ミステリと言う勿れ:主人公・久能整の持論が話題 「ハッとさせられる」名ぜりふを振り返る 

連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」のワンシーン(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン
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連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」のワンシーン(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン

 放送中のフジテレビ系“月9”ドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(月曜午後9時)。田村由美さんの同名人気ミステリーマンガ(小学館)が原作で、社会で当たり前とされていることに疑問を持ち、膨大な知識を基に持論を展開していく主人公・久能整(菅田将暉さん)の姿を描く新感覚ミステリー作品だ。第4話まで放送されたが、視聴者の間では整の持論に「ハッとさせられる」と注目が集まっている。反響を呼んだ整の持論を紹介したい。

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 ◇「子供はいないが、子供だったことはある」

 第1話(1月10日放送)では、大学生の整が身に覚えのない殺人事件で容疑者となり、警察署で取り調べを受ける。整が事件の矛盾点を指摘していくうちに、取り調べをしていた警部補・薮鑑造(遠藤憲一さん)が真犯人だと判明。薮は過去にひき逃げ事故で妻子を亡くし、復讐(ふくしゅう)のために事件を起こしたのだった。

 「復讐は楽しかったですか?」と問いかける整に、薮は「妻や子を持ったことがないお前に何が分かるんだ」と逆上。整は「僕は確かに親のすねかじりで働いたこともなく、嫁も彼女もなくぼーっと生きてます。ただ、僕は子供を持ったことはないですが、子供だったことはあります。親になると忘れてしまうのかもしれませんが、僕は今、子供の立場でものを言っています」と返すのだった。

 ◇「真実は人の数だけある。でも、事実は一つ」

 第1話では、警部・青砥成昭(筒井道隆さん)との会話も話題に。青砥には誤認逮捕で冤罪(えんざい)事件を招いた過去があった。しかし青砥は「俺は今でもあいつが犯人だと思ってる。だが、やつのうそを暴けなかった。いつか必ずあいつを挙げてやる。どんなに虚言を尽くしても真実は一つなんだから」と諦めていなかった。

 そんな青砥に、整は「人は主観でしかものを見られない。それが正しいとしか言えない」「神のような第三者がいないと見極められないんですよ。だから戦争や紛争で、敵同士でしたこと、されたことが食い違う。どちらもうそをついていなくても、話を盛っていなくても必ず食い違う」と持論を展開。

 「真実は一つなんかじゃない。二つや三つでもない。真実は人の数だけあるんですよ。でも、事実は一つです」「警察が調べるべきはそこです。人の真実なんかじゃない。真実とかいうあやふやなものにとらわれているから、冤罪事件とか起こすんじゃないでしょうか」と厳しい言葉を投げかけた。

 ◇「子供の成長に立ち会うのは『権利』か『義務』か」

 さらに、第1話では整による“子育て論”も反響を呼んだ。「いろいろ手伝ってるつもりなんだけど、全然分かってくれないっていうか……」と妻への不満をこぼす巡査・池本優人(尾上松也さん)から、「どうしたら嫁とうまくいくと思う?」と相談を受けた整が話した内容だ。

 整はメジャーリーグの中継を例に「メジャーリーガーや監督は試合を時々休むんですよ。奥さんの出産はもちろん、お子さんの入学式や卒業式、家族のイベントで休むんです。彼らは立ち会いたいんです」と切り出す。「でも、その中継を見ている日本の解説者はそれについてなんて言うかっていうと、『ああ、奥さんが怖いんでしょうね』。彼らには、メジャーリーガーが行きたくて行っていることが理解できない。なぜなら自分はそう思ったことがないから」と説明する。

 「『無理やり行かされている』と考える。『大切な仕事を休んでまで』と。メジャーリーガーは子供の成長に立ち会うことを『権利』だと思い、日本の解説者たちは『義務』だと思っている」と持論を語るのだった。

 ◇「全部あなたのせいです。責任転嫁しないで」

 第2話(1月17日放送)では、整が乗ったバスがジャックされ、乗客たちは人質となってしまう。犯人の命令である場所に向かっていたバスだったが、途中で公園に立ち寄り、犯人は一人ずつトイレに行くよう指示。「もし逃げたら残り全員皆殺し」「逃げたお前のせいでみんなが死ぬ。それが嫌だったら逃げるなよ」とくぎを刺す犯人に、整はこう反論した。

 「逃げた人のせいでみんなが殺されても、それはその人のせいじゃない。あなたのせいです。ここで発生する全ての問題は、あなたのせいで起こるんです。全部あなたのせいです。あなただけが悪いんです。責任転嫁しないでくださいね」

 ◇「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう」

 そして、恐らく最も大きな共感を得たのが、いじめに関する持論だろう。第2話では、バスジャック犯が乗客たちに、「これまで犯した一番重い罪」を尋ねた。淡路一平(森永悠希さん)は「子供の頃、駄菓子屋でしょっちゅう万引きしてたら店がつぶれた」と告白。さらに、いつもいじめられていて万引きもさせられていたこと、本当はずっと逃げたかったことを明かした。

 すると、整は「僕は常々思っているのですが、どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう。欧米の一部ではいじめてる方を病んでると判断するそうです。いじめなきゃいられないほど病んでる。だから隔離して、カウンセリングを受けさせて、癒やすべきだと考える」と話す。

 「でも、日本は逆です。いじめられてる子に逃げ場を作って、何とかしようとする。でも、逃げると学校にも行けなくなって、損ばかりすることになる。DV(ドメスティックバイオレンス)もそうだけど、どうして被害者側に逃げさせるんだろう。病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのは加害者の方なのに」と見解を述べた。

 そして「例えば歩いてて、知らない人にいきなり殴られたら、すぐ周りに言うでしょう? それと同じように、先生や親に『あいつにいじめられたよ』って、『あいつ病んでるかもしれないから、カウンセリング受けさせてやってよ』って、みんなが簡単に言えるようになればいいと思う」「そういう考え方にみんながなればいいと思う」と願った。

 SNSでは「めちゃくちゃ納得」「すごく勉強になった」「まさにその通りだと思った」といった声が続出。「励まされた気分になった」と勇気づけられる視聴者や、「整くんの言葉みんなに響いてほしい」と望む視聴者の姿もあった。

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 「ミステリと言う勿れ」とうたう本作において、ささいな場面で整が紡ぎ出す言葉は、文字通り“ミステリー”から外れたところで、強いメッセージを視聴者にぶつけている。2月7日に放送される第5話からは、また新たなストーリーが展開する。今後もどんな言葉が飛び出すのか楽しみだ。

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