香川照之:出演の決め手は「僕でなければならないという強い意志」 WOWOW「連続ドラマW 災」主演

「連続ドラマW 災(さい)」で主演を務める香川照之さん
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「連続ドラマW 災(さい)」で主演を務める香川照之さん

 WOWOWで4月6日午後10時から放送・配信される「連続ドラマW 災(さい)」で主演を務める香川照之さん。姿や口調、顔つきを変え、性格や所作まで変えて、まったくの別人となって登場人物たちの前に現れる、人に災いをもたらす“ある男”を演じる注目作だ。香川さんにオファーを受けた理由や作品の見どころを聞いた。

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 ◇自身へのオファーに感謝

 完全オリジナルの本作は 、葛藤を抱えながら現代を生きる罪なき6人の登場人物のもとに香川さん演じる“ある男”が現れ、ある“災い”が無慈悲に降りかかる様を描く。“ある男”は何者なのか? “災い”とは何なのか? いつ、誰に“災い”が降りかかるのか。“男”の存在がこれまでにない恐怖をもたらす……というストーリー。監督・脚本・編集を、香川さんの主演映画「宮松と山下」を手掛けた監督集団「5月」の関友太郎さんと平瀬謙太朗さんが務める。

 オファーを受けた決め手について「僕でなければならないという強い意志があった」と明かす香川さん。「これまで全て“僕でなければ”というところでオファーを受けてきました。それは台本の内容ではない」と自身のスタンスを口にする。

 「役者はそういうものだと思っています。細かいところでお話をさせていただくことはありますが、最初から何か高邁(こうまい)なことや“大先生”のような形で受けるのは違うような気もしております。すべての方の意見ではないですが、僕自身はそう感じています」

 台本の初見の印象を「今回は2人ですが、佐藤(雅彦)監督が入った3人組で5月組というイメージ。3人で一つの組という意味では、お三方が書く本は何ら驚くことはないというか。また特異な本を書いてきた」とユーモアを交えて語る。

 「いま映像や写真は加工できるから“ウソ”をつける。音も“ウソ”をつけて本来、例えば水滴のポチャッという音がそんな聞こえるわけないのに、映像では大きなボリュームで効果的に魅せる。このお三方は映像でしかできない“ウソ”をどれだけ入れるかという力が飛躍的に長(た)けていて、今回もものすごい“ウソ”を入れてきたなと。本当はどうということを彼らは考えてないはずだし、本当なんかなくて“ウソ”で終わって“ウソ”のうちに閉じていくということだと思います。それが非常にいいバランスだし、緻密な犯罪を積み重ねた本ができたなという感じがして面白い本でした」

 ◇6役の演じ分けは

 6パターンの役を演じた香川さん。“ある男”というキャラクターをどう解釈してアプローチしたか聞くと、「髪形と衣装が変われば、だいたい変わったように見えるという信念があります」と応じる。

 「衣装合わせと髪形から始まって面白い話ができて、衣装もなかなか面白くて髪形もいろいろとカツラを使うなどして分けられた。あとはちょっとしたさじ加減で変えていこうと現場で話していきました。(演じ分けでは)スピードとか高低とか全部を変えなければならないと思っていました」

 心情面での演じ分けに関しては、「気持ちは関係なく動いていました。気持ちではなく、こういう人というところに向かっていっていただけ」と語る。

 「何者でもないとか、得体の知れないということはあまり考えず、せりふを1話では優しく言って、別の話ではガサツに言って、また他の話では物怖じして言ってというような形で、ニュアンスを追っていくイメージでした」

 その意図について、ストーリーの中の人物を演じる意識かという質問にうなずきつつ、「全シーンに出ているわけではなく、出演シーンが限られていると(見ている)みんなが勝手に想像してくれる。その配分も含めて、使い方を2人の監督がわかっていらっしゃる。一人の人物を共通して使うけど、ある程度振ったら次からはあまり見せずとも記号化していく意味で、こちらとしてはあまり何かを入れることはしなかった」と説明する。

 ◇ドラマの“進化”を「実験的に見てほしい」

 今作では、香川さん演じる“ある男”を追う神奈川県警捜査一課の刑事・堂本翠役を中村アンさんが演じる。ドラマ「日本沈没-希望のひと-」(TBS)以来の共演に、香川さんは「久しぶりにご一緒させていただいて、すっかり落ち着いた大人の女性の役が似合うようになっていました」と話す。

 演技面でのやりとりはという質問に、「特になかった」といい、「監督が懇切丁寧にアンさんを指導されているのをほほ笑ましく見ていました。『すごくいいです!』と監督が言っていたから、『いいな。僕はこんな褒められたことない』なって」と笑う。

 監督2人体制について「信頼する人が一人増えているだけで、監督が2人いることで混乱することはなく、むしろいい形になった」と手応えを口にしつつ、「『宮松と山下』では佐藤(雅彦)監督もいらっしゃったので、僕の中では2人いていいバランスというよりも、喪失感の方が大きかった。佐藤さんがいたら何を話してくれるのだろうという」と率直な思いを口にする。

 「佐藤さんが“教授”としてお話ししてくれる時間が面白いので喪失感があったのかな。もちろん2人でもちゃんと変な世界観が進んでいくのには安心しました。(関さんと平瀬さん)2人の佐藤監督に対する思い、信頼感もすごいし、僕も佐藤さんに対する信頼感は強い。(佐藤さんは現場に)いてほしいと思う人物ですね」

 独特な手法で既存の作品とは一線を画したかのような仕上がりとなっている今作の魅力を、香川さんは「このドラマを見た時間は何だったのだと感じる人もいるだろうけど、そういうドラマでいいのでは。ドラマはここまでいったのかという感じがします」と表現する。

 「こういう作品が好きだという人を発掘するドラマなのかもしれない。わからないと言うのは簡単だけど、こういう作品だからこそ、わかったと手を挙げて自分が特化されたところに入りたい方もいらっしゃるのでは。(ドラマが)ここまで進化したので実験的に見てほしいです」

 「連続ドラマW 災」は4月6日スタート。日曜午後10時からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信。全6話で第1話は無料放送。また、第1話をWOWOWオンデマンドとYouTube・WOWOWオフィシャルチャンネルにて無料配信中。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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