TO BE HERO X:話題のフジテレビ日曜朝アニメ bilibili×アニプレックスで今までにない作品に プロデューサーに聞く

「TO BE HERO X」のビジュアル(c)bilibili/BeDream,Aniplex
1 / 21
「TO BE HERO X」のビジュアル(c)bilibili/BeDream,Aniplex

 アニプレックスと、中国を拠点に若者からの絶大な人気があるbilibiliによる完全新作オリジナルアニメ「TO BE HERO X」が、4月6日からフジテレビほかで毎週日曜午前9時半に放送されている。特殊な能力を持ったヒーローたちが喝采を浴びる世界が舞台のスーパーヒーロー活劇で、10人のトップヒーローを宮野真守さん、花澤香菜さん、内山昂輝さん、中村悠一さん、松岡禎丞さん、佐倉綾音さん、水瀬いのりさん、山寺宏一さん、島﨑信長さん、花江夏樹さんといった豪華声優陣が演じることも話題になっている。一体どんなアニメになるのか? アニプレックスのプロデューサーの中山信宏さん、高階誠さん、孫宗楨さんに聞いた。

あなたにオススメ

 ◇中国制作のアニメをローカライズ

 ーーアニプレックス、3人の作品との関わり方は?

 中山さん (同作を手掛けた)Haolin(リ・ハオリン)監督が考えた世界観があり、bilibiliさんとのミーティングで、初期のPVを見させていただきました。それがすごく面白くて、共同プロジェクトとしてやらせていただきたいという話になりました。基本的には監督、中国サイドが作ったアニメで、大きな意味で言うと、アニプレックスとしてはローカライズをしています。吹き替え版を作る形に近いのですが、少し違うのは音楽制作に関わっている点です。監督の希望で、澤野弘之さんにオファーすることとなり、アニプレックスとしては澤野さんとこれまでお付き合いがあるので、劇伴を日本で作ることになりました。ヒーローが10人いるので、10人それぞれの音楽を異なる音楽家にお願いしたいと監督に提案したところ、監督に興味を持っていただけて、日本で劇伴を作ることになったんです。劇伴音楽を中国サイドに渡して、中国でダビング作業などをして、日本でチェックをする。ハイブリッドな作り方をしています。実務に関しては孫と高階が担当しています。孫は劇伴周りの発注、コーディネートなど中国語が必要となる実務を担当していて、高階は中国との進行管理、日本語版制作などをやっています。僕はプロジェクト全体を見ています。

 ーー音楽周り以外は、中国で作っている?

 中山さん そうですね。シナリオもコンテも向こうで作っています。

 ーー作品の魅力は?

 高階さん 10人のメインヒーローたちのキャラクターが大きな魅力です。全員が主人公なので、キャストも当然主役級の方ばかりで。またそれぞれのエピソードに担当の劇伴作家がついています。キャスト、音楽がとにかく豪華なんです。エピソードごとに制作しているスタジオも違います。3Dメインのスタジオ、2Dメインのスタジオなど複数あって、それらを混ぜ合わせた作り方が面白いと思います。

 孫さん 世界観が独特です。ヒーローは、信頼する人の数によって能力などが変わります。現代っぽいですし、これまでのヒーローものとは違います。

 中山さん 監督は、展開、ビジュアルなどを含めて、僕らが思うようなヒーローものじゃないものを作ろうしています。アンチヒーローみたいなところもあるけど、必ずしもそうでもない。おそらくいろいろな影響を受けていると思うのですが、監督のフィルターを通して世界を描いています。特にキャラクター、ビジュアルにすごく特徴があります。最初のPVもCGで2次元と3次元をミックスしていて、その中でX(絶対的なヒーロー)が戦うというのが、エポックメーキングでした。監督のビジュアルセンス、世界感、キャラクターがやっぱり面白いですね。

 ーー音楽制作はどのように進めた?

 孫さん 弊社の音楽プロデューサーの山内(真治)が、劇伴作家のスタッフィングなどを担当しています。劇伴の録音は基本的に日本でやっていますが、ラッキーシアンというキャラクターの楽曲のボーカルパートは中国で録音しました。

 高階さん ラッキーシアンの楽曲のボーカリストはbilibili主導の元、中国でオーディションをしたんです。

 中山さん 一つの作品で複数の劇伴作家が参加するのは珍しいのですが、監督は好意的に捉えてくださいました。孫の作業は大変だったのですが、結果として素晴らしい劇伴になりました。

 ◇全員が主人公の豪華声優陣

 ーー豪華声優陣の出演も話題になっています。

 中山さん 最初からさまざまな作品で主役級を演じている方で勝負しようとしました。ヒーローが題材なので、名実共にある方にお願いしようとしました。

 高階さん 原作のない完全オリジナルなので、この作品に興味を持ってもらうきっかけを作るためにもキャスティングは時間をかけて念入りに考えました。でもまさかこのメンツが本当に実現するとは思っていませんでした。

 中山さん オーディションではなくそれぞれ直接オファーさせていただきました。音響制作会社に相当頑張っていただき、最終的にほぼ全員が希望通りに出演していただけることになりました。奇跡的です。

 高階さん 3月29日に開催したジャパンプレミアも奇跡的に全員が会場にそろいましたね。

 中山さん 本編でもメインキャストがほぼ全員そろったエピソードもあります。そのアフレコはすごかったです。震えました。

 ーー日本の豪華声優陣で見てみたいという海外のアニメファンも多いのでは? 

 高階さん 本作は各地と連携して世界同時展開を実現することができました。海外からでもリアルタイムで日本語視聴できる環境を整えています。

 ◇フジテレビ日曜朝に放送する狙い

 ーーフジテレビの日曜朝枠ということでも注目を集めています。

 中山さん フジテレビさんと弊社が組んで、この枠で新作アニメを手掛けることになり、全世界同時展開をする「TO BE HERO X」を日曜朝に放送することが、新たな試みとして最大の効果があるはずですし、意味があると考えています。ヒーローが登場するという作品の世界観も合っているはずです。深夜アニメではなく、日曜朝の枠で放送することにトライしてみようとしました。

 ーー広い層に受け入れられる作品になっている?

 中山さん それは間違いないです。ピーキーではないんです。

 高階さん 凝った作り方ですし、トリッキーな見せ方もしていますが、テーマは王道でストレートな作品なので、老若男女関わらず楽しんでいただけると思っています。

 ーー海外制作のアニメですが、日本のアニメらしさも感じる作品なのか?

 高階さん 序盤のナイス編と魂電編は3Dパートがメインのエピソードですが、その後のエピソードは2Dがメインになっていくので、日本の視聴者にとってもよりなじみやすいのではと思います。なかには日本のクリエーターも参加していたりと、普段見ている日本のアニメとは違う点と変わらない点の両方があると思います。それらを含めて楽しんでいただければ。

 孫さん 日本のアニメに近いものを感じる部分もありますね。さまざまな地域の制作チームが参加していますが、監督がまとめ上げています。素晴らしいです。音楽制作もスムーズに進みました。

 ーー日本のアニメも海外市場を意識した作品が増えているのでは?

 高階さん ビジネスとして海外市場は絶対に無視できなくなっていますし、表現においても海外の方々にどう受け取られるのかという意識は常に念頭に置いています。

 中山さん 監督も世界に向けて制作することが企画のベースにあったと思います。

 高階さん ただ、この規模での全世界同時展開は、アニプレックスとしても初めての試みですよね。

 中山さん ビジネス面でも内容面でも今までにないアニメになっています。

写真を見る全 21 枚

アニメ 最新記事