俳優の西島秀俊さん、西田敏行さんダブル主演の映画「任侠学園」(木村ひさし監督)が9月27日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開される。ヤクザが倒産寸前の私立高校を立て直すために奮闘し、それが悪者退治、ひいては無気力だった高校生たちを変えていくという異色のストーリー。任侠映画と青春映画の一見ミスマッチながら、そこから生み出されるハーモニーが、笑いと感動をもたらしている。
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地元を愛し、困っている人を見逃せない、義理と人情に厚い弱小ヤクザ「阿岐本組」。社会貢献に目がない組長の阿岐本(西田さん)が、次から次へと厄介な案件を引き受けてくるお陰で、組のナンバー2の日村(西島さん)は心が休まらない。今回はなんと、経営不振に陥った私立高校の立て直しを依頼される。日村が、稔(伊藤淳史さん)たち子分を連れて学園に乗り込むと、割れた窓ガラスが散乱。校長(生瀬勝久さん)は問題ないと言い張るが……。
今野敏さんの同名小説を、ドラマ「民王」や「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズの木村監督が映画化。葵わかなさん、葉山奨之さん、池田鉄洋さん、桜井日奈子さん、光石研さん、中尾彬さんらが出演している。
任侠映画のジャンルに入るが、ヤクザなのに善人というのがポイントで、かなりコメディーに振った内容になっている。「落とし前」の意味が分からない高校生が、「ググっていいですか」と聞くと、今度は日村が「ググる」の意味が分からず……と、世代や立場の差から生み出されるネタに笑いがこぼれた。半面、無気力な高校生が、日村たちの奮闘で変わっていくという青春映画の側面も持ち、爽快な気分が味わえ、ホロリとさせられもした。
日村を西島さんが好演。もろ肌を脱いで、半グレ集団と戦う場面では、驚嘆するほどのアクションと肉体美を見せる。強面(こわもて)親分と好々爺(こうこうや)の顔を柔軟に使い分ける西田さんとの相性もぴったりだ。
「ハスラー2」(1986年)や「太陽にほえろ!」(1972~86年)など往年の映画やドラマ、CMネタが多数仕込まれている。それらに気付かなくても、ストーリーだけで十分に楽しめる。最後に流れるNG集も楽しい。原作同様、シリーズ化を望みたい。(りんたいこ/フリーライター)
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