海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
人気刑事ドラマ「相棒 season22」(テレビ朝日系)でIQ150の天才少年・山田を演じて注目を集めた俳優の中川翼さん。子役出身で、昨年はNHKの「ドラマ10『大奥 Season2』」にも起用された18歳は、この春に高校を卒業し、今後は役者一本でやってくことを決意した。“新社会人”としての1作目となる連続ドラマ「お迎え渋谷くん」(カンテレ・フジテレビ系、火曜午後11時)に出演中の中川さんに今の思いを聞いた。
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中川さんは2005年12月6日生まれ、神奈川県出身。2016年の映画「僕だけがいない街」で、藤原竜也さんの小学生時代を演じたことでも知られ、2021年1月期の連続ドラマ「青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-」(カンテレ・フジテレビ系)や、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などにも出演してきた。
「相棒 season22」における“天才少年”役への反響は大きかったようで、先月まで通っていた高校では、校長先生から「写真を一緒に撮ってもらえないか」と声をかけられるほど。また、中川さんがこの春、卒業したのは芸能コースのない公立高校で、サポートしてくれた先生方に「成長した姿を見せることができた」という手応えもあったと話す。
「単位取得のため、ほかの生徒と同じように授業やテストを受けなくてはいけない中、常に気にかけてくださった先生方に、いい形で恩返しできたという意味で、『相棒』は僕にとっての一つのターニングポイントになったのかなと思います」
在学中は、仕事をしつつも、多くの時間を普通の高校生として過ごしたが、これは中学から高校へと上がるときに、あえて自分で選んだ道でもあった。すでに連続ドラマにレギュラー出演していた中川さんだが、そこには“ある思い”があったと明かす。
「3年前の高校進学の際、公立か芸能の学校か、どちらを選ぶのかは、僕にとって大きな決断だったのですが。この日本にいる多くの人が経験する道と同じ道を歩みたい、その方が今後の演技に生かせるんじゃないか、より共感してもらえる演技ができるんじゃないかと思って公立を選びました。結果、3年間きっちり通って、単位を落とすことなく卒業できたことは、僕にとって大きな財産になりました」
そんな中川さんは、大学に進学せず、今後は役者一本でやっていくという。
「元々は大学に行く気満々で、高校1年の時点で、先生に進学の意志を伝えていたくらいだったのですが。2023年に『大奥』に出演した際、独学で英語を身につけた福士蒼汰さんの姿から、勉強するしないは自分次第で、大学に行かなくても勉強はできるということを教わりました。それが大きな刺激にもなりましたし、『相棒』でも、水谷豊さんから18歳のころのご自身の体験談を聞けて、よりドラマ、映画というものに対してしっかりと向き合いたいと思えたんです」
改めて「いい経験をしてきた中で、いい決断ができたと自分でも実感しています」と口にする中川さんだが、実は高校生活で一つだけ心残りがあるといい、その答えは、なんとも普通の18歳らしいもの。
「欲を言えば、もっと『キャーキャー』と言われたかったかなって(笑い)。実はひそかに、華やかな高校生活を期待していたので、廊下に女子の行列ができるとか、ロッカー開けたらプレゼントがドバドバ落ちてくる、みたいな。そういったことが3年間、まったくなかったので、そこは心残り。普段から親にも『オーラがない』と言われるくらいオーラがないので、溶け込みすぎちゃったのかもしれません」
4月2日に始まった「お迎え渋谷くん」は、「SixTONES」の京本大我さんが主演を務めていて、中川さんは、田辺桃子さん扮(ふん)するヒロイン・青田愛花の一番の理解者で、幼なじみの本田圭佑(ぽんちゃん)役での出演だ。マンガ原作の“うぶキュン”ラブコメディーとあって、中川さんの俳優キャリアの中では異色の作品となる。
「見ている人には、“ラブコメ”としての世界観を純粋に楽しんでもらいたい思いがある一方で、自分としては一つ成長するための大事な作品と捉えています。今まではシリアスな役が多くて、作品としてもミステリーやサスペンスがほとんど。たいがい刑事が出てきますし、それこそ自分が逮捕されたりして(笑い)。だからラブコメ自体、初めて挑戦するジャンルで、明るくて愛くるしい“ぽんちゃん”という役をどう表現するか。そこは課題でもあるのですが、こういった役をこのタイミングで経験できるのは、すごくありがたいなと思いました」
“ぽんちゃん”について、「ある時期の志尊淳さんや千葉雄大さんが演じられていたような、あざとくて可愛いキャラが自分の中での理想」と位置付ける中川さん。さらにコメディーは以前から挑戦したいと思っていたジャンルでもある。
「オーディションを受けて、勝ち取った役でもあるので、そこのうれしさもありますし、台本を読んでいても笑える作品で、自分が出ているシーンでは『笑わせたい』という思いもあるので、作品全体を通して、“ぽんちゃん”という存在を多くの方に可愛がってもらえるように頑張らないといけないなと思っています」