海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
吉高由里子さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマは、最終回「物語の先に」の放送を残すのみとなったが、個性豊かなキャストによる名演、名場面が、この1年間で数多く生まれたことは間違いないだろう。ここでは、主人公・まひろ(紫式部)と藤原道長のその後に大きな影響を与えた直秀と、役を演じた毎熊克哉さんの足跡(活躍)をたどりたいと思う。
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毎熊さんが演じた直秀は、昼は散楽の一員として風刺劇を披露し、夜は貧しい人々のために義賊として活動するドラマのオリジナルキャラクターで、登場回数を重ねるたびに人気は上昇。一方で“悲劇的な最期”を迎えたことでも知られる。
ニヒルだったり、ちょっとひねくれていたり、それでいてさりげない優しさを見せたり、女性ファンが惹(ひ)かれるような“陰の部分”も持ち合わせていた直秀。
まひろと道長を再会へと導いた第5回「告白」では、まひろが語ったこと(道長の兄がまひろの母を殺めた云々)を確かめるため、去っていく道長に対して、直秀が放った一言「帰るのかよ」が話題に。第8回「招かれざる者」のまひろに「一緒に行くか?」と問いかけるシーンでも視聴者の心をつかみ、「私も直秀さんに言われたい!」との声が上がった。
この反響に対して、毎熊さん自身は驚きを隠せず、「そんな大ごとになるとは思っていなかった」「そんな多く登場するキャラクターではないですし、まひろと道長を再会させるとか、物語の中での役割はありますけど、直秀で“キュン”となるのは計算外」とインタビューで語っている。
直秀のアクロバティックな動きを実現させた毎熊さんの身体能力の高さも注目を集めたが、出番は第9回「遠くの国」までで終了。同回で、直秀が“悲劇的な最期”を迎えたからだ。
第8回「招かれざる者」のラストで、盗みに入った東三条殿で捕まり、その後、無残にも殺されてしまった直秀。鳥辺野に討ち捨てられた遺体を道長が発見したとき、その手に握られていたのは泥だった。
劇中では、直秀の遺体を発見し、言葉をなくす道長が手に握られた泥を見つけて払ったあと、代わりに自分の扇子を持たせてやる、という流れとなったが、一握りの泥には“ある思い”が込められていた。
毎熊さんは「国、権力に対する反抗。悔しさがにじみ出ている死に方に見えたらいいなと思ったし、それを道長にバトンタッチしたいと思った」と話していて、のちに時の権力者となる道長と、それを望んだ本人のまひろにとって、直秀の死は大きな転換点だったと言えるし、その役割を見事に全うした毎熊さんに拍手を送りたい、
「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性による小説といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。
最終回「物語の先に」が、12月15日に15分拡大で放送。
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