どうする家康:溝端淳平が“最初のライバル”として存在感 「偉大な父を持つ男」の孤独と悲哀まざまざと

2023年大河ドラマ「どうする家康」第6回場面カット 今川氏真演じる溝端淳平さん (C)NHK
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2023年大河ドラマ「どうする家康」第6回場面カット 今川氏真演じる溝端淳平さん (C)NHK

 松本潤さん主演の2023年NHK大河ドラマどうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)。2月12日放送の第6回「続・瀬名奪還作戦」では、主人公の元康(後の家康、松本さん)が妻・瀬名(有村架純さん)と二人の子を、その手に取り戻すことに成功したが、最後まで立ちはだかったのが、今川義元(野村萬斎さん)の嫡男・今川氏真(溝端淳平さん)だった。氏真役の溝端さんは「どうする家康」が初の大河ドラマ。「偉大な父を持つ男」の孤独と悲哀を、まざまざと感じさせる演技で視聴者を魅了した。

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 ◇頼りにしていた元康の寝返りで“闇堕ち”

 氏真は、坊ちゃん育ちのプライド高い御曹司だが、実は偉大な父を持つがゆえの劣等感に苦しむ。今川家を譲り受けるが、桶狭間の戦いで義元が討ち死にしたことで、その運命が大きく揺らぐ。キャッチコピーは「なすことすべて裏目に出る」。

 ドラマには第1回「どうする桶狭間」(1月8日放送)から登場。瀬名をめぐる“直接対決”に敗れるなど、父・義元が目をかける元康に対してコンプレックスを感じてはいたものの、当初は今川家臣としての元康を頼りにしていた氏真。しかし、その関係性は第3回「三河平定戦」(1月22日放送)の終盤、元康が織田側に“寝返った”ことで激変する。

 元康が今川側の吉良義昭(矢島健一さん)が守る東条城を攻め落とすと、氏真は激怒し、駿府に残った三河衆を次々と処罰。さわやかなイケメンとしてのイメージの強い溝端さんの“闇堕ち”演技も話題となった。

 以降、溝端淳平“氏真”は、粘着質なキャラクターに変貌。第4回「清須でどうする!」(1月29日放送)では、瀬名が自分のモノにならないことが分かると逆上し、元康に宛てて血のメッセージを送らせ、視聴者をゾッとさせた。

 ◇今川義元の嫡男としてのプライドを何とか保つ?

 続く第5回「瀬名奪還作戦」(2月5日放送)で元康の「瀬名奪還作戦」が失敗に終わると、「寛大な処分」を求める声を一蹴し、瀬名ら関口家の人間に対して、今の自分の力を見せつけるように「死罪」を宣告する。そんな氏真の、「偉大な父を持つ男」の孤独と悲哀が描かれたのが、第6回「続・瀬名奪還作戦」だった。

 同回では、元康が鵜殿長照(野間口徹さん)の二人の息子を人質に取り、瀬名らとの交換を申し出るが、氏真は元康を「薄汚い逆賊」と呼び、取引に応じる姿勢を見せるどころか、人質交換の談判のため単身で今川本陣へとやってきた石川数正(松重豊さん)もろとも、瀬名とその家族の首をはねようとする。

 しかし、ここで瀬名の母・巴(真矢ミキさん)が声を上げる。巴は「お気持ちが高ぶると抑えられず、ついわめき散らす。私がお守りをしていた幼き頃から少しもお変わりにならぬ。そんなことだから、皆、離れていくのです!」と氏真をいさめると、自分たち夫婦の命と引き換えに、娘の瀬名と二人の孫を助けてほしいと訴える。

 さらに巴の夫の氏純(渡部篤郎さん)が、(人質交換を受け入れ)長照の息子を救ってほしいと頭を下げると、続く巴の「義元公ならば、必ずや、そうなさいましょうぞ!」、氏純の「我らとて、今川家が衰えていくことなど望んではおりませぬ」といった言葉に、何とかプライドを保ちたい氏真は……と展開した。

 ◇失わなかった存在感と威厳 ぬぐいきれない孤独さと悲哀

 その後、元康の前に姿を現す氏真だったが、川を挟んで元康と対峙(たいじ)しつつ、遠ざかる瀬名と二人の子の背を見つめる姿が印象的だった。

 鉄砲を構える家臣に一度は合図を送ろうとするも、長男の竹千代が「父上! 父上! 父上! 父上!」と元康を呼ぶ声にハッとし、思いとどまった氏真。そのとき胸に去来したものはなんだったのか。最後は元康とにらみ合うなど、ライバルとして存在感と威厳を失うことはなかったが、同時にぬぐいきれない孤独さと悲哀を感じずにはいられなかった。

 当然、「溝端淳平さん、いい演技してる」「溝端淳平、いい役者になったなぁ…」といった感想がSNSには書き込まれた。

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