注目映画紹介:「記憶にございません!」中井貴一らオールスターキャストで贈る三谷幸喜脚本&監督作

映画「記憶にございません!」の一場面 (C)2019 フジテレビ 東宝
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映画「記憶にございません!」の一場面 (C)2019 フジテレビ 東宝

 劇作、演出など多方面で活躍する三谷幸喜さんの8作目の映画監督作「記憶にございません!」が、9月13日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。三谷さんが「THE有頂天ホテル」(2006年)公開後から企画を温めていた作品だといい、脚本も三谷さん自身が手がけた。中井貴一さんをはじめ、ディーン・フジオカさん、石田ゆり子さん、草刈正雄さん、佐藤浩市さんと豪華かつ華やかなキャストが顔をそろえた。他にも、似ているなあと思ったら本物のフリーアナウンサーの有働由美子さんだったり、ミュージシャンのROLLYさんが普通の格好で出ていたりと、驚きと感動の配役。まさに「オールスターキャスト」にふさわしい作品だ。

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 国民に嫌われている首相・黒田啓介(中井さん)は、ある日、一般市民の投げた石が頭に当たり、記憶喪失になってしまう。それを知るのは、秘書官の井坂(フジオカさん)、番場(小池栄子さん)、野々宮(迫田孝也さん)のみ。黒田の妻・聡子(石田さん)すら知らない。それでも黒田は、政策は進めなければならないし、議員たちとは顔を合わせなければいけない。

 フリーライターの古郡(佐藤さん)からは怪しい写真をネタに金をゆすられ、海外からは要人が来訪するなど、弱り目にたたり目状態。この難局を、黒田と秘書官たちはどう切り抜けるのか……。

 描かれていることはあくまでもフィクションだとうたっているが、どうしても勝手にモデルを想像してしまう。それは例えば、黒田の等身大パネルや、国会中継で質問者にヤジを飛ばす議員を見た時など。そういったシニカルなネタを込めた軽妙洒脱(しゃだつ)な語り口に、失笑させられることがしばしばあった。

 配役の妙。記憶を失いすっかりいい人になった黒田を、真面目かつ飄々(ひょうひょう)と演じてみせる中井さん。黒田をゆする古郡役の佐藤さんとの絡みもいうことなし。さらに、怪しくクールな井坂役のフジオカさん、黒田のよき理解者で機転が利く番場役の小池さん、腹黒い官房長官役の草刈さん、どこか抜けてる官邸料理人役の斉藤由貴さん、黒田の妻役で、かなりの天然ぶりを見せている石田さん、そして、妙にはきはきした米女性大統領役の木村佳乃さんと、枚挙にいとまがないほど、それぞれが持ち味をフルに発揮し、見事なアンサンブルを奏でている。ほかにも、吉田羊さん、山口崇さん、田中圭さん、梶原善さん、寺島進さんらが出演。彼らの名(迷?)演技をスクリーンで堪能してほしい。(フリーライター/りんたいこ)

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