海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
俳優の上白石萌歌さん、窪田正孝さん、堤真一さんがMBS・TBS深夜の「ドラマイズム」枠で4月16日から放送される連続ドラマ「滅相も無い」に出演することが明らかになった。演劇的手法と映像的手法をミックスした斬新な群像劇ドラマで、中川大志さん、染谷将太さん、森田想さん、古舘寛治さん、平原テツさん、中嶋朋子さんも出演する。併せて、ビジュアルも公開された。
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物語は、日本に七つの巨大な穴が突如現れることから始まる。ビルより巨大な穴、雲を突き抜ける穴、都会の真ん中に現れた穴……。混乱し、さまざまな調査が行われたが、穴の正体はわからないまま。やがて人々は、穴とともに暮らし始めた。穴に入る者も多く存在したが、しかし、帰ってきた者はまだ誰もいない。
やがて「穴の中には救済がある」と説き、穴を神と崇める小澤(堤さん)が登場。小澤を教祖とする団体の8人の信者たちがリゾート施設に集まる。小澤が主張するルールでは、穴に入る前に「なぜ入ろうと思ったか」を話し、記録しなければならない。そして打ち明けられる8人のひそやかな人生の断面。打ち明けた先で、彼らがたどり着く未来とは……。
中川さんは幼い頃から怒り方がわからない20代の大学生・川端、染谷さんは小学生の頃の初恋の女性との再会を重ねる30代の菅谷、上白石さんはバイト先のオルゴール記念館で不思議な体験をする20代の松岡、森田さんは両親は日本人だが英国で生まれ育った21歳の青山、古舘さんは司法試験に落ち続け家族から無心している54歳の渡邊を演じる。
平原さんはSNSビジネスで成功するが大手ホテルから不当な扱いを受ける40代の起業家・真吾、中嶋さんは高校時代に交際した同級生が行方不明で音信不通になった50代の井口、窪田さんは小学生の頃、祖母の家で夢と現の境がわからなくなる経験をした30代の岡本を演じる。
監督・脚本を務めるのは加藤拓也さん。第67回岸田國士戯曲賞、第30回読売演劇大賞・演出家賞部門優秀賞を受賞。世界を変える30歳未満として「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」にも選ばれた。今作は加藤さんが初めて連続ドラマで全話脚本・監督に挑み、演劇と映像を交差させた完全オリジナル作品となる。
信者8人の会合シーンはロケーション撮影が行われた一方、それぞれの人生は全てスタジオセットのみで語られる。両親や友人など、語り手の人生にまつわる登場人物は、6人のスタジオキャスト(秋元龍太朗さん、安藤聖さん、鳥谷宏之さん、中山求一郎さん、宮田早苗さん、安川まりさん)が全話を通して出演。約150もの役をこなし、セットチェンジ、早着替えもスタジオキャストが映像内で行うという、編集に頼らないリアルタイムでの場面転換を試みた。
劇伴音楽を担当するロックバンド「UNCHAIN(アンチェイン)」はスタジオセットで実際に本人役として出演しキャストの芝居に合わせた音楽を奏でる。オープニングはイラストレーター・若林萌さんが担当するなど、各界の新鋭クリエイターが集結した。
ドラマイズム「滅相も無い」は4月16日からMBSで毎週火曜深夜0時59分、TBSで毎週火曜深夜1時28分に放送される。全8話。
キャストと監督のコメント全文は以下の通り。
SFとリアルが混在し、現実と非現実の境目が分からなくなる、この作品の世界観に惹(ひ)き込まれ、自分も是非参加したい。と胸が高鳴りましたが、その繊細で絶妙なラインを表現することは、僕にとって簡単ではありませんでした。加藤さんからいただく言葉の中にあるヒントを少しも逃さぬよう、そして巧みな共演者の皆様に飲まれぬよう、必死に過ごした時間はとても濃密で、ヒリヒリしました。
苦しかったり、苦かったり、つまづいたり、浮き足立ったり。人類の四苦八苦を見事に加藤拓也氏が一つの箱に閉じ込めて、それを穴へ突っ込んでくれました。このドラマの出来事は、皆さんの人生の中には無さそうに感じつつも、いや?これはなんか心のひだに触れてくるぞ? いや?これはもはや自分の事か?という物事が繰り広げられています。そのたくさんの匿名性がある感情に浸っていただけたら、とても有意義な時間を加藤氏からもらえるのではないかなと思っております。何せこのジェットコースターのようなリズムを感じてもらい、たくさんのモノを感じて頂きたいと願っております。
松岡役を演じさせていただきました、上白石萌歌です。まずは、ずっと憧れ続けた加藤拓也さんの世界に飛び込むことができたこと、心から幸せに思います。加藤さんの作り出す世界にはいつもなんとも言い表せないような不思議な引力があり、拝見するたびに私の心に新たな風を吹かせてくださいます。私たちの日常の延長線上にあるようで、どこか果てしなく遠い場所にいざなわれるような、唯一無二の質感。リアリティとフィクションとが交差する世界観に、いつも身ごと持っていかれそうな心地のよい危うさが好きです。生きていくなかで避けては通れない苦しみや葛藤と私たちはどう向き合っていくべきなのか、考えを巡らせながら演じました。早くみなさまにもこの「滅相も無い」を体験してほしいです。お楽しみに!
