海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
松本潤さんが徳川家康を演じた「どうする家康」の次回作となる2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマは、平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(劇中の名はまひろ)が主人公となる。7年ぶりの女性主人公の大河ドラマとして注目を集める本作。1月7日のスタートを前に、ここでは“基本情報”をおさらいする。
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「光る君へ」は63作目の大河ドラマで、2014年度前期の連続テレビ小説(朝ドラ)「花子とアン」のヒロインとしても知られる吉高由里子さんが主演を務める。脚本は、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さん。きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性(紫式部)の一生を映し出す。
NHKによると、女性を主人公に描かれた大河ドラマは「三姉妹」(1967年)、「草燃える」(1979年)、「おんな太閤記」(1981年)、「春の波涛」(1985年)、「いのち」(1986年)、「春日局」(1989年)、「花の乱」(1994年)、「利家とまつ~加賀百万石物語~」(2002年)、「功名が辻」、「篤姫」(2008年)、「江~姫たちの戦国~」(2011年)、八重の桜(2013年)、「花燃ゆ」(2015年)、「おんな城主 直虎」(2017年)と過去14作品を数える。「光る君へ」は7年ぶり、通算15作目の“女性主人公”大河だ。
舞台となる平安時代中期は、長い歴史を誇る大河ドラマで、1976年の「風と雲と虹と」に次いで2番目に古い。また貴族ばかりが出てきて、合戦がない大河ドラマは、他に類を見ないという。
では、本作の主人公・紫式部/まひろとはどんな女性なのだろうか。なお吉高さんが同局で“物を書く女性”を演じるのは、2014年度前期の連続テレビ小説「花子とアン」、2022年放送の特集ドラマ「風よ あらしよ」に続いて3度目となる。
紫式部/まひろは、平安時代(10世紀後半)に京にて誕生。藤原家の生まれではあるが、父は受領(ずりょう)階級で、けっして裕福ではなかった。幼いころ母を失うが、学問をつかさどる父のもとで、並外れた文学の才を発揮し、想像力と好奇心を育んでいく。
考え深く、鋭い感性を持つ女性へと成長するまひろ。数歳年上の藤原道長と、少女のころ知り合い、惹(ひ)かれ合うも、身分差に阻まれる。やがてはるかに年上の男性と結婚して娘を授かるも、死別。一人娘を育てながら、のちに「源氏物語」として知られる長編小説を書きはじめる。
道長との縁が絶えることは終生なく、彼への愛憎はまひろの人生をさいなみ、そして花開かせる。「源氏物語」の評判が高まり、まひろは道長の求めで、その長女の中宮・彰子に仕える宮中の女房となる。現代でいえば華やかなキャリアウーマンだ。その一方で、まひろが書きつづる「源氏物語」は、道長のバックアップを受け、天皇や貴族の間で大ベストセラーとなる……。
ドラマタイトル「光る君へ」は、源氏物語の主人公「光源氏」が、原文では「光る君」と書かれていることが由来。光り輝くような美しい容姿、頭脳明晰(めいせき)であることはもちろん、愛嬌(あいきょう)にもあふれ、和歌にも音曲にも長たけた、非の打ちどころのない男性である光源氏像を、紫式部は誰をモデルとして打ち立てたのか。諸説ある中、有力な一人として名が挙がる藤原道長への、紫式部の深くつきることのない想(おも)いを表している。
紫式部/まひろとは、ドラマ全編を通じて、ときに惹かれ、ときに離れ、陰に陽に強く影響し合う“ソウルメイト”藤原道長を演じるのは柄本佑さん。主演の吉高さんとは、同じ大石静脚本で2020年に放送されたドラマ「知らなくていいコト」(日本テレビ系)に続く、重要な役柄での共演となる。
すでに、劇中で「源氏物語」の世界は描かれず、「光源氏」も登場しないことが明らかにされているが、その一方で、個性豊かな男性キャストを配した平安貴族が、きらびやかではない権力争いを繰り広げる本作。2022年5月の制作発表会見で「平安時代の驚くようなセックス&バイオレンスを描きたい」と意気込みを語っていた脚本家の大石さんの言葉を借りるなら「生々しい権謀術数の男の政(まつりごと)の世界」で、どのようにして道長が、時の権力者として後世に名を残したのか。見どころの一つとなりそうだ。
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