鈴木崚汰:アニメ「ウィッチウォッチ」インタビュー 収録は常に「はぁはぁ、大変だ!」 同世代とのアドリブ合戦!

「ウィッチウォッチ」に出演する鈴木崚汰さん
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「ウィッチウォッチ」に出演する鈴木崚汰さん

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の篠原健太さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「ウィッチウォッチ」が、MBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”で放送されている。同作で、ヒロインのドジっ子魔女の若月ニコの幼なじみで鬼の力を持つ高校生・乙木守仁(モリヒト)を演じるのが、人気声優の鈴木崚汰さんだ。テンポの速いコメディーということもあり、収録では常に「はぁはぁ、大変だ……!」という状態ながらも「自分の中では新鮮」と感じているという。収録の裏側を聞いた。

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 ◇“ニコファースト”のモリヒトを表現

 「ウィッチウォッチ」は、「SKET DANCE」「彼方のアストラ」で知られる篠原さんのコメディーマンガ。「週刊少年ジャンプ」で2021年2月に連載を開始した。魔女になるべく修行中の若月ニコと、幼なじみで鬼の力を持つ高校生・モリヒトの同居生活が描かれる。モリヒトには予言された災いからニコを守る使い魔としての使命がくだされ、前途多難でまか不思議な日々が始まる。川口莉奈さんがニコを演じるほか、天崎滉平さん、石川界人さん、楠木ともりさんらが声優として出演する。連続2クール放送。

 鈴木さんは、同作について「篠原先生の世界がこれでもかと発揮された面白い作品」と魅力を語る。

 「テンポ感もよくて、怒涛のコメディーという感じでとても面白いんですけど、その基軸にニコの魔女としての成長物語があることで話の本筋がぶれず、ニコの魔法によってコメディーもさらに豊かなものになっている。キャラクターたちも個性豊かです。ただ、台本をいただいた時に、本当に文字数が多いなと。このテンポ感で、どうやってセリフに落とし込んだらいいのか?と、これは大変なアフレコになるだろうなという印象はありました」

 オーディションでは、モリヒト役と、ニコとモリヒトのクラスメートである“サブカルクソ野郎”マガミケイゴ役も受けたという。

 「モリヒトは、いろいろな選択肢がある役かなと思っていて、ちょっと低めでクールで落ち着いてという場合だと、ケイゴのほうがモリヒトよりも芝居として遊び幅があるなと。ケイゴのほうが僕の中でしっくりくる部分があったんです。とはいえ、モリヒトは僕と同じビンテージ好きなので、選んでいただいて光栄です」

 モリヒトを演じる上では、「ニコへの思い」を大切にしているという。

 「鬼の力を持っていたことで、過去に友達に仲間外れにされちゃったり、ケガをさせちゃったりと苦いバックボーンがありながらも、幼い頃から今に至るまで『ニコを守る』という気持ちは一切ぶれることがなかった部分だと思います。ニコに対する時のモリヒトと、そのほかに対する時のモリヒトでは、はっきりと自分の感覚的にも演技は変えたいというのは軸にしています」

 ニコを演じる川口さんの演技に影響を受けることも多いという。

 「最初は緊張していたと思いますが、純粋で天真らんまんで人のために行動するというニコの美しさみたいな部分は、彼女の真っすぐなお芝居から感じられると思います。モリヒトは、自分の中の“こだわりファースト”ももちろんあるんですけど、行動の基軸が“ニコファースト”なので、収録では、僕としては川口さんが何かするの待ち(笑)。そういう部分も大きいですね。ただ、基本的にはクールで淡々としゃべる。そこには、モリヒトの精神力が乗らないといけないので、説得力を持たせながら演じられたらと思っています」

 ◇同世代の旬の声優が集結 収録現場は?

