斉藤和義:2021年ツアーは「憂さを晴らせる選曲」意識 観客の“気”感じ「ウルッと来そうに」

斉藤和義さん=WOWOW提供
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斉藤和義さん=WOWOW提供

 シンガー・ソングライターの斉藤和義さんが、10月31日に東京国際フォーラム ホールA(東京都千代田区)で開催したライブの模様が、「斉藤和義 LIVE TOUR 2021 202020 & 55 STONES」と題して2022年1月10日午後8時からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。放送・配信に先駆け、斉藤さんが同公演を含む今年のツアーを振り返った。

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 --約半年の日程を無事に終えて、率直な感想はいかがですか?

 まあ、これまで経験したことのない不思議なツアーでしたね(笑い)。2020年は予定していたライブが全部中止になって。2021年に入ってやっと再開できるかなと思ったら、また緊急事態宣言が出たりして。その都度いろいろ考えたり悩んだりしつつ、何とか走りきった感じです。

 こういう状況の中、わざわざ会場まで足を運んでくれたお客さんには本当に感謝していますし。熟考の末に「今回はやめとこう」とチケットを諦めた人の判断も、僕は賢明だったと思う。何が正解だったのかは今でも分かりません。でも、だからこそステージの上は、いつも以上に演奏できる喜びにあふれていたんじゃないかなと。

 --今回のツアー・コンセプトを改めて教えてください。

 極めてシンプルに、直近のアルバム2枚の楽曲をたっぷり演奏するという。タイトル通りのコンセプトです(笑い)。特に2020年に発表した「202020」は、今回のツアー・バンドのメンバーとセッション形式で作った部分が大きくて。ライブ向きのナンバーが結構多いんですね。

 一方の「55 STONES」は逆に、ステイホーム期間中に自分1人チマチマ作ったアルバムなんですけど、今回のツアー再開にあたってアレンジを最初からやり直しました。レコーディングを踏襲するんじゃなく、メンバー各自の解釈やアドリブを自由に入れてもらって。皆さんすご腕のミュージシャンですし、気心の知れた関係なので、ちょうどいい案配に仕上げられたかなって。そこは満足しています。

 --場末の小さなライブハウスを模した舞台セットも印象的でした。

 2019年にアメリカのナッシュビルという都市に行ったんです。カントリー・ミュージックの聖地って言われる場所で。街のライブ・バーなんかにふらっと入っても、地元のバンドが入れ代わり立ち代わり楽しそうに演奏してたりする。そういったカジュアルな雰囲気が何となく伝わればいいなって。

 ライブの間はコロナ禍の日常から離れて、リラックスして音楽を楽しんでもらいたいという気持ちもあったんですよね。そっちのニュースは日々、嫌でも目に入ってくるじゃないですか。なので、会場で歓声こそ上げられないけれど、心の中で思いきり騒げて憂さを晴らせる選曲は、かなり意識しました。

 --いつもと様子の違うオーディエンスに戸惑いはありませんでしたか?

 正直、ツアーが始まる前は結構不安でしたね。お客さんが声を出せなくて、本当に盛り上がるのかなって。でも実際やってみると、観客の“気”みたいなものって不思議なほど伝わるんですよ。拍手の大きさ、音圧だけじゃなくて、長さもそう。会場の皆さんがちゃんと楽しんでくれているのが、演奏している僕らにもよく分かった。何ならコロナ禍の前より一体感が増している気配すらあって(笑い)。特にツアー前半で、ウルッと来そうになる瞬間が多々ありました。お客さんの拍手に「あ、俺、今ちょっとやばいかも」って。

 --ツアー最終日となる東京国際フォーラムでのライブが、今回WOWOWで放送されます。見どころは?

 よく言われることですが、東京国際フォーラムって音響が素晴らしいんですよ。僕は今回、自分のツアーでは初めてライブをさせてもらったんですが、想像をずっと超えていた。それこそ客席のリアクションや空気感を肌で感じながら、過剰なエコーがなく、自分たちの演奏もクリアに聞きとれる。そのバランスがちょうどいいんです。

 もちろん全力でやるのはどの会場も同じですが、最終日は長いツアーの集大成としてベストコンディションの演奏ができたと思う。とはいえ、収録が入ってかしこまっちゃうのも嫌だったので。メンバーには舞台袖で「このツアーで一番、適当にやろうね」と言ってからステージに出ました(笑い)。実際、いつも以上にアドリブも多かったですし。気合が入った部分とリラックスできた部分が、いい感じで混じったライブになっていると思います。そういう部分を何となく感じて楽しんでいただければ、すごくうれしいなと(笑い)。

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