九龍ジェネリックロマンス:異色のテレビアニメ&実写映画化の狙い しっかりリンクさせ「これまでにないプロジェクトに」

「九龍ジェネリックロマンス」の一場面(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会
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「九龍ジェネリックロマンス」の一場面(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

 「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の眉月じゅんさんのマンガが原作のテレビアニメ「九龍ジェネリックロマンス」が、4月5日にテレビ東京系ほかで放送を開始した。昨年10月、テレビアニメ化と同時に実写映画化が発表されたことも話題になった。一作品がアニメ、実写化されることは珍しくない。だが、アニメと実写ドラマの放送局が異なったり、放送、上映時期が違ったりと連動していないことも多い。「九龍ジェネリックロマンス」は、同じチームでアニメと実写映画をプロデュースし、2作がリンクしたビジュアルや超特報映像が公開された。異色のダブルメディアミックスの狙いとは? アニメと実写映画を共に手掛けるバンダイナムコフィルムワークスの有澤亮哉プロデューサーに聞いた。

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 ◇アニメと実写はリンクできるのか?

 「九龍ジェネリックロマンス」は、テレビアニメ化、実写映画化された「恋は雨上がりのように」でも知られる眉月さんのマンガで、2019年11月から「週刊ヤングジャンプ」で連載中。
ノスタルジーあふれる街・九龍城砦(くーろんじょうさい)の不動産屋で働く鯨井令子は、職場の先輩・工藤発(はじめ)に淡い恋心を抱いており、ふと見つけた一枚の写真から、工藤には過去に自分とうり二つの婚約者がいたことを知る。見つからない記憶、もう一人の自分の正体、九龍の街に隠された巨大な秘密、過去、現在、未来が交錯する中、恋が秘密を解き明かすことになる。アニメは、白石晴香さんが鯨井令子、杉田智和さんが工藤発をそれぞれ演じ、吉岡里帆さんと水上恒司さんがW(ダブル)主演を務める実写映画が今夏に公開される。

 バンダイナムコフィルムワークスは、アニメも実写映画も手掛けているが、有澤プロデューサーによると「九龍ジェネリックロマンス」のようにリンクした形で製作するのは「初めて」という。リンクさせることを前提に企画していたという。

 「弊社は邦画もずっと手掛けていて、私はアニメがメインではありますが、特撮作品の担当もしていて、そのご縁で坂本浩一監督と深夜ドラマを製作したこともあります。昨今、実写映画とアニメの両方で成功している作品が増えていますが、しっかりリンクしているものは少ないのが現状です。なぜだろう?と一視聴者としてモヤモヤした気持ちがありました。うまくリンクさせた作品製作ができないか?と考えていました」

 ただ、全ての作品をアニメ化、実写化できるわけではない。アニメにはなるが、実写化は難しい作品もあるはずだ。

 「マンガを原作とした映像化をする場合、アニメで表現できないものはそこまで多くはないとは思いますが、実写化した際に違和感がないものは限られてきます。逆に、実写向きだけど、アニメでは事業的に成立しづらい作品もあります。悩んでいた時に『九龍ジェネリックロマンス』に出会ったんです。眉月先生の『恋は雨上がりのように』もアニメ化、実写映画化して、どちらも素晴らしい作品で、成功されています。『恋は雨上がりのように』の実績も踏まえて、本作でも原作の魅力をしっかり表現しながら、両方できるかもしれないと考えるようになりました。原作が魅力的なのは大前提としてあるのですが、これまでにないプロジェクトにしようと考え、アニメ化と実写化を一緒に展開する企画として同じプロデュースチームで始動しました。あまりほかの方がやっていないことをやってみたかったんです」

 「九龍ジェネリックロマンス」は、ミステリー、ラブロマンスなどさまざまな魅力にあふれた作品だ。

 「ミステリー、ラブロマンスが美しく共存している中で、一番の魅力は、続きが気になって仕方なくなるところだと感じました。テレビアニメシリーズで、次回が見たくなることは重要です。逆に、実写映画だったら、気になった謎を2時間ほど一気に最後まで見せきることができます。ビジュアルも素晴らしい。映像にして映えるビジュアルでありつつ、生っぽい感情が描かれているので、実写化した際に違和感がないはずです」

 ◇テレビアニメ、実写映画それぞれの特性を生かす

 アニメと実写は表現方法が異なる。毎週放送されるテレビアニメ、映画館で見る実写映画では、視聴方法も違う。それぞれの特性を生かしながら、映像化しようとした。

 「まず大きく異なるのは構成です。テレビアニメシリーズは、海外ドラマのように次が気になる展開にすることを最初から決めていました。原作のミステリー・サスペンスの部分を軸にして、毎話最後にどういうこと!?と次が気になる構成になるよう、岩崎(良明)監督と脚本の田中仁さんと密に相談をしながら制作しました。実写映画化はラブロマンスを軸にしています。要素の多い原作なので、整理しつつ、どっちを見ても違和感がないように意識しながら制作いたしました。軸を明確にしたのですが、やってみるとやっぱりなかなか難しかったです」

 キャラクターの魅力もしっかり表現しようとした。

 「原作のタッチをアニメでいかに表現するのかが重要になってきます。アニメはキャラクターデザインを『恋は雨上がりのように』も手掛けられていた柴田由香さんにお願いすることができました。実写は、キャストの雰囲気がキャラクターとマッチしていて、かつコスプレではない自然な人間・人物に見えることが重要になります。その点において今回は。これ以上ないというほどマッチした素晴らしいキャストの方々に参加していただけました。長期間の台湾ロケがあったのですが、吉岡さんも水上さんも『ぜひやりたい』と言っていただけて、ありがたかったです。アニメも実写もキャストの皆さんが、原作を大好きで、高い解像度で参加していただけました。キャストの皆さん熱によって作品はさらに素晴らしいものになっていると思います」

 舞台となる九龍城砦の再現も作品の肝になってくるはずだ。

 「実写映画は、台湾で撮影して、ロケでは表現しきれない部分に絞ってCGを使っています。アニメは美術が重要になってくるので、最初の課題でした。美術監督として金子雄司さんに参加していただけることになりました。美術面が担保できると信じることができたところで、アニメ化を進められたところもあります」

 今後、テレビアニメと実写映画がどのようにリンクしていくのかも気になるところ。「一つの作品を別の角度で見せようとするのは大変ですし、見た方にどう映るのかはまだまだ分からないところもあるのですが、今後も実写とアニメのリンクも仕込んでいます」と話しており、さらなる展開が注目される。


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