俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)で、光秀(長谷川さん)の母・明智牧を好演している歌手の石川さゆりさん。牧は、光秀の死んだ父の代わりに「武士としての心構え」を諭す、厳しくも心優しき母で、キャッチコピーは「大地に根を張る光秀の母」となっている。ここまでの撮影を「私には楽しいことばかりです!」と振り返り、「もちろん初めての空気感の中でお仕事するのはいろいろな緊張感もありますし、戸惑いもありますが、とにかくスタッフの皆さんの情熱がありますし、優しいです。ドラマもエンターテインメントですが、音楽のエンターテインメントとは違う、『人間エンターテインメント』みたいな感じで、それが心地よく楽しかったです」と話す石川さんに、「大地に根を張る光秀の母」としての思いを語ってもらった。
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演じる牧の役目を、「息子を育てるという感覚とは違い、ちゃんと家を護(まも)っていく、その家をしっかりと継いでいく、その長(おさ)となる者を育てていきます」とし、「十兵衛(光秀)はいつどこで命を取られるかという日々を過ごして大人になっていきますが、十兵衛が帰ってきたとき『おかえり!』と声をかけるせりふにも、『けがはしてないか、ちゃんと無事か』と、その一言に気持ちを込めながら演じています」と明かす石川さん。
9月27日放送の第25回では、「誇りを持って自分の思うがままに生きなさい。そうする中できっと自分のやるべきことが見えてくるはずです」と牧が光秀に話すシーンがある。
石川さんは「十兵衛が母を美濃に送り届けて帰るとき、きっと彼の頭の中では『誇りを持って生きていくんだ。自分には土岐源氏の血が流れているんだ。でも思うがままって何なんだろう』と、また葛藤しながら、自分の中で自分の行く末を作っていくのだろうと思います」と推し量りつつ、「そういう良いせりふがいっぱいありますね。十兵衛に母としての言葉を一つずつ置いているような、そんな気がしています」と語る。
十兵衛役の長谷川さんについては、「最初の十兵衛は若いので、とにかくがむしゃらに感情を思いっきりぶつけている息子でしたが、経験を積み、男としての心の葛藤を持ちながら今いるわけですよね。長谷川さんと『十兵衛の心の闇なのか悩みなのか分からないけど、そういうのを感じるようになってきたよね』と、ちょっと生意気ですが、お話ししたりしていました。この1年半くらいの間に、長谷川さんも1人の男の人生をお作りになっていて、見ていてとても楽しかったです」としみじみ。
最後に「きっと絶対に麒麟は来ますので、どうぞ楽しみにしていてください。でもいきなりは来ないんですよね。いろいろな日があった先に、麒麟がくると思いますので、くるまでの課程、皆さんが作る人間模様、世の動き、そういうものを楽しんで、感じていただきながら、最後まで見届けていただきたいです。私も十兵衛の成長を、母としてちゃんと見守っていきたいと思います」と誓った。
「麒麟がくる」は59作目の大河ドラマ。1991年放送の「太平記」などで知られる池端俊策さんのオリジナル作。ドラマでは謎めいた明智光秀の前半生にも光を当て、戦国の英傑たちの運命も描く、エネルギッシュな群像劇となっている。
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