海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
のんさんが主演を務めた、2013年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」の最終回(第156回)がNHK・BSプレミアムで9月30日に再放送された。10年前の朝ドラで、しかも2015年に続いて2度目の再放送にもかかわらず、最終回の放送直後にX(ツイッター)のトレンド1位に輝き、再び「あまロス」が叫ばれるなど異例の盛り上がりを見せた。本編は第156回が最終回となったが、「あまちゃん」には“伝説”の第157回という特別編が存在する。2013年大みそかの紅白歌合戦で繰り広げられた第157回について、どんな内容だったのか、また当時の状況などを解説する。
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特別編(第157回)「おら、紅白でるど」は、2013年12月31日の「第64回NHK紅白歌合戦」で放送された。紅白歌合戦が開かれている東京・渋谷のNHKホールと岩手・北三陸のスナック「梨明日」を生中継で結ぶ場面からスタートする。
NHKホールにいるアキ(のんさん)がワイプで呼びかけると、「梨明日」の入り口にいた安部ちゃん(片桐はいりさん)と副駅長の吉田(荒川良々さん)がリポーターとなり、店内へ招き入れる。そこには春子(小泉今日子さん)や駅長の大吉(杉本哲太さん)、観光協会の菅原(吹越満さん)、勉さん(塩見三省さん)、ヒロシ(小池徹平さん)、組合長(でんでんさん)や海女クラブの面々らおなじみの顔ぶれがそろっていた。
ミス北鉄のユイ(橋本愛さん)が「親友のアキちゃんが紅白に出るということでみんなでテレビの前で応援しています」とにこやかにあいさつしているところに、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子さん)がキャリーケースを引きずりながらやってきて、「天野さん~、テレビのリモコンどこ?」などと尋ね、アキから「邪魔だっつうの」と邪険に扱われる。
ひろ美を突き飛ばして春子が画面に登場すると、アキに「あんたちゃんと頑張りなさいよ。音、外したら許さないからね」などと脅しをかける。アキが「はいはい」と生返事して、春子がキレたところで、アキを中心にしたGMTスペシャルユニットfeat.アメ横女学園による「暦の上ではディセンバー」がスタート。
メンバーはアキのほか、GMTのリーダーで埼玉県出身の入間しおり(松岡茉優さん)、佐賀県出身の遠藤真奈(大野いとさん)、徳島県出身の宮下アユミ(山下リオさん)、沖縄県出身の喜屋武エレン(蔵下穂波さん)のほか、アメ女のセンターだった「マメりん」こと有馬めぐ(足立梨花さん)や成田りな(水瀬いのりさん)の姿もあった。
歌い終わると、ステージ上でアキは「一緒に上京するはずだった親友がいます」とユイを紹介。「ユイちゃーん、こっち来て一緒に歌うべ!」と北三陸に呼びかける。北三陸ではみんなが口々に「なんぼなんでも無理だべ」という中、ユイが潮騒のメモリーズの衣装で「すぐ行くから待ってて」と店を飛び出す。
紅白の会場では、ドラマのオープニングテーマが演奏される中、スクリーンに北鉄の列車が映ると、実写から鉄拳さんのイラストに変わり、ユイが北鉄を宮古で降り、タクシーに乗り込むと空を飛んで東京までやってくる様子が描かれた。実写に戻り、ユイはNHKホールにタクシーで乗りつけ、ステージへと走る。運転していた正宗(尾美としのりさん)も一緒に中に入ろうとするが警備員に止められた。
「来たよー」とステージのアキのもとに駆けつけたユイは、審査員席に夏ばっぱ(宮本信子さん)の姿を見つけ、「夏ばっぱ?」と驚く。アキは「似てるけど別人だ。とりあえず歌うべ」と「潮騒のメモリー」を2人で歌い始める。
1コーラス目を「潮騒のメモリーズ」の2人で歌い終わると、アキが「2番は大好きなおらのママが歌います」と呼びかけ、春子が登場。春子は歌い終えると、手を広げて、ステージの真ん中に目線を送る。
すると、中央のせりから和服姿のひろ美が登場。ゆったりとしたアレンジに変わった同曲を「三代前からマーメイド、親譲りのマーメイド」に改変した歌詞でしっとりと歌い上げた。
そして、アキが「北三陸さ帰りてえ」と告げる場面がスクリーンに流れると、GMTの「地元に帰ろう」のイントロが始まり、GMTスペシャルユニットfeat.アメ横女学園のメンバーやスナック「梨明日」にいた北三陸の面々、正宗らもステージに登場。全員で同曲を大合唱した。
歌い終わったあと、審査員席の夏ばっぱと脚本の宮藤官九郎さんのところにカメラを手にしたヒビキ(村杉蝉之介さん)が現れ、春子がステージから「ヒビキ!」と指さして、ラストとなった。
特別編は、第157回と銘打たれているだけあって、朝ドラの1話分約15分の尺にまとめられている。その尺の中で「暦の上ではディセンバー」「オープニングテーマ」「潮騒のメモリー」「地元に帰ろう」というドラマを代表する曲が生演奏で披露されたこと、中でも「潮騒のメモリー」をアキとユイの潮騒のメモリーズ、春子、ひろ美で歌いつなぐ演出が秀逸で、のちのちまで“伝説”として語り草になった。
また、劇中ではさまざまな不運が重なって東京に一度も来られなかったユイが、渋谷のNHKホールに姿を現したことで、ファンからは「胸熱」と話題になった。
「第64回紅白歌合戦」の中では、第2部の午後9時台に放送され、ラストの「地元に帰ろう」を全員で大合唱した直後の午後9時50分に、毎分別視聴率で50.0%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)を記録。これは同年で紅白を引退した大トリの北島三郎さんの50.7%に次ぐ歌手別視聴率だったとされる。
伝説の第157回は、現在NHKオンデマンドで配信されている。何度目かのあまロスを感じている人は、この際なので第157回を視聴して、「あまちゃん」の世界にどっぷりと浸ってみては?
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