俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)第25回「羽運ぶ蟻(あり)」が9月27日に放送され、一ノ瀬颯(いちのせ・はやて)さん演じる足利義栄が初登場した。3月1日まで放送されたスーパー戦隊シリーズ「騎士竜戦隊リュウソウジャー」(テレビ朝日系、2019~20年放送)でリュウソウレッド/コウを演じ、人気を博した一ノ瀬さんは今回が初の大河ドラマ。第25回ではわずかなシーンで、言葉を発することもなかったが、ファンから「リュウソウレッド君、イメージ違う」「一ノ瀬君、立派になって…」「将軍になったのかコウ」「一ノ瀬君はほんと眼力すごいよね」などと大きな反響があった。出演が決まったときの心境を「本当に役者としてうれしいことで、この上なく喜ばしいことなんだって感じました」と明かす一ノ瀬さんに話を聞いた。
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一ノ瀬さんは1997年4月8日生まれ、東京都出身の23歳。「騎士竜戦隊リュウソウジャー」が俳優デビュー作で、“戦隊”終了からわずか半年で大河初出演を果たした。一ノ瀬さんは「大河ドラマはみんなが出たいと思っている作品だと思いますし、そこに選んで使っていただけるってことが本当にありがたくて。今までよりも幅広い年齢の方々に見ていただける機会になると思ったので、今の僕の力で何か残せるものがあればという気持ちで臨ませていただきました」と話す。
足利義栄は、阿波にいる義輝・義昭兄弟のいとこ。覚慶(義昭)に対抗する将軍候補として三好義継らにかつがれるが……という役どころだ。演じるにあたっては「『足利氏』というのは誰もが知っている名前なので、それを背負って、役の話ではありますが『将軍』になるということで、今までにない重圧や怖さを感じました。そこも含めて貴重な体験になると思ったので、自分らしく楽しみながらできたらということをすごく意識しました」という一ノ瀬さん。
さらには「義栄は病に冒されながらも、今で言うところの日本のトップに君臨しようとする強い意志を持っていたはず。結局、病気に負けてしまうのですが、それを感じさせない気迫を出そうと思っていました」といい、「史実ベースにはなりますが、残っている文献も少ないので、将軍としての誇りやプライド、強い気持ち、あとは病という障害を核にしながら想像を膨らませながら演じさせていただきました」と振り返る。
10月4日放送の「三淵の奸計(かんけい)」では、義栄が背中にある膿(うみ)を切開するシーンがあり、「せりふなしの表情だけの芝居で、自分は不安な気持ちでいたのですが、撮影が終わったあと、監督がほめてくださったので、すごくうれしかったですし、自分の気持ちが込められた、その表情に注目してもらえたら」と笑顔でアピールしていた。
今回「実在する人物を演じるというのも僕にとって新しい挑戦でしたし、座り方や手の付き方などといった所作はもちろんのこと、病に冒されながらも、それを表に出さない、自分を強く見せる、武士としての心の持ち方も学びました」と手応えを明かす一ノ瀬さん。改めて「騎士竜戦隊リュウソウジャー」への思いを聞くと……。
一ノ瀬さんは「僕の俳優人生の大切な、核になる部分を形作ってもらった、親そのもので、右も左も分からないただの大学生だった僕のあらゆるものの土台を作ってくれたありがたい作品だということをことあるごとに感じています」と思いを吐露。
続けて「壁にぶつかったとき、それを乗り越えるところまで学ばせてもらって、こうやって取材を受けて、緊張しながらも自分が思っていることを相手に伝えることができるようになったのも、戦隊のおかげでもあるので。戦隊がなかったら今の僕はいないと思いますし、これからも戦隊の名に恥じないよう頑張っていけたらなって思っています」と力強く語ってくれた。
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