一ノ瀬颯:リュウソウジャーから5年、俳優として次の“野望”は 「ハスリンボーイ」撮影は「貴重な経験」

一ノ瀬颯さん
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一ノ瀬颯さん

 俳優の間宮祥太朗さんが主演を務める「連続ドラマW-30『ハスリンボーイ』」が、11月1日からWOWOWで放送・配信される。池袋の裏社会の均衡をかき乱す謎の青年・ウツロ役を演じるのは、俳優の一ノ瀬颯さんだ。間宮さん演じるタモツの“最大の敵”として立ちはだかることになる役どころをオファーされての心境、つかみどころのないキャラクターの役作り、デビュー作「騎士竜戦隊リュウソウジャー」から俳優として大きく飛躍した5年間、今後の展望を聞いた。

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 ◇ウツロ役は「役者としてまた違う幅が広がる」

 ドラマは、ライター・作家の草下シンヤさんと本田優貴さんがタッグを組み、2018年に「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載された同名マンガが原作。非合法なツールを扱う「道具屋」として池袋の裏社会に足を踏み入れた冴えない大学生のタモツ(間宮さん)が、ヤクザ、半グレ、中国マフィアなど、ひと筋縄ではいかない悪人たちの中で生き抜いていく姿を描く。

 一ノ瀬さんが演じるウツロは、池袋の裏社会の均衡をかき乱す謎の青年。これまでとは雰囲気が異なるキャラクターだが、一ノ瀬さんは「今までやってきたことがなかったような役柄なので楽しみでした」と期待感があったと語る。

 「怖いもの見たさではないですけど、(今作で描いているような世界は)気になる世界ではあると思います。まったく知らないし、自分の常識が通用しない世界を描く作品の中でウツロとして生きることができるのは個人的にも楽しみでしたし、役者としてまた違う幅が広がるという意味でも楽しみでした」

 そんな一ノ瀬さんは原作マンガを読み、「ビジュアル的なところもそうですし、考え方もしゃべり方も自分にない要素だらけという感じだった」とウツロの第一印象を明かし、「自分がやったらどうなるのだろうと想像がつかず、ドキドキとワクワクが混在しているような感じでした」と当時の心境を振り返る。

 役作りにあたって手がかりの一つとなったのは、監督から言われた「動いてほしい」という言葉だ。

 「ちょっとした段差にぴょんって飛び乗ってみたり、立っているときも少しゆらゆら揺れたりというイメージですね。動きに感情や言葉を乗せて、その行動を正当化というか正しいものに、しっくりくるように持っていきました」

 自身にとって初めての試みとなった演じ方に、一ノ瀬さんは「僕自身、昔から教室に前と後ろに入り口があったら、前の席でも後ろから入るようなタイプ。目立ちたくなかったので、その意味では怖さはあった」と不安を感じつつ、「(役としてでも)やってみると楽しかった。思っているほど嫌な感じではなかった」と発見があったという。

 「動くことにフォーカスを当てちゃうと気持ちがついていかなくて整合性が取れず、『気持ちが乗っかっていないと思われてしまうのでは』と不安があった。ただ(演じていて)そういう感覚に自分自身ならなかったし、むしろこれだけ動くこともありなのだと教えてもらいました。役者としてもワクワクして楽しかったと同時に、やってみるまではちょっと不安だったという、貴重な経験でした」

 ◇「リュウソウジャー」から5年で芽生えた俳優としての自覚

 特撮ドラマ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレビ朝日系)でリュウソウレッド/コウ役を演じてから約5年。一ノ瀬さんは「あっという間ですけど、思い返してみると結構な長さもあり、いろんな役や仕事をさせていただき充実していました」と笑顔で話す。

 “月9”やNHK大河ドラマにも出演するなど、駆け抜けるように俳優としてのキャリアを重ねてきているが、一ノ瀬さんは「自分としてはまだまだ『お願いします!』という精神なので、求めていただけるようになれたらうれしい」と謙遜する。

 小学生の頃に戦隊作品に憧れていた一ノ瀬さんだが「大学に入るまで勉強と部活しかしていなかったので、あまりドラマは見ていなかった。どうして俳優になりたいと思ったのかは、幼心ながらに感じるものがあったのだろうなとは思います。楽しそうだな、やりがいがありそうだなって。それは実際にやってみても間違いなかったです」と語る。

 「人生一度きりだから自分が興味あることを仕事にしたい。最初に志すきっかけとなったのは、高校1年生の時に論述テストを受けて、人生の半分以上の時間を占める仕事をやるなら僕はやりたいことを優先したいと思った。結果、運良くこうやってできているので、あの時そう思ってやってきて良かったです」

 そんな一ノ瀬さんに、俳優になってからの5年間を一言で表すならと尋ねてみると「新人生」と返ってきた。

 「それまでいた世界とまったく違うし、(俳優とは)ほぼ縁のない人生を送ってきたので、まったく違う世界という意味で“新人生”。この仕事をやりたいと感じたのも、キャラクターを演じることで自分とは違ういろいろな人生を生きられるかなと思ったから。一つの役ごとに“新人生”を歩んでいます」

 最後に、途中で30歳も迎える次の5年で成し遂げたいことについて「まずは主演を任されるような人になりたい」と力強く答えてくれた一ノ瀬さん。

 「主演でないといけないわけではありませんが、一つの目標としてど真ん中の芝居をできるようになりたい。(俳優は)それぞれに適性があると思うので、自分に適性があるなら主演をやってみたい。もし実現したら今までご一緒してきた先輩方、特に『テッパチ!』でご一緒した町田啓太さんが作品を愛し、周囲のさまざまなことを気にかけていた姿が忘れられないので、自分もそういうことができる人になりたいです」(取材・文・撮影:遠藤政樹)

 ※「連続ドラマW-30『ハスリンボーイ』」は11月1日から毎週金曜午後11時放送。全8話で初回は無料放送。

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