能登麻美子:「薬屋のひとりごと」インタビュー 皇太后の複雑な思いを表現 憎しみ、怒り、愛憎

「薬屋のひとりごと」の第33話「先帝」の一場面(c)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
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「薬屋のひとりごと」の第33話「先帝」の一場面(c)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

 小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた日向夏さんのライトノベルが原作のテレビアニメ「薬屋のひとりごと」の第33話「先帝」で、皇太后(安氏)の過去が描かれる。皇太后の過去は複雑で、さまざまな思いを抱えており、第33話は衝撃的なエピソードになっている。皇太后役の能登麻美子さんに「薬屋のひとりごと」への思い、第33話の収録の裏側を聞いた。

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 ◇第1期の「まあ」のインパクト

 「薬屋のひとりごと」は、ライトノベルがヒーロー文庫(イマジカインフォス)から刊行されており、コミカライズも人気を集めている。原作のシリーズ累計発行部数は3800万部以上。舞台は、とある大陸の華やかな後宮で、毒見役の少女・猫猫が、美形の宦官・壬氏と共に陰謀やウワサのひしめく後宮で起きる事件に巻き込まれていくことになる。テレビアニメ第1期が日本テレビ系で2023年10月~2024年3月に放送された。第2期が、日本テレビのアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」で毎週金曜午後11時に放送中。

 能登さんが演じる皇太后は第1期の第22話「青い薔薇」に一度だけ登場した。セリフは「まあ」の一言のみではあるが、能登さんの演技も相まって大きなインパクトを残した。

 「第1期を改めて見返すと『まあ』の一言だったんですよね。一言に気持ちを注がせていただきました。一言でしたが、『出ていましたよね』と言っていただけることがあり、改めて人気の作品に携わらせていただけたと感じていました。作品のことは存じていまして、最初にアニメのキービジュアルを見た時、鳥肌が立ちました。圧倒的な映像の美しさ、細部のこだわり……とスタッフの皆さんのエネルギーを感じていました」

 「薬屋のひとりごと」は、猫猫役の悠木碧さんがハマり役などと話題になっている。能登さんも悠木さんと共演する中で「すごさ」を感じているという。

 「全ての奇跡が重なっているようです。この発想はなかったとなるような素敵なアプローチなんです。猫猫はぶっきらぼうなところもありますが、すごく魅力的な本当にすごいお芝居です。ほかの作品でもご一緒させていただいているので、素晴らしい役者さんなのはもちろん知っていたのですが、すごい役者さんだと改めて感じています。猫猫を演じるあおちゃんを本当にリスペクトしています」

 ◇皇太后の難しさ

 能登さんが演じる皇太后は、神秘的、知的で、隠された内面、複雑な感情を抱えている。能登さんの演技によって、皇太后の深みが際立っているようにも感じる。

 「第33話は、モノローグが多くなります。総監督の長沼範裕さんとの収録の前のディスカッションで、長沼さんの深い解釈を教えていただきました。安氏は何層も重なったいろいろな顔を持ったキャラクターで、モノローグの行間にはいろいろなものが込められています。モノローグでそこを表現するのがとても難しかったのですが、長沼さんが引き出しを開けてくださいました。とてもエキサイティングな収録でした」

 確かに皇太后は複雑なキャラクターだ。第33話では、彼女が複雑にならざるを得なかった理由が明らかになる。

 「安氏のかけた“呪い”は、自身すら意図しない、想像を絶する恐ろしさになっていきます。外に見せる顔と内面が違っていて、内面では先帝に対する憎しみ、愛されたかったけど、愛されず、でも一瞬愛してくれた……という愛憎があります。複雑な思いを抱えていますが、身分の高い方ですし、あまり感情的にはなりません。台本を読んでいる時から、難しいと思っていましたが、やっぱり難しかったです。収録では、練習していた時よりも憎しみ、怒りが出ていました」

 第33話では、10歳、30歳、現在の皇太后を演じ分けた。

 「年齢感をすごく意識するというよりは、外に見せる柔らかな印象、内面の白さと黒さを意識していました。10歳のシーンは、子供ではありますが、自分の立場がわかっていて、少し大人なところもあります。ただの“無垢な10歳”にならないようにしていました」

 能登さんは第33話の収録を終えて「本当にすごい世界です……。自分だったら耐えられない」と語る。「第32話で“呪い”というキーワードが出てきましたが、それが満開に紐解かれます。安氏は本当に死ぬ思いで生き抜いてきたという彼女の生き様が伝わってくると思います」と話しており、能登さんが演じた複雑な皇太后の生き様を見届けてほしい。


「薬屋のひとりごと」とは

 「薬屋のひとりごと」の舞台は、とある大陸の華やかな後宮で、毒見役の少女・猫猫が、美形の宦官・壬氏と共に陰謀やウワサのひしめく後宮で起きる事件に巻き込まれていくことになる。ライトノベルがヒーロー文庫(イマジカインフォス)から刊行されており、コミカライズも人気を集めている。原作のシリーズ累計発行部数は3800万部以上。テレビアニメ第1期が日本テレビ系で2023年10月~2024年3月に放送された。

「薬屋のひとりごと」の第2期のビジュアル(c)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
「薬屋のひとりごと」の第2期のビジュアル(c)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

アニメ「薬屋のひとりごと」悠木碧インタビュー

「薬屋のひとりごと」の一場面(c)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
「薬屋のひとりごと」の一場面(c)日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

 小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた日向夏さんのライトノベルが原作のテレビアニメ「薬屋のひとりごと」の第2期が、日本テレビのアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」で、2025年1月10日から毎週金曜午後11時に放送される。2023年10月~2024年3月に放送された第1期は、老若男女問わず愛される作品となった。美しい映像やドラマチックなストーリーなどと共に話題になったのが、主人公・猫猫役の悠木碧さんの演技だ。悠木さんは、正統派ヒロインから子供、大人の女性まで演じ分ける演技力の高さが魅力で、「薬屋のひとりごと」は「ハマり役」と話題になっている。悠木さんに、猫猫役への思いを聞いた。

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