青山役を演じました、森田想です。再び手元へやってきた加藤さんの書く言葉は、わざと見過ごしていた痛みや苦しみをすくい上げてあっけらかんと突きつけてくる、恐ろしくて笑ってしまうほどに。当たり前にこちらの想像力では到底たどり着けない場所に立たされ、まるで感情単体が自分から放り出されるような本当に不思議な感覚を抱きました。そして、小さな存在の私にとってはあまりに彩り豊かな先輩方とリレーのように物語を運べたことは心を刺激されるぜいたくな経験でした。負った傷や後悔を背負い続け、思い通りにならない人生と欲の正体に向き合っていくことが出来るのなら、この作品を見て耳が熱くなる瞬間があるはずです。楽しみにしていて下さい。
加藤くんという才能あふれた作家と若い俳優たちとの仕事は楽しかったです。しかし半屋外の豪華邸宅で寒さに耐えながらの長時間の撮影は最年長者のおじさんにはなかなか大変でした。スタジオパートもセリフが多くて、覚えたつもりでも忘れてゆく脳みそと必死に闘いながら頑張りました。おじさんはいつも必死です。いい作品に仕上がってたらいいな〜。出来上がりが楽しみです。
最初、このお話をいただいた時にドラマで加藤拓也くんの作品に関われること、そして素晴らしいキャストの方々と共演できることに興奮しました。加藤くんの脚本はファンタジー要素はあっても、結局は人間そのものを描いていて、見る人に何かしらあてはまったり、「あぁ~何かわかるわその感じ」と共感出来るんじゃないかと思います。演出も俳優の感じたまま演じさせてくれて、演技のすり合わせもスムーズで本当にやりやすい。共演者の方々とも少ない時間でしたが、現場で楽しく作品づくりに没頭出来ました。各人物のいろいろなストーリーを楽しめる素晴らしい作品になっているので、是非ご覧になってください。
それは、心地よい違和感と、えもいわれぬ親和性が共存する世界観。未体験なのに、妙に肌なじみの良さがある……。まったくもって、奇妙な体験なのです。初めて脚本を読んだ時から、撮影の間も、撮影を終えてしまった今も、なんだか静かに興奮しています。誰かとシェアしたいけど、非常に個人的な感覚のような気もしていて、なにやら胸がドキドキします。大人になって、こういう気持ちになったことって、あったかなぁ。早く誰か、「滅相も無い」という体験を共有出来る人が現れてくれないものかと、実はひそかに待っているところです。
加藤くんとまた仕事ができて心底うれしかったです。脚本も演出も斬新でとても刺激的な現場でした。日常に突如巨大な穴が現れて、それがどこにつながってるかも分からない。天国なのか地獄なのか。その人にとって都合のいい理由でいつでも入ることができる穴が存在したら人にはどんな心理が働くのか。清算したい過去、トラウマ、カルマ、人間の真髄が描かれた群像劇をお楽しみください。
加藤拓也監督の独特の感性が詰め込まれた、とにかく不思議な作品なので、撮影に入るまでも悩む日々が続いたんですが、楽しく撮影することができました。でもきっと登場人物たちに共感できる部分がたくさんあると思うので、物語をどう解釈するか、自分たちだったらどうするか、そんなことを考えながら見ていただけたらと思います。とにかく、出来上がりをすごく楽しみにしています。
映画や演劇を作ってきましたが、演劇をやれば映像的だ、映画をやれば演劇的だと言われることに嫌気が差し、今回はそのどちらの手法をも持ち込み、そのどちらでもない『滅相も無い』というドラマを作りました。映画的、演劇的の定義がハッキリとしている前提です。このドラマに集まってくれた俳優、スタッフ、それから2023年2月、松本市で演劇をしている時に会いに来てくれたプロデューサーたちのおかげで、このドラマは産まれることができました。この場を借りてお礼申し上げます。そしてこれから観客の皆さんも最後までお楽しみください。
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