モンスター
#11 求める者たちへ
12月23日(月)放送分
杉咲花さん主演のカンテレ・フジテレビ系“月10”ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(月曜午後10時)の第10話が6月17日に放送される。ドラマは同話から最終章に突入し、放送は残り2話となった。杉咲さんが自身でアイデアを出した場面や制作に深く関わった思いなどを語った。(インタビュー前後編の後編)
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数えきれないほどありますが、第9話のラスト、医局での三瓶先生(若葉竜也さん)とのやり取りが忘れられません。 現場にいた全スタッフが大きな輪になってリハーサルを見つめ、各部署がアイデアと体力を振り絞って長回しに臨みました。自分でも信じられないほど緊張しましたが、俳優がどんな動きをしても絶対に捉えてやるという熱量で重たいカメラを担ぎ続け、どこが切り取られても最高に美しい光をセッティングし、一つの吐息も録(と)りこぼさないほどの気概で音を拾い、祈るように見守ってくれているスタッフさんに囲まれながら行われた撮影。いつまでもああしていたい14分でした。
高架下のシーンでは、亮介が自分の状態や気持ちをとても繊細に実感する重要なシーンでした。ゲスト出演というただでさえ緊張する環境のなかで、そこにいる人たちを信じて心を裸にしていく時間はとてつもないプレッシャーに襲われるはずで。少しでもフラットにその瞬間を生きられるために、Yuki(Saito)監督とアイデアを出し合って、30分間の長回しをすることが決まりました。
2話に限らずですが、一つのシーンにおいて1台のカメラでさまざまなアングルから撮影を重ねていく中で、どのような撮り順で進めていくかについてはかなり話し合いをしました。自分が経験してきた現場は、どんなシーンであっても一発目は主人公から撮っていくことが多かったんです。だけど、主人公だけが輝いていても良い作品にはならないと思っていて。だからこそ、そのシーンにおいて何が一番重要で誰を輝かせたいのかを密に考えながら、鮮度のある表情を大切におさめていくことについて、監督や米田(孝)プロデューサー、若葉さんと徹底的に話し合いを重ねました。
打ち合わせは主に米田プロデューサー、Yuki監督、若葉さんの4人で行うことが多かったのですが、特にそれぞれの役のせりふにおいて適正な言葉を精査すること、伝えたいことを言語だけに頼らず表現する方法を探すことに注力していきました。
例えばたった一言のせりふや語尾、“てにをは”についての精査に1時間以上かかることも日常的で、決定的な情報をあえてせりふにしないことに関しては緊張が走る瞬間もありました。ですが説明しすぎないということは、受け手を信じるということで。作劇上の都合で出口を誘導するのではなく、それぞれの役が一人の人間として気持ちの筋を通すことを最優先するため、さまざまな視点からの擦り合わせを心がけていました。
やはりみんなで時間をかけて話し合ってきたことについて、視聴者の方々がしっかりキャッチしてくださっていることがすごくうれしくて。意図していなかったところでも、その人だけの感性で受け止めて、その人だけの物語が育まれていっていることが最高にうれしいです。
アンメットが大好きでたまらないみんなと力の限りを尽くした自信作です。ぜひおうちのテレビで見てください。
ドラマは、事故で脳を損傷し、過去2年間の記憶がすっぽり抜け落ちた上、今日のことを明日にはすっかり忘れてしまう記憶障害の後遺症と向き合う脳外科医、川内ミヤビ(杉咲さん)が主人公。原作は、マンガ誌「モーニング」(講談社)で2020年から連載中のマンガ「アンメット-ある脳外科医の日記-」で、元脳外科医の子鹿ゆずるさんが原作、大槻閑人さんがマンガを手がけている。脚本は篠崎絵里子さんが担当。主題歌はあいみょんさんの「会いに行くのに」。
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