久野美咲×石毛翔弥:西村純二×押井守のアニメ「火狩りの王」 掛け合いで“相乗効果”実感

「火狩りの王」に出演する久野美咲さん(左)と石毛翔弥さん
1 / 4
「火狩りの王」に出演する久野美咲さん(左)と石毛翔弥さん

 日向理恵子さんの長編ファンタジー小説シリーズが原作のオリジナルアニメ「火狩りの王」が2023年1月14日からWOWOWで放送・配信される。同作は“火”をテーマにしたファンタジーで、「SAMURAI DEEPER KYO」などの西村純二さんが監督を務め、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー the Movie」などの押井守さんが構成、脚本を担当。人類最終戦争後の世界を舞台に、子供たちが多くの困難に直面しながらも懸命に生きる姿が描かれる。主人公・灯子(とうこ)を演じる声優の久野美咲さん、首都に暮らす15歳の元学生・煌四(こうし)を演じる石毛翔弥さんに、作品の魅力などについて聞いた。

あなたにオススメ

 ◇押井守脚本は「ものすごく分かりやすい」

 --出演が決まった際の感想は?

 久野さん 本当に本当にうれしかったです! 正直に言うとプレッシャーもあったのですが、任せていただけたことはとてもありがたいことだと思いますし、作品と灯子に精いっぱい、誠実に向き合っていきたいと思いました。

 石毛さん 率直にうれしかったです。西村純二監督、脚本の押井守さん、音響監督の若林和弘さん……ほかにも豪華なスタッフで作るアニメに参加させていただけることに、喜びだけではなく、プレッシャーなどいろいろなものを感じていましたが、それらも全部含めて、ただただ本当にうれしく思いました。

 --作品の魅力は?

 久野さん 原作では、登場人物や用語がたくさん出てきて情報量が多いので、アニメの短い尺にどうやってまとめるのだろう?と思っていたら、押井さんの脚本がものすごく分かりやすい構成になっていて。灯子は村、煌四は首都で生活していて、場所も環境も違いますし、関わる人物もそれぞれ違うんです。それなのに、とてもきれいに分かりやすい流れになっていて、感動しました!

 石毛さん 原作を読んで五感がすごく動かされる作品だと思いましたが、アニメーションになると、いろいろな制約もあるかなと思ったんです。でも厳選したものを入れ込んでいて、原作で感じたものをより鮮明な形でアニメになっていると感じました。

 ◇人見知りの灯子に共感

 --演じるキャラクターの印象は?

 久野さん 灯子は人見知りなところがあって、考えていることや感じていることを相手に言葉で伝えるのにちょっと時間がかかってしまう女の子です。すごく自分に似ているな、と思いました。特に、私が灯子と同じ11歳くらいの時は、相手の言葉に対して、即座に答えられなかったんです。頭の中ではちゃんと考えているのに、これを言ったら相手はどう思うかな?といろいろ考えてしまって、結局何も言えずに終わる……という経験がたくさんあって。大人になった今でも、時々そういうことがあるので、すごく共感できました。灯子の感情の流れや心の動きなど、今までの経験が役作りに生かせたと思います。

 石毛さん 煌四は15歳ではあるけれど、精神的な部分を含めるとすごく大人びていて、落ち着いています。時々、15歳らしさも見せます。大人ではなく、子供でもないという絶妙なバランスで。不安な部分もたくさんありつつ、しっかりしなきゃいけない!というところは、30歳を超えた今の僕にも共通する部分があります。

 久野さん 私もです!(笑い)

 石毛さん 本当ですか?(笑い)。僕は灯子のどこかしら芯のある、軸のある部分を久野さんにも感じていますし、すごくしっかりしているなという印象でした。ただ、いろいろお話を聞くと、そう思っていたんだな……という気付きもありましたが。

 久野さん お仕事の時はやっぱり、しっかりしなきゃ!という気持ちが一番にあるんですよね。緊張などで不安でいっぱいなのですが、なるべくそれを表に出さないようにと努めてはいます。だだ漏れしてしまう時もあるのですが……。

 石毛さん 灯子も煌四も、そういう部分は絶対にありますよね。僕と久野さんもお互いにそういう部分を持っているから、いい方に役に作用できたのかなと思います。

 久野さん 灯子も煌四も、しっかりしなきゃ!といつも思っているんですよね。まだ子供なのにすごく過酷な経験をしていて、頑張らなくちゃいけない状況なんです。しっかり自分の足で立とうと頑張っている2人には、とても勇気をもらえますし応援したくなります。

 --久野さんは、石毛さんと共演した印象は?

 久野さん 翔弥さんが主人公役で出演されていたアニメ「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」で初めてご一緒させていただきました。その時から役への向き合い方が本当に真っすぐで誠実だなと感じていて。この役をどう表現したらいいんだろう?と考える時に邪念がないというか。一緒にお芝居をしていて、真正面から役の気持ちに