいなものがあるんでしょうね。とにかく広瀬さんの切り替えの早さには驚かされました。

 僕はそこまでオンオフを器用に切り替えられる自信はないし、無理にやろうとして、本番が中途半端なものになるんだったら、ちょっと早めにオンにしとかなきゃって考えるタイプ。だから今作でも、ずっとオンにして準備していました。

 特にこの映画は3人を中心にして2時間描かれてるので、自分が三角関係の一つの軸としてぶれてしまったら、三角が三角にならなくってしまう。それではこの映画をだめにしてしまうので、もうぶつかって行くしかないと。小細工をしたらすぐにバレるし、オーケーにならないので、出し切るしかなかったですね。

 <プロフィル>

 きど・たいせい 1996年12月10日生まれ、福岡県出身。2017年に俳優デビューし、2018~21年にNHK BSプレミアムの子ども向け番組「おとうさんといっしょ」に出演した。2022年のNetflixオリジナルシリーズ「First Love 初恋」の好演で一躍注目される。2023年には「僕たちの校内放送」(フジテレビ)で連続ドラマ初主演。「ゆりあ先生の赤い糸」(テレビ朝日系)にも出演した。2024年には、Netflixオリジナルシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」、「万博の太陽」(テレビ朝日系)、連続ドラマ「9ボーダー」(TBS系)、「海のはじまり」(フジテレビ系)に出演。放送中のNHKの夜ドラ「バニラな毎日」(総合、月~木曜語午後10時45分)に出演中。

 映画「ゆきてかへらぬ」は、大正から昭和初期を舞台に実在した男女3人の壮絶な愛と青春を描く。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子(広瀬すずさん)は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也(木戸さん)と出会う。どこか虚勢を張り合う2人は、互いにひかれ、一緒に暮らしはじめる。その後、東京に引っ越した2人のもとを、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄(岡田将生さん)が訪ねてくる。偶然ともいえるその出会いが、3人の運命を狂わせていく……。

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