海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
「スクール☆ウォーズ」「ヤヌスの鏡」など日本のテレビドラマ史において、ひときわ異彩を放ち、視聴者を熱狂させた「大映ドラマ」。大胆なストーリー展開に、キャスト陣のエモーショナルな演技は、今なお色あせない魅力を放っている。ここでは毎回1作品にスポットを当て、その作品の特徴や当時の社会背景なども探りつつ魅力をひもといていきたい。今回は1983~1984年に放送された堀ちえみさん主演の「スチュワーデス物語」(TBS)について取り上げる。
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「スチュワーデス物語」は深田祐介さんの同名小説が原作。パイロットだった亡き父と同じ日本航空のスチュワーデスを目指す松本千秋(堀さん)の“根性”と“成長”を描くストーリーで、教官である村沢浩(風間杜夫さん)との恋愛、同期の仲間たちとの友情、村沢の婚約者・新藤真理子(片平なぎささん)や、継父の松本誠治(長門裕之さん)の嫌がらせとさまざまな出来事が巻き起こる中で、一人前のスチュワーデスになるべく奮闘していく千秋の姿が描かれている。
“お仕事ドラマ”にいわゆる“スポ根もの”の要素を絶妙なバランスで掛け合わせつつ、親族からのイビリにライバルからのいやがらせ、劇画タッチの演出やセリフ回しといった“大映イズム”で彩ったまさに1980年代を代表する金字塔とも呼べる作品だ。ちなみに同じ深田さんの小説を原作に同作のメインスタッフが再集結した「トップスチュワーデス物語」が1990年に放送されており、山田邦子さんが主演を務め、井森美幸さんらが出演している。
「スチュワーデス物語」が放送された1983年は、連続テレビ小説「おしん」が社会現象化し、東京ディズニーランドの開園、テレビゲームブームのきっかけとなった任天堂のファミリーコンピュータが発売と、現在まで続くエンターテインメントカルチャーにとって大きな年となった。
そんな1983年に放送された同作で主演を務めた堀さん。当時16歳ながら19歳の主人公・千秋を演じたが、フレッシュな訓練生らしさが随所にでていた。「教官(きょおかん)!」「ドジでノロマな亀」といった作中のせりふが流行語になり、誰もがまねしたのも必死で千秋を演じた堀さんの姿があってのことだろう。
本作の後も同じ大映テレビ制作の「スタア誕生」(フジテレビ)、「花嫁衣装は誰が着る」(同)でも主演を務めており、まさに80年代の大映ドラマを代表するスターとなった。近年ではタレントとしても活動しており、口腔がんの闘病を経て、現在でもコンサートを行うなど活躍している。
山咲千里さん、高樹澪さんらが演じた千秋の同期生たちや、石立鉄男さんをはじめとした大映ドラマおなじみの面々など魅力的なキャストの中で、特に印象深いのは後の“2時間ドラマの女王”片平さんが演じた新藤真理子だろう。
真理子は、千秋が憧れる村沢の婚約者で、社長令嬢という典型的な“恋のライバル”だが、村沢のせいで両手を骨折して義手になったという強烈なエピソードまで付いてくるのは大映ドラマならでは。歯を使って手袋を外す(効果音付き)というくだりはインパクト大で、前述の千秋のせりふと並んでまねした人が多かった。今でも手が塞がって、歯で手袋を外すときについつい思い出してしまう人もいるのでは。【ドラマ取材班・T】
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