解説:「光る君へ」も折り返し “再会してしまった”まひろ&道長 “廃邸”での抱擁、キス、涙…これまでをおさらい

NHK大河ドラマ「光る君へ」の“道まひ”ことまひろ(吉高さん)と道長(柄本佑さん) (C)NHK
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NHK大河ドラマ「光る君へ」の“道まひ”ことまひろ(吉高さん)と道長(柄本佑さん) (C)NHK

 俳優の吉高由里子さん主演のNHK大河ドラマ光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)。6月30日放送の第26回「いけにえの姫」のラストでは、まひろ(吉高さん)と道長(柄本佑さん)の再会が描かれ、SNSは大いに沸いた。場所が石山寺だったこと、ドラマの放送が1週休みで次回は7月14日となることから、「なんで!?」「なぜいるー!?」「何てこった!」「うーーーわこのタイミングで!」といった声が上がっていて、続きが気になっている視聴者は多いはずだ。ここでは、まひろと道長のこれまでを、“いつもの廃邸”シーンを中心に振り返ってみたい。

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 ◇“悲しみ”を共有しながらついに結ばれた二人 

 「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性による小説といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公となる。道長は当時の最高権力者として名を残した人物。まひろとは少年時代に出会って以降、ときに惹(ひ)かれ、ときに離れ、陰に陽に強く影響し合う“ソウルメイト”という位置づけだ。

 “いつもの廃邸”がいちばん最初に大きくクローズアップされたのは第5回「告白」(2月4日放送)。同回では、まひろが道長を前にし、母・ちやは(国仲涼子さん)の死から6年の間、ため込んだ思いが堰を切ったようにあふれ出す様子が描かれた。

 まひろは6年前の“あの日”、「私が道長に会いたいと思わなければ……」と、ちやはが道長の兄・道兼(玉置玲央さん)の手にかかって命を落としたことへの自責の念を、涙ながらに告白。しかし道長は、直秀(毎熊克哉さん)に後を託して、事の真相を確かめるため、道兼の元に急ぐなど、愛を確かめ合うまでには至らなかった。

 その後、直秀の理不尽な死という現実に直面したまひろと道長は、“悲しみ”を共有しながら、互いに離れがたい思いを募らせていく。そんな二人が初めて結ばれた場所も“いつもの廃邸”だった。

 第10回「月夜の陰謀」でのこと。道長から「我も、また君と相まみえんと欲す」との文を受け取ったまひろは、意を決して廃邸へ。そこで抱き合い、熱いキスを交わす二人。道長は、一緒に都を出て、海の見える遠くの国に行こうと、家を捨てる覚悟でまひろを誘うが、まひろはうれしい気持ちはありながら、道長には偉くなって、直秀のような理不尽な死をなくすことが使命と考え、首を縦には降らない。

 一緒に遠くの国へは行かないが、都で道長が世を変えていく姿を「死ぬまで見つめ続けます」というまひろを、「一緒に行こう」と再び強く抱きしめる道長。そして二人は……。大好きな道長とついに結ばれたあとまひろは「人は幸せでも泣くし、悲しくても泣くのよ」と涙した。

 ◇妾は嫌? ドラマチックな再会、一命とりとめる

 結局、道長を“振った”形のまひろだったが、第11回「まどう心」(3月17日放送)では、道長への思いは断ち切れず、道長に誘われるがまま“いつもの廃邸”へ。勢いよく道長の胸に飛び込み、唇を重ねるまひろだったが、「俺の心の中でお前が一番だ」という道長の「妻になってくれ」との言葉が、「妾(しょう)として、そばにいてくれ」という意味だと分かると、道長を拒絶する。

 道長は道長で、「どうすればお前は納得するのだ。言ってみろ。遠くの国に行くのは嫌だ。偉くなって世を変えろ。北の方でなければ嫌だ。勝手なことばかり。勝手なことばかり言うな」と言い残し、まひろの前から去ってしまう。そして一人残されたまひろは涙を流し……。

 倫子(黒木華さん)を妻に迎え、子も生まれた道長。一方でまひろは、父・為時(岸谷五朗さん)が官職を得られず、貧しい暮らしが続いていた。第13回「進むべき道」(3月31日放送)から第14回「星落ちてなお」(4月7日放送)にかけては、土御門殿でばったり鉢合わせするも、無言を貫いた二人。それでも、これが運命のめぐり合わせなのか、第16回「華の影」(4月21日放送)では、都で疫病がまん延する中、ドラマチックな再会を果たす。

 多くの患者が苦しむ悲田院での出来事で、病で倒れそうになったまひろを、すんでのところで抱きとめたのは道長だった。その後、道長はまひろを馬に乗せて、まひろの家へ。抱きかかえて室内まで運ぶと、寝ずの看病で「逝(い)くな! 戻って来い」などと呼びかけ、命を救った。

 ◇越前出発前の逢瀬 後悔の10年経て、まひろは…

 第18回「岐路」(5月5日放送)にも“いつもの廃邸”が登場。逢瀬を重ねてきたまひろと道長は、偶然にも顔を合わせるが、二人は言葉を交わさず、見つめ合うのみ。まひろが心の中で「昔の己に会いにきたのね。でも、今語る言葉は何もない」とつぶやきながら、道長の横を通り過ぎ、ここでのドラマは起こらなかった。

 そうこうしているうち、為時が10年ぶりの官職として越前国守に抜てきされ、まひろも父と共に都を離れる日が近づいてくる。第21回「旅立ち」(5月26日放送)では、そんなまひろが越前行きを前に道長と再会する。場所はもちろん“いつもの廃邸”で。

 まひろは、道長の腕の中にすっぽりと収まり、「この10年、あなたをあきらめたことを後悔しながら生きてきました。妾でもいいからあなたのそばにいたいと願っていたのに。なぜ、あのとき己の心に従わなかったのか。いつもいつも、そのことを悔やんでおりました。いつの日も、いつの日も……」と本心を打ち明け、道長も「いつの日も、いつの日も……そなたのことを」と返答する。

 そこでまひろは、抱き締める腕をいったんほどいてから、「今度こそ、越前の地で生まれ変わりたいと願っておりまする」と口にし、道長の頬を両手で包み込むと、自分からキスし……。

 1月に始まったドラマはちょうど折り返し地点。まひろも、宣孝(佐々木蔵之介さん)の求婚を受け入れ、いまや“人妻”となったわけだが、夫の宣孝との関係がうまくいっているかというと……。“いつもの廃邸”ではなく、石山寺で“再会してしまった”二人がこの先、どうなっていくのか。7月14日放送の第27回「宿縁の命」を心待ちにしたい。

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