 「ウィッチウォッチ」では、個性的なキャラクターが多く登場し、川口さん、鈴木さんのほか、天狗の風祭監志(カンシ)役の天崎さん、“サブカルクソ野郎”ケイゴ役の石川さん、良家の魔女である宮尾音夢(ネム)役の楠木さんと、人気声優が演じている。鈴木さんにそれぞれのキャラクターの印象を聞いた。

 「天崎さん演じるカンシは、常々ケイゴ役の界人さんとも話すんですけど、不憫(ふびん)な目に遭わせたい声をしているなって(笑)。声のトーンと関西弁とキャラクターがマッチしている。やっぱりカンシが不憫な目に遭えば遭うほど面白いので、この作品の中で一番大変なキャラクターだと思うんですけど、前のめりに『転んでもシュートだけはするぞ』という天崎さんの気概を感じて、その熱さもすてきだと思います。ケイゴについては、僕が元々ケイゴのほうが手応えがあったと話しましたけど、界人さんが演じるサブカルクソ野郎感が、本当にうざいんです(笑)。あれを聞いたら、界人さんのほうが面白いわ、界人さんはさすがだなって思います。ネムも異質ですよね。楠木さんのあの上品な声でポエムを読むというギャップが面白いキャラクターです。この作品は、登場人物の数だけ芸風があるというか、ボケの種類が変わってくる作品なので」

 収録現場は同世代の声優が多く、「和気あいあいとしている」という。

 「楠木さんがいるとすごくきつく当たられるので、僕もきつく当たり返す(笑)。それで『そうやって鈴木さんをイジればいいんだ』と変な解釈をする川口さんがいて、『あれを参考にしちゃダメだ!』って。楠木さんと川口さんの師弟関係が生まれていたりとか。あと、常にいい人で気を遣ってくれる天崎さんと、結構鋭い角度でものを言ってくる界人さんがいて、バランスがいいですね」

 収録では、アドリブを求められることも多く、第1話でニコの物を軽くする魔法「メッチャライト」によって、モリヒトが中身も軽い“チャラ男”になってしまうシーンは、ほぼアドリブだったという。

 「アドリブを第1話からやるなよっていうのは思いましたけど(笑)。もうちょっとモリヒトのクールで格好いい部分で、キャラ説明したほうがいいんじゃないの?とは思いましたが、そこは魔法のせいでああなってしまって。あのシーンは、台本にアドリブの指示があったので、家で準備していきました。僕は、アドリブを準備していくことが多いので。ただ、チャラ男みたいな役をこれまで演じたことがなかったので、軽い言い回しを考えるのは結構骨が折れました(笑)」

 アドリブもキャストによって特徴があるそうだ。

 「界人さんは、『頭がいいな』と思うジャンルチョイス、ワードチョイスで、ケイゴのサブカル感に合わせたものを持ってくるのが巧みだと思います。天崎さんは、考えてきているのか、その場でやっているのか分からないですけど、とにかく前のめりで、すごくカンシっぽい。何が飛んでくるか分からないので、面白いし、エッジが効いている。川口さんも何を持ってくるか分からなくて、そこがニコらしいですね」

 ◇芝居の変化 「ハッピーにやろう」モードに

 テンポが速く、アドリブ合戦も繰り広げられている「ウィッチウォッチ」の収録で、モリヒト役は鈴木さんにとって挑戦にもなっているという。

 「テンポの速い作品や、掛け合いが大事な作品はこれまでにもあったんですけど、ここまで全部が一個にまとめられて、ずっと『はぁはぁ、大変だ……!』となる作品も珍しいなと。自分の中では新鮮だなと思います。あとは、アフレコ中に笑わないようにするのに必死で。僕はゲラなので、笑っちゃって流れを止めちゃうことがあって、申し訳ないなと。でも、これだけ笑えるって、作品も役者もすごいなと思えるので、なかなかない経験ではあります」

 鈴木さんとモリヒトは「ビンテージ好き」という共通点があるが、そのほかの共通点を聞いてみると、「服だけじゃなく本物志向だったり、こだわり強い部分は似ているかなと思いますけど、最近あまりこだわりもなくなってきた」と語る。

 「とくにきっかけはないんですけど、2年くらい前から急に『楽しく生きよう』と思って。お芝居も、元々は自分のやりたいことをしっかり出すタイプだったのが、徐々にみんなと同じ方向を向いて『作品がよくなればいいよね』という考えに変わっていったんです。そこで『ハッピーにやろう』モードになってからは、とても楽しくもなったし、視野も広がった。根本のこだわりは持ちつつ、だいぶいろいろな振り方をできるお芝居には変わってきたかなと、個人的には思っています」

 「今はもうハッピーにやってます。だから、ストレスがないんです」と笑顔で語る鈴木さん。「ウィッチウォッチ」のモリヒト役でどんな表現を見られるのか、期待が高まる。

 ※天崎滉平さんの「崎」は立つ崎(たつさき)。

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