5度目のドラマ化が決定し、令和の世でもにわかに注目を集める名作マンガ「南くんの恋人」。新作ドラマは設定を“男女逆転”させ、「南くんが恋人!?」とのタイトルで、テレビ朝日系で7月にスタートするという。過去4度の実写化において、もっとも有名なのが、高橋由美子さんと武田真治さんのコンビで1994年に同局で放送された連続ドラマだが、実は実写作品としては2作目。では、記念すべき1作目は……。
ウナギノボリ
解説:朝ドラ“メガネっ娘”の系譜 過去にもブレークした俳優が
「南くんの恋人」は、内田春菊さんが1986~87年に青林堂のマンガ誌「月刊漫画ガロ」で連載し、1987年にコミックスが発売された。メガネ姿の平凡な高校生の南くんと、手のひらサイズになった小さな少女・ちよみの同居生活を描いた異色のラブストーリーだ。
ある日突然、体が小さくなってしまったことで、家には帰らず、それ以前から恋人だった南くんの部屋で暮らすことを選んだちよみ。不便なことや危険なこともありつつ、南くんに面倒を見てもらいながら楽しい日々を送っていたが、思わぬ運命をたどる。
終盤、二人で出掛けた旅行先で、南くんが崖から転落。シャツのポケットに入っていたちよみは、体が小さかったため、衝撃に耐えきれず、意識がもうろうとなり、その後、命を落とすという、何とも悲しい結末を迎える。
マンガは、2012年に「南くんは恋人」とのタイトルで25年ぶりに復活。小さかったちよみは元の人間の大きさに戻り、南くんの方が手のひらサイズになるという逆転設定で、新たな恋物語が展開した。ちなみに、この「南くんは恋人」も、飯沼愛さん主演の新作ドラマ「南くんが恋人!?」の原案にクレジットされている。
そんな「南くんの恋人」だが、最初に実写化されたのは1990年。手のひらサイズの小さな少女・ちよみに扮(ふん)したのは石田ひかりさんだった。南くん役は工藤正貴さんが務め、TBS系で単発ドラマとして放送されている。
同作の知名度が、ドラマ1作目でありながら高橋さんと武田さん共演の1994年版に劣るのは、やはり実写化作品の中で唯一の単発ドラマだったことが大きい気がする、また、南くん役の工藤さんが、1993年に俳優を引退してしまったことも多少、影響はしてるのかもしれない。
実際、5度目のドラマ化が発表された際、高橋さんと武田さんの名前がX(旧ツイッター)のトレンドに浮上した一方で、「『南くんの恋人』の一番最初は石田ひかりだったのは知らなかったな~」「『南くんの恋人』って高橋由美子さんのが初代と思ってたけど石田ひかりさんが初代なんだね」との声が上がっていた。
もちろん、1990年版を「覚えている」といったドラマファンは一定数いる。また世代によっては、深田恭子さんと二宮和也さん(2004年)、中川大志さんと山本舞香さん(2015~16年)をイメージするだろうが、やはり、「南くんの恋人」といえば「高橋さんと武田さんのコンビ」との図式は揺るがないようにも思える。
1990年の単発ドラマが、このまま“知る人ぞ知る1作目”となってしまうのは惜しい気がするが果たして……。
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