俳優の渡辺謙さんが、2025年放送のNHK大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」に田沼意次役で出演することが10月5日、分かった。同日、NHK放送センター(東京都渋谷区)で行われた会見に出席した渡辺さんは「田沼意次といえば賄賂政治とか……教科書でも僕はそういうふうに習ったのですが、身分が低いとこからトントン拍子で出世して老中となり、経済を主にした国づくりをしようとしていた先見性のある人だということを知りました。『おぬしも悪よのぉ』みたいなイメージを払拭(ふっしょく)するような全く違う人物像をお届けできたら」と意気込んだ。
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今作で田沼意次は、主人公の蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう、横浜流星さん)の人生に大きな影響を与える一人として、描かれる。人物紹介文は「足軽身分の出自から大名まで成り上がった“稀代の老中”」。
会見に出席した制作統括の藤並英樹さんは「田沼意次が藩主だった相良藩……現在の(静岡県)牧之原市では名君としてたたえられている」といい、「謙さんもおっしゃっていた通り、賄賂政治家とか汚職のイメージが強いですが、研究者の方とお話すると『とても時代を変えようとしていた人物、お米の経済を貨幣経済に変えて経済を立て直そうとしていた』と。時代を改革しようとする、ある意味世界に目を向けた存在」だったと説明。また「そんな大きな存在を演じられるのは、渡辺謙さんしかいないと思い、オファーしました」と起用理由も明かした。
藤並さんは、田沼意次が身分の違う蔦屋とどのように関わっていくのかについては「ドラマの都合にならない出会い方にしたい。当時の常識であったり、身分の違いを大事にしながら、視聴者がこれ変だよねってならない出会い方や関係性を描いていきたいです」と話した。
蔦屋が賄賂を渡すのか質問されると、「どうですかね」と笑い飛ばし、「賄賂というものをどう捉えるかだと思います。研究者に聞くと、この時代は“付け届けあいさつ”みたいなものは日常茶飯事だったと。蔦屋重三郎が、田沼意次に付け届けをするかは今のところ全く分からないです」と述べた。
「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」は64作目の大河ドラマで、日本のメディア産業やポップカルチャーの礎を築いたとされる蔦屋重三郎の生涯を描く。制作側は「親なし、金なし、画才なし……ないない尽くしの生まれから“江戸のメディア王”として時代の寵児(ちょうじ)になった快男児」と銘打つ。脚本を、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013~14年)や、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年)などを手掛けてきた森下佳子さんが担当する。
この日は喜多川歌麿役で染谷将太さん、田沼意知役で宮沢氷魚さん、鱗形屋孫兵衛(うろこがたや・まごべえ)役で片岡愛之助さんが出演することも発表され、会見に出席した。
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