海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
時代劇「必殺」シリーズの舞台裏に迫るインタビュー集「必殺シリーズ秘史 50年目の告白録」(立東舎)の推薦コメントが公開された。同書は2022年9月16日に発売され、3刷に達するなど人気を集めている。映画監督の犬童一心さんは「『必殺』は撮影所プロフェッショナル集団の本気、新しさを欲した1970年代初頭の叛逆的若さが交わり打ち上げた美しき花火。携わった方々の証言を少年に戻りワクワクと受け取る」とコメント。「デジモンアドベンチャー」などで知られるアニメ演出家の角銅博之さんは「光と影。静と動。音楽の使い方。映像を作る上で基本的なことはだいたい必殺で学んだ。それぞれの職人たちから生まれたことがよく分かる」とつづっている。
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歴史学者の加藤陽子さん、マンガ家の唐沢なをきさん、小説家の京極夏彦さん、映画監督の佐々木浩久さん、小説家の貫井徳郎さん、作家の平山夢明さん、イラストレーターの吉岡里奈さんもコメントを寄せた。
ライターの高鳥都さんによる書籍で、撮影の石原興さん、照明の林利夫さん、編集の園井弘一さん、演出部の高坂光幸さんら初期スタッフを中心としたインタビューを掲載。撮影台本や美術セット図面など貴重な資料、秘蔵写真が公開された。
必殺シリーズに夢中になって半世紀、あのときの気持ちが蘇る。「必殺」は撮影所プロフェッショナル集団の本気、新しさを欲した70年代初頭の叛逆的若さが交わり打ち上げた美しき花火。携わった方々の証言を少年に戻りワクワクと受け取る。山﨑努さんの登場が「地獄の黙示録」のマーロン・ブランドみたいで興奮。高鳥都さんありがとうございます。楽しく幸せな時間を貰い、少し若返りました。 犬童一心(映画監督)
光と影。静と動。音楽の使い方。映像を作る上で基本的なことはだいたい必殺で学んだ。それぞれの職人たちから生まれたことがよくわかる。自分は少し現場が違うけど、映像を作るということは同じ。ちょっとでも自分の周囲の人たちに置き換えて読むとほんとによく分かる。シリーズ始まった頃はみんな若かった、その勢いも。シナリオから完成するまでにあらゆる角度からの証言。どれが良くて何が良くなかったか、職人さんたちの飾らない直截な物言いがすごく心地良い。田中徳三監督回の夜がなぜ青いのかもわかってきた。工藤栄一、松野宏軌を目指したのも間違ってなかった。人が物を作る。当たり前のようだけど、ではどういう人がどんな気持ちで作るとあんな映像ができるのか、知りたい人はこの本を読んでください。若い頃の自分が手にしたら擦り切れるまで読んでたに違いない、作る希望に溢れた本です。 角銅博之(アニメ演出家)
多くの方に読まれるべき本当に凄い本です。光と影のあの映像世界はいかに撮られたのか。全シーンを咀嚼し尽くした著者によるインタビュー大全。 加藤陽子(歴史学者)
撮影も照明も演出も製作もみんなまとめた「現場」のあらゆるこだわり。資金不足や時間の不足をねじ伏せる創意工夫と力技。そして生みだされたあの唯一無二の名作群の裏話まで、ギチギチ詰まってます。よく聞き出せました! 必殺マニアは当然として当時の映像作品を作り出す人たちの熱気を感じたい人も必読。…それにしてもよく集まったもんだなあ。スタッフ全員が曲者。どうなってるんだ。これは面白いものができるわけですよ。 唐沢なをき(漫画家)
本書は、いずれ「その存在を証明する記録・古文書のたぐい」となるものでしょう。南無阿弥陀仏。 京極夏彦(小説家)
石原興氏を始めとする「必殺シリーズ」に携わっていた撮影、照明、録音といった技術スタッフ、衣裳、小道具、助監督、製作部ほか裏方たちの生々しい証言集。その言葉の一つ一つが思い出ではなく、臨場感ある創作の秘密を解き明かしていく。
映画ではなく、テレビドラマでもない「テレビ映画」を掘り起こす貴重な言葉の数々。そこには必殺シリーズのみならず、かつてフィルムで撮影されていた「テレビで放送する映画」の真実が記されている。必殺シリーズのスタイリッシュな陰影の画面作りは、東映太秦と違って京都映画のセットが小さかったことと、低予算ゆえの撮影時間短縮から編み出された工夫に満ち溢れた方法論だった。この本は、時間がなくても予算がなくても、いいものを作ってみせる、他のドラマには絶対に負けてなるものかという撮影所スタッフの「誇り高き勲章」なのだ。必殺シリーズのファンのみならず、日本映画好きな人全てに勧めたい。 佐々木浩久(映画監督)
シリアスだったりコメディだったり、人間の喜怒哀楽をギッシリ盛り込み、そしてなんたってカッコイイ! 驚異の娯楽! 必殺シリーズはどう作られてどう成立し続けたか。著者の純粋、素直な探求心が丁寧にすべてを解き明かしていく。必殺を見て育った人にも、これから必殺を知る人にも、ありがたすぎる携行本。手作りの映画製作、その醍醐味も味わえます。合理的で無駄のない生き方が最優先な現代に対するカウンター的書物でもあります。 杉作J太郎(詩人)
四十年くらい必殺ファンをやっていますが、そんなぼくでも初めて知る話が満載でした! あの巨匠監督はスタッフからどう思われていたのか。あの俳優の素顔はどんな感じだったのか。どれもこれも、本当に興味深い。中でも、山﨑努さんが沖雅也さんと仲が良かったと知ったのは最高に嬉しい!! この本を読んだら、また『仕掛人』一話目から観てみたくなっちゃったよ。 貫井徳郎(小説家)
傑作です。文句なし! 平山夢明(作家)
物心ついたころにはあの有名なテーマ曲と中村主水、念仏の鉄などキャラクターの立った登場人物や殺しの手法がセットになって当たり前に知っていた。私が必殺シリーズの特別熱心なファンというわけでなく、時代劇に疎いのにもかかわらず。それほどまでにこのシリーズは強烈で独特だったのだと思う。そして京都映画という小さな撮影所のスタッフたちが予算と時間が限られた状況の中で視聴者を楽しませるために創意工夫を尽くし、唯一無二の面白いものになるよう全身全霊を込めて作っていたことを本書で知った。その言葉を導き出した高鳥都さんの抑制の効いたツボを押さえた質問に必殺シリーズへの愛を感じた。それは高鳥さんの質問に何よりインタビューを受けてる方々が制作に携わっていた時間を思い出し、慈しむように楽しそうに答えている……と読んでいて感じたから。必殺シリーズという異色時代劇を生み出した各分野のプロフェッショナルたちの生々しい言葉をここまであぶり出した本書は、プロの仕事とは何かを知りたい全ての人に最高の読書体験になると思う。 吉岡里奈(イラストレーター)
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