鉄拳:江戸時代の絵師よりもすごい? 「べらぼう」出演で浮世絵を描く 「謎な人物」礒田湖龍斎に感じた“縁”

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で礒田湖龍斎を演じる鉄拳さん(C)NHK
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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で礒田湖龍斎を演じる鉄拳さん(C)NHK

 横浜流星さん主演の大河ドラマべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で、絵師の礒田湖龍斎を演じるお笑い芸人でパラパラマンガ家の鉄拳さん。初挑戦となる浮世絵の練習や、演じる湖龍斎に感じた“縁”について語った。

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 ◇「絵が描けなかったら呼ばれた意味がない」

 鉄拳さんが演じる湖龍斎は、主人公の蔦重(横浜さん)が企画し、西村屋与八(西村まさ彦さん)と共に出版した「雛形若菜初模様」を手掛けた浮世絵師。1月26日放送の第4回「『雛(ひな)形若菜』の甘い罠(わな)」から登場する。

 湖龍斎を演じるにあたって、浮世絵を猛練習したという鉄拳さん。通常は、引きの画(え)を俳優が演じ、アップはプロの手元を撮るが、鉄拳さんの場合は、実際に浮世絵を描いている姿を撮影している。

 普段はボールペンやマジックペンを使って絵を描くことが多く、筆で絵を描くのは初めてだったといい、「自分ではうまく描けていると思っていたので、浮世絵の先生と一緒に練習したとき、あまりの自分の下手くそさにビックリしました。線の細さと太さの強弱をつけるのがとても難しくて、筆で細い線が描けるようになるのがとても大変でした」と振り返る。

 江戸時代の浮世絵師は、下絵を描いてからその上に紙を重ね、なぞって清書していたが、カメラを通すと絵を描いているリアルさが出なかったため、撮影では、下絵なしで直接紙に絵を描くことになったという。

 「下絵なしなので、江戸時代の絵師よりも僕の方がすごいんですよ(笑)。僕は演技も下手くそだし、滑舌も悪く、せりふもうまくないので、“絵が描ける人”ということで湖龍斎役の指名がかかったと思うんです。だから、絵が描けなかったら呼ばれた意味がないので、とにかくこのシーンの絵だけは最低限かけるようにしようと思いました。最近は老眼が進んで、線が細い浮世絵を4時間くらい描いたら頭が痛くなってしまって……。他のパラパラマンガの仕事をやりながら、1カ月間、4時間ほどを浮世絵の練習にあてていました」

 ◇ピーク時は1日20時間パラパラマンガを作画

 鉄拳さんは、2013年前期の連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」の劇中に登場したアニメーションを担当しており、当時は1日20時間をパラパラマンガの作画に費やしていたという。

 「ピーク時は寝られないくらいパラパラマンガを描いていましたが、集中力が続く時間にも限度があるので、今は8時間に抑えています。ただ、最近は浮世絵の練習もしていたので、1日10時間くらいは絵を描いていましたね。1日20時間パラパラマンガを描いていたからこそ、集中力と忍耐力が付きましたし、線が細かい浮世絵を集中して描き続けられたのも、そのときの経験のおかげだと思います」

 浮世絵の練習に励んだ鉄拳さんは、湖龍斎に“縁”のようなものを感じたという。「湖龍斎の描く絵を、当時の女性たちはファッション誌のように見ていたらしくて、きっと最先端だったんだろうなと思いました。江戸時代に僕と同じように絵を描いてお仕事にしていた方がいること、僕もパラパラマンガという特殊な絵を仕事にさせてもらっているので、湖龍斎とはちょっとつながりがあるのではないかと感じました」と語る。

 「撮影に入る前に湖龍斎について調べたのですが、ほとんど情報がなくて。本当に謎な人物で、その謎な部分も僕に合っていたんでしょうね。浮世絵の先生も、湖龍斎というキャラクターが出てくるのはマニアックなので、これが最初で最後じゃないか、演じるのも僕が最初で最後じゃないかと言っていました。他の作品にもし湖龍斎が出る場合は、また僕を選んでもらいたいですね。『湖龍斎と言えば鉄拳』になりたいです」

 最後に、視聴者に向けて「そんなに出番はないですし、せりふも短いので、ハードルを上げないでください(笑)。僕は絵を描くだけがとりえでお声がかかったと思っているので、僕にできることは浮世絵を描くこと。そこは期待に応えていますし、実は3年ぐらいテレビに出ていなかったので、久しぶりの撮影で楽しかったです」とアピールしていた。

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