前田旺志郎:俳優としての現在は「ただただ幸せ」 目標は20代で日本アカデミー賞の舞台

連続ドラマ「猫」で主演を務めている前田旺志郎さん
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連続ドラマ「猫」で主演を務めている前田旺志郎さん

 テレビ東京ほかで放送中の連続ドラマ「ドラマ25『』」(金曜深夜0時52分)で女優の小西桜子さんとダブル主演を務めている俳優の前田旺志郎さん。ドラマは医者から余命宣告を受けている金子みねこと、フリーターの天音光司が一匹の“猫”をきっかけに出会うラブストーリーで、前田さんは小西さん演じるみねこと付き合うことになる、どこか天然な光司を演じている。俳優として、「いろいろな作品に携わらせてもらう機会が増えてきて、ただただそれが幸せ」と現在の思いを明かす前田さんに、ドラマの撮影秘話や俳優としてのこれからなどを聞いた。

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 ◇“敬語なし”で縮めた距離

 ドラマは、北村匠海さんがボーカルを務めるダンス・ロックバンド「DISH//」の楽曲で、シンガー・ソングライターのあいみょんさんが作詞・作曲を手掛けた「猫」が原案。脳に腫瘍があり、医者から余命宣告を受け自らの死と向き合うみねこと、やりたいことや夢もなくその日暮らしの生活を送るフリーターの光司が、一匹の“猫”をきっかけに出会い、カップルとなる。2人の「いつもと同じ帰り道」を通して、男女それぞれの視点で描くラブストーリー。

 もともと原案となった曲は大好きで何度も聴いていた、と前田さん。「YouTubeで、たぶん僕が100回ぐらい再生しているんじゃないかなというぐらい(笑い)。だから、それをテーマにしたドラマにまさか自分が出演させていただけるとは。夢のようでしたね。すごくうれしかったです」と喜びを語る。

 ドラマでは、2人のほのぼのとしたやり取りが印象的だ。恋人となるみねこは余命宣告を受けているが、前田さんは「悲しいだけのドラマではない」という。「2人のほっこりする掛け合いも多いんです。みねこが病気でいつ亡くなるか分からない、という設定ではあるんですが、それをあまり考えすぎずに。逆にいつ死ぬか分からないからこそ、全力で一瞬一瞬を2人で楽しもう、ということをすごく意識して演じていました」と振り返る。

 小西さんとは今作が初共演。「仲良くなるにつれ、どんどん会話も弾むようになっていきました」と前田さん。ドラマ内では敬語で話す光司に対してみねこが敬語をやめるように持ち掛けるシーンがあるが、小西さんとは撮影前、実際にそれに近いやり取りもあったという。「リハの帰りに、2人で電車に乗って帰って。そのときに距離を縮めようと思って、敬語を使わずフランクに話にいったら、小西さんも明るく返してくれたんです。その日が大きかったというか、『大丈夫や、これは2人でやっていけるな』と思いました」と明かし、「(ドラマとは違って)実際は、みねこからではなく、僕から攻めていった、と(笑い)」と楽しそうに話す。

 演じた光司は、分かりやすい特徴があるわけではないが、明るく、ときにみねこを元気づける優しさを持っている。「人を楽しませたい」という点において、光司と似ている部分があると前田さんは言う。「光司はみねこを元気づけるために、楽しませようとする。僕も基本的には楽しいことが好きな人間。輪の中心で“ウェイウェイ”したり、ということが好きなので、そういうところが似ているのかなという気はします」と話した。

 ◇20代のうちに日本アカデミー賞の舞台に

 今作で主演を務め、今後も俳優としてさらなる活躍が期待される前田さん。「いろんな作品に携わらせてもらう機会が増えてきて、ただただ今はそれが幸せ」と現在の状況を喜ぶ。コロナ禍では仕事ができず、家から出ない日も続いたが、それだけに今、現場で作品づくりに携われることに喜びを感じているという。「現場に出て、みんなと芝居ができる、スタッフさん含めみんなで作品を作れる、ということが、こんなにもうれしいことだったのか、と噛みしめていて。日々、幸せですね」と前田さんは笑顔をみせる。

 これから先も、芸能の世界では「たぶん俳優だけをやると思います」と真っすぐに決意を語る前田さん。ただ、俳優業と並行して、芸能界の外で俳優とは違う何かも始めたい、という考えもあるという。「演劇ワークショップを開いて子供たちに演劇を教えることもやってみたいですし、芝居をする環境もソーシャル・ネットワーキング・サービスが普及してどんどん変わっていくと思うので、新しいコンテンツを考えたりもしたい。俳優業だけではなく、いろんな方向にやっていけたら。最終的に、それらがお芝居にも還元されるんじゃないかと思います」と語る。
 
 俳優業での今後の目標を聞くと、「『将来こういう人になっていたい』というよりは、今と同じように自由に芝居をして、お芝居をすることを今と同じように楽しめていたら、死ぬまでそれができていたら、それでええんかな、と思っているんです」と前田さんは言う。もちろん、変わらないということではなく、少しずつ進化し、そのうえで楽しめていることが理想。「今と同じ芝居をしていたら、30年後にはつまらなくなっていると思う。『日々楽しむ』ということを目標にして、楽しむためにちょっとずつ変化して、進化して、今と同じような感覚を持てていたらいいなと思います」

 現在19歳。12月には20代に突入する。最後に20代で達成したいことを尋ねてみると、「20代のうちに、日本アカデミー賞の舞台に立ちたいなとずっと思っていて。できれば前半の25歳までに立てればな、という思いがあります」と前田さん。「最初に新人俳優賞、そこにまず立ち、30代のときに最優秀主演男優賞……助演男優賞かな(笑い)。最優秀助演男優賞を目指して、頑張りたいなと思います」と、明るく笑いながら語っていた。

 ドラマはテレビ東京のほか、テレビ大阪 テレビ北海道 TVQ九州放送でも放送。動画配信サービス「Paravi(パラビ)」「ひかりTV」で毎週金曜午後11時に先行配信される。

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