ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
大ヒットマンガ「五等分の花嫁」で知られる春場ねぎさんの「戦隊大失格」がテレビアニメ化されることが12月6日、発表された。原作は、悪の怪人軍団の末端戦闘員である戦闘員Dが、正義の味方だと思われていた竜神戦隊ドラゴンキーパーと戦う異色のアンチヒーローマンガ。「TIGER & BUNNY」「いぬやしき」などで知られ、スーパー戦隊シリーズなどにも参加してきたさとうけいいちさんが監督を務めることも話題になっている。アニメでアンチヒーローマンガをどのように料理するのか? さとう監督を直撃した。
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さとう監督はスーパー戦隊シリーズ「百獣戦隊ガオレンジャー」「忍風戦隊ハリケンジャー」などのキャラクターデザインを手掛けるなど数々の特撮ドラマに参加してきた。「戦隊大失格」は、特撮ドラマを知り尽くしたさとう監督の目にどのように映ったのだろうか?
「タイトルに『戦隊』と入っていますし、僕も長く戦隊ものに参加してきたこともあって、薦められて読んだんです。いわゆる王道の戦隊ものとはドラマの方向が違う。僕もヒーローものを過去に手掛ける中で、時代、その先を見据えたものを作ってきましたし、ヒーローものに対するアンチヒーロー作品は海外にもあります。企画として面白いと思いました」
「戦隊大失格」は、2021年2月に「週刊少年マガジン」(講談社)で連載を開始。主人公は、毎週末、地上侵攻を繰り返し敗れ散る怪人たちの下っ端戦闘員として戦う名もなき戦闘員D。怪人たちの侵攻を食い止める竜神戦隊ドラゴンキーパーは、全人類から羨望(せんぼう)のまなざしを向けられていたが、実は怪人側が必ず負けることを義務付けられた茶番劇だった……という設定だ。戦闘員Dが、怪人たちにやりたい放題の“とんでもスーパー戦隊”をぶっ潰すため、立ち上がることになる。アンチヒーローものをアニメでどう表現していくかが注目される。
「どのくらい失格なのか? その部分をどう描くかが大きくなると思います。原作はキャラクターを通して横軸、縦軸にストーリーが広がっていますが、アニメは限られた本数、尺で表現しなければいけません。主人公である戦闘員Dがどういう目的で挑んでいるのか? 戦隊を失格気味な連中に対してどう挑んでいくのか? そこをブレないように取り組もうとしています。連載中の作品なので、ドラマが進行しています。ちょっとした表現でも、どこに対するブラフなのか?を映像の中で明確にしていこうとしています」
さとう監督は「アニメとマンガの週刊連載では表現が違うところもあります」とも話す。
「テレビのフォーマットでドラマを進行させる上で、回り道はそうそうできない。主人公の戦闘員Dがセンターにいて、戦隊のレッドキーパー/赤刎創星、強い意志を持って行動する訓練生の桜間日々輝も含めて3人の行く末を描いていく。リベンジものでもあるので、そこをうまく表現していきたい。最後はどうやって回収するんだ?というところも気をつけないといけない。D、レッド、日々輝の立ち位置をブレずに描き、見終わった後、ある程度カタルシスがなければいけない。その仕掛けを考えています」
「戦隊大失格」は、単なる悪、正義の戦いを描くわけではない。アメコミを含めてアンチヒーローものは珍しくないが、善であると信じられているヒーローを別視点で描くことによって、既存の価値観が覆る気持ちよさがある。正義とは何か?を問い直すことにもなる。
「僕の世代は『ウルトラマン』『仮面ライダー』などが誕生するタイミングに立ち会っていますし、自分もヒーローものを手掛けてきました。悪から生まれてきて、裏切るというものはありましたが、ヒーローは必ず善として描かれてきました。ある程度、作品が出そろった時、違うことも考えるようになった。『TIGER & BUNNY』をやろうとしたのは、大人がヒーローの力を持ってしまった時にどうするのか?ということです。それまでのヒーローものをひっくり返そうとしました。『ザ・ボーイズ』のようなドラマもあるし、『HEROES/ヒーローズ』では、ヒーローが抱えているものが描かれています。『ウォッチメン』のような作品もあります。道徳的に見えていたものを悪として描く時、悪として筋を通さないと格好悪くなる。そこを立てていこうとしていますし、春場先生にも確認をさせていただきました」
劇中に登場する竜神戦隊ドラゴンキーパーは、ヒーローではあるが“悪”を感じさせるところもある。
「口元をあえて見せていて、口の表情があります。いつも笑ってるキャラもいれば、口元をマスクで隠してるキャラ、口の周りに傷があるキャラもいます。レッドは、爽やかなふりをしながらも、口角が上がっている。何かを裏切っていることがしっかり表現されています。デザインも既存のヒーローとは、いい意味で少しずらしています」
「戦隊大失格」をアニメ化するにあたって、大切にしようとしていることの一つがアクションだ。
「最初は、人間ドラマを中心としたサスペンス要素を強調して、アクションはあんまりやりすぎない方がいいのかな?とも考えていたのですが、アクションをモリモリにしてくださいという話がありました。アニメだからできる表現を考えていますが、ファンタジーになりすぎないように、地に足を着けたアクションにしようとしています」
特撮的なアクションもアニメで表現しようとしている。
「飛躍した方が楽なんですど。特撮番組のお得意の表現をうまくアニメでできればと思っています。ワイヤで釣っているみたいなアクションですね。ワイヤを描くわけではないのですが。セットであることがバレているようなことも表現するとか、昔の特撮はカラーの粉末を入れて爆発させていましたが、ああいう表現もやっていきたい。やりすぎているくらいが面白いでしょうね。格好いいけど、やりすぎだろ!となるような。特撮のかぶき的なキレの格好よさがありつつ、オチもしっかり描こうとしています。身体能力の高さもアクションで表現しようとしています。パルクール的な表現をしようとしているのですが、大変です。CGでやらないことにしたんです。手描きで外連味(けれんみ)を表現しようとしています。作画のカロリーが高いですから、スタッフの戦力を固めていかないといけないですね」
「王道のヒーローものもやってきた僕が、アンチヒーローを撮る。僕の演出が入ることで、よりトリッキーに見えるキャラクターも出てくると思います。原作を読んでいただき、どう料理するんだろう?と楽しみにしていただければ」と語るさとう監督。アニメの詳細はまだ発表されていないが、期待が高まる。
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