津田健次郎:役者としての現在地と野望 「いらないものは捨てて、壊して」初心者に 「トリリオンゲーム」実写&アニメに出演

「劇場版『トリリオンゲーム』」に出演する津田健次郎さん
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「劇場版『トリリオンゲーム』」に出演する津田健次郎さん

 TBS系で2023年7月期に放送された連続ドラマ「トリリオンゲーム」の劇場版である「劇場版『トリリオンゲーム』」(村尾嘉昭監督)が、2月14日に公開される。連続ドラマから続き、敏腕報道プロデューサーの功刀(くぬぎ)数良を演じるのが、声優、俳優として活躍する津田健次郎さんだ。津田さんは、2024年10月にスタートした同作のテレビアニメでも功刀を演じており、「本当にぜいたくなことをさせていただいている」と語る。今年声優デビュー30周年を迎える津田さんに役者としての“現在地”と“野望”を語ってもらった。

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 ◇情熱的な功刀を「泥臭く」

 「トリリオンゲーム」は、稲垣理一郎さん原作、池上遼一さん作画のマンガで、2020年12月から「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載中。頭の回転が速い人たらしのハル(天王寺陽)と、気弱で人と話すことが苦手なパソコンオタクのガク(平学)という正反対の二人がタッグを組んで起業し、1兆ドルを稼いで長者番付に名を連ねる経営者に成長していく……というストーリー。TBS系で2023年7月期に放送された連続ドラマ、映画では、人気グループ「Snow Man」の目黒蓮さんがハル、佐野勇斗さんがガクを演じている。

 津田さんが演じる功刀は、ハルとガクが起業したトリリオンゲーム社のネットテレビ「トリリオンTV」の報道プロデューサー。元々は大手テレビ局の花形プロデューサーだったが、「真実を報道しないのは、報道の死に値する」という信念の元、制作会社に移り、その後ハルに誘われ、「トリリオンTV」と手を組むことになった。

 津田さんは、功刀について「非常に情熱の強い、泥臭い人」と魅力を語る。

 「ドラマ版の最初は、ハルたちに対する拒否感だったり、『なめんな』みたいなところがあったりするんですけど、彼らに乗っかっていくという。とてもギャップのある人で、言っていることと、実際に思っていることが違うと言いますか。口では『数字が大事』『視聴率こそ全て』と言っていますけど、それよりも、ハルやガクと一緒にやっていることが楽しいとか、そこにある種の高揚感、幸福感があり、そちらが本音と言いますか。そういう面白さのある、ちょっとひねくれた良さがあるなと思います」

 「功刀は、制限の中で戦うことをずっとやってきている人」とも感じており、共感する部分もあった。

 「制限の中でどれだけ自由にできるか?というのが、彼が本領を発揮する部分でもあるのかなと思っています。そういう意味では、僕らも完全な自由でやれるわけでは当然なくて、例えば、アニメーションで言えば口パクがあったり、スケジュール的に『ここを早くやらなきゃ』というようなことがある。そうした制限の中で、最大限のパフォーマンスをする。制限自体がパワーを生むということもすごくあるので、そこはポジティブにやっています」

 功刀を演じ、「これまで泥臭い役ってやってこなかったな」という発見もあった。「功刀を演じて『なんか面白いな』と思うものがあって、劇場版でも、その泥臭い部分は当然持っていたい」と語る。劇場版では、日本トップクラスの大企業となったトリリオンゲーム社を率いるハルとガクが、日本初のカジノリゾート開発に挑む。

 「会社自体もパワーアップして、社員もめちゃくちゃ増えているし、オフィスもでかくなっているなと。ただ、功刀含めてのトリリオンゲーム社のみんなはやっぱりどこか泥臭さがある。限られたシーンの中でそうした功刀らしさをうまく出せたらなと思っていました」

 ◇声優デビュー30周年で「初心に帰る」 欲深さも

 津田さんは、実写版「トリリオンゲーム」で功刀を演じた後、テレビアニメでも同役を演じることになった。実写とアニメで同じ役を演じるのは「初めてな気がします」と語る。アニメと実写で功刀という役に向かう姿勢は「そんなに大きく違わない」とは言いながらも、「本当にぜいたくなことをさせていただいている」と語る。

 声優として、俳優として、数多くの人気作に出演し、ハイブリッドな活躍を続ける津田さん。声優としては、今年デビュー30周年を迎える。改めて、今後の野望を聞いてみた。

 「今後も、声優業も、実写ドラマや映画、どっちもやらせていただけたらなと思っています。それから、『長編映画を撮りたい』とずっと言っていて、もうそろそろ本当にちゃんと形にしたいなと。それは、一つの野望なのかな」と意欲的だ。

 また、ここ数年で役者として「初心に帰る」という意識が強まったという。

 「もう1回、いろいろなアプローチの仕方を立ち上げ直している感じがあります。『お芝居って何だろう?』『お芝居って本当にやっぱり難しいよな』と思いながら、『でもやっぱり面白いな、奥深いな』と感じるんです。僕は、定期的にいろいろ見つめ直すことをやっているのですが、50代になって、もう1回お芝居をちゃんと深めてみたいと改めて思うようになりました。今までにやっていないようなアプローチも試していくべきだし、膠着(こうちゃく)していっちゃうとつまらないですし。いらないものは全部捨てて、壊すところは壊してみたいな感じで、ちゃんとやれたらなと思っています」

 今まで積み上げてきたものを捨てることに怖さはないのだろうか。

 「何を積み上げてきたのかもよく分かっていないんですけど……(笑)。何となくできた気になっちゃうのが嫌なんです。長いことやってきているので、『本当はできていないんじゃないの?』と、芝居の初心者みたいなところからもう1回やり直していっている感じです。恐怖心も当然増しますけど、でも面白いなと思います」

 また、改めて“主役”というポジションにも意識を傾けるようになった。

 「いろいろな作品ではたから見ていて、主役ってものすごい責任だなと思うようになりました。どちらかというと、脇でうわー!とやっているのが好きだったりはしたのですが、主役にも興味が出てきました。もちろんそれは出会いの話なので、本当にご縁があればという感じですけど、欲深いですね(笑)」と笑顔で語る。

 野望を抱きつつも、「演じる方でも、もの作りの方でも、たくさんいろいろなものをやりたいけど、一つ一つをとにかく丁寧に丁寧にきちっとやっていきたい」と真摯(しんし)な姿勢は変わらない。今後も津田さんから目が離せなくなりそうだ。

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