カムカムエヴリバディ:18日から再放送スタート 制作統括が語る「最後の伏線回収」とは?

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でヒロインを演じた(左から)上白石萌音さん、川栄李奈さん、深津絵里さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でヒロインを演じた(左から)上白石萌音さん、川栄李奈さん、深津絵里さん (C)NHK

 2021年後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(全112回)が、11月18日から総合テレビの月~金曜午後0時半~同0時45分の再放送枠でスタートする(NHKプラスでも配信)。上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんの3人のヒロインがつむぐ100年のストーリーが再び始まるに当たって、再放送では異例だが制作統括の堀之内礼二郎さんが取材に応じた。

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 ◇再放送の最終回が2025年春になるように放送直後から動いていた

 「カムカムエヴリバディ」は、朝ドラ史上初の3人のヒロインが織りなす100年のファミリーストーリー。NHK大阪の制作で、京都・岡山・大阪を舞台に、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描いた。上白石さんが祖母の安子役、深津さんが母のるい役、川栄さんは娘のひなた役として、バトンをつないだ。

 藤本有紀さんの緻密な脚本によって、壮大な伏線回収が話題になった今作。堀之内さんは今回の再放送が「最後の伏線回収」と位置づけている。

 「カムカムエヴリバディ」の物語は日本で初めてラジオ放送が始まった1925年3月22日の場面で幕を開ける。来年3月にはその日から100年を迎え、さらに最終回(再放送では4月末を予定)は2025年の春を描いていた。

 堀之内さんは「個人的な思いですが、今回の再放送が僕の中では“最後の伏線回収”なるんじゃないかと思っています」と力を込める。

 「企画の当初は最終回放送時の現代、2022年の春で終わるかもしれない可能性もありました。むしろそっちをイメージしていたんですね。ただ、それを考えていたのは、コロナ禍の前だったんです。コロナ禍が始まって半年ぐらい何もできない期間があって。最後はコロナ禍の未来で終わるんじゃなくて、もっと先まで行きたいよねっていうふうに思ったんです。ちょうど100年で切りもいいですし、2025年まで行こうよと。そして、そのときには、コロナ禍が明けていますようにと。だから、最終回の2025年のシーンは誰もマスクしてないんです。気兼ねなくマスクを外して笑い合えるような世の中になっていますようにという願いを込めてあのシーンを描きました」

 再放送の終盤が2025年春に当たるように、放送が終わった2022年当初から堀之内さんは動いていた。

 「僕は、2025年にもう一度あの(最終回の)シーンをみんなで見たいと、2022年の春に放送が終わったときからずっと動いてたんです。実は、編成の方にBSの朝の再放送の枠で2024年秋から再放送してほしいとお願いしていました。編成の方も『カムカム』のファンだったので『ぜひやりましょう』と。そうしたら、その担当者の方が異動してしまって(笑)。後輩に引き継いでくれたので、後輩の方とまたやりましょうねって話していたら、その方もまた異動されたんですね。実は今回かなったのが3代目の編成の方で。こちらでも3代の思いがつながって、この再放送がかなって、大きなご縁を感じています」

 ◇再放送前に異例の特番 2800通届いたアンケートすべてに目を通す

 再放送に当たって、異例の放送前特番が3日間にわたって組まれた。特番のために10月に実施した「あなたの心に残る名場面」アンケートには、10日間で2799通が寄せられた。堀之内さんはそのすべてに目を通し、「正の字を書いて」トップテンを集計したという。

 「初日から500通、次の日も1000通のような感じで、一気にどんどん届いたので、その愛の大きさ、強さに一番驚きましたね。書いてある内容も熱量がものすごくて。1枚のアンケートに1、2シーンぐらいかなって思ってたんです。そうしたら、自由記述だったので、多い方は10個ぐらい書いてくださった。理由についても、10個全部について書いてあったり、感想メッセージにびっしり書いてくださった方もいて、ここまで愛してくださっていたことに改めて気付かされましたし、感動しました」

 「読んでいるといろんな思いが湧いてくるので、遅々として進まないというか……」とアンケートすべてを読むのに3日間で延べ18時間ほどかかったというが、堀之内さんは「至福の時間でしたね」と笑顔を見せる。

 「カムカムエヴリバディ」の再放送は、「おむすび」の昼の再放送の直前の枠になるため、2作を続けて見る視聴者も増えそうだ。そんな視聴者に向けて、堀之内さんは「全然違う味わいですので、逆に新鮮な気持ちで見ていただけたらうれしいです」と話す。

 「太平洋戦争の時、懸命に命をつないだ方々が、いつか平和な時代が来ますようにと願っていた世界が、今、『おむすび』で描いている現代だと思います。安子や稔の願いがかなって、『おむすび』で結や私たちが生きている平成、令和があるんだと思いながら見ていただくと、味わいもちょっと違って見えてくるんじゃないかなと。そんなふうにつながればいいなと思ってます」とメッセージを送った。
 

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