堀田真由:「御上先生」で殺人犯役 接見室のシーンは「全てを見られているような感覚だった」

連続ドラマ「御上先生」の一場面(C)TBS
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連続ドラマ「御上先生」の一場面(C)TBS

 俳優の松坂桃李さん主演のTBS系日曜劇場御上先生」(日曜午後9時)で、国家公務員採用総合職試験の会場で殺人事件を起こした犯人、真山弓弦を演じている堀田真由さん。第1話の冒頭で事件が起こり、第2話のラストで弓弦が犯人だと明かされた。堀田さんは「アンチヒーロー」(2024年)以来の日曜劇場出演で、両方の作品でプロデューサーを務める飯田和孝さんから「今度も大変です」とオファーの際にいわれたという。堀田さんに弓弦の役作りなどについて聞いた。

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 ◇キャリアの中でも大事な作品「アンチヒーロー」のスタッフと再び

 ドラマは、日本の教育を変えようという思いを持つ文科省官僚の御上孝(松坂さん)が、自ら私立高校の教壇に立ち、令和の時代を生きる18歳の高校生を導きながら、権力に立ち向かっていく、オリジナルの“大逆転教育再生ストーリー”。松坂さんの主演映画「新聞記者」(2019年)以来のタッグとなる詩森ろばさんが脚本を担当。「VIVANT」(2023年)など話題になった日曜劇場を担当してきた飯田さんがプロデューサーを務めている。

 堀田さんは昨年、「アンチヒーロー」に出演していたときに「御上先生」のオファーを聞いたという。

 「飯田さんと『アンチヒーロー』をご一緒させていただいたときに、『御上先生』もご一緒できるということをお聞きしました。また新しい挑戦を一緒にさせていただけるということと、『アンチヒーロー』は私の役者人生の中でも大事な作品の一つなので、そのスタッフの皆さんとまた一緒に物作りをできるというのが、すごくうれしかったです」と語る。

 劇中で、弓弦を堀田さんが演じていることが明らかになったとき、SNSでは「勝手に犯人は男だと思ってた」と驚きの声が上がった。堀田さんは、「飯田さんからクランクインの前にお手紙をいただいて。そこには『もともと男性の役で考えていたのですが、女性に変更した』と書いてありました」という。

 ◇殺人犯役に「分からなさを抱えたまま現場にいた」

 「アンチヒーロー」で堀田さんは5カ月間、弁護士の紫ノ宮を演じ、「自分でも気づかないうちに役と同居していた」と初めての感覚を味わったという。それは「御上先生」の弓弦の役作りとは「まったく別ものだった」というものの、弓弦は「みんなで悩みながら作った」と明かす。

 「人を殺めてしまうことは到底想像ができないところにありました。どこか理解はできるけど、本当に理解してはいけないし、でも受け入れないと、この役を演じられないし……。そういった経験は初めてでした。ずっと分からなさを抱えたまま現場にいたのですが、ふと、分からないことって別に悪いことじゃないなと思って。むしろ分かったつもりで物事を進めていくこと、お芝居に限らず生きていく中でも、全部自分が分かっていると思うことの方が怖いのではと思いました。今までと違う角度から物事を考えられる作品になったので、これからこのお仕事を続けていく上でとても大事な時間だったなと思います」

 ◇弓弦の心の距離を接見室で椅子を引く距離に置き換え

 弓弦は事件を起こしたあと、拘置所に送られたため、登場シーンのほとんどが接見室での会話となる。堀田さんは無機質な接見室の場面を演じるにあたって、少し工夫を凝らしたという。

 「本当に無機質な空間なので、全てを見られているような、心を見透かされているような感覚でした」といい、その中で「自分の中でちょっと意識していたのは、大体、接見室のシーンは弓弦が入ってきて、椅子に座るところから描かれるのですが、いつも椅子を引くんです。その動きが心の距離と実際の距離を少し反映して見えたらいいなと思っていて。最初は椅子を引いていたのに、御上先生(松坂さん)や神崎君(奥平大兼さん)と会って自分自身で社会と向き合い、やっと後ろ向きにならずにいられるようになった状態では、椅子を引かずにすんなり座っていて。自分の中でのちょっとしたこだわりみたいなものは、その距離で出せたらいいなと思い、考えてやってみました」と明かした。

 ◇「私自身、ハッとさせられた」せりふとは?

 御上先生が生徒たちに伝える「考えて」という言葉が象徴するように、考えさせられる社会的なテーマが詰まっている「御上先生」。出演している堀田さん自身も考えさせられるせりふがあった。

 それは第5話で神崎と御上が弓弦と面会したシーンの中でかたられたせりふだ。御上がある映画についての話をすると、神崎が「ほんとに悪いやつは、ここにもいないって言ってくれてるんですよね。でも……自分の責任だって思わないと、進めないから。俺も、弓弦さんも」と語った。

 堀田さんはこのせりふで、「私自身、ハッとさせられた」という。「自分ではなくて世の中の責任にしてしまっていることってすごく多いと思っていて。学校だったり、会社などの組織の中で、他人の責任にしてしまうことってあると思うんです。そうではなく、自分自身が考えて行動するだけで、もしかしたら隣の人の痛みや弱さに気付けたり、社会に対しても自分自身がどうしていきたいのかって考えなくてはいけないなって。詩森先生が描かれる世界は、本当にすてきなせりふが多くて、一つ一つのせりふが重みを感じる言葉ばかりで印象に残っています。とくにあのせりふは『ああ、すごい言葉だな』と思って、心に響きました」としみじみ語る。

 弓弦は、接見室の中でどう変わっていくのか。堀田さんの繊細な演技を確認しつつ、弓弦の心の動きを見守りたい。

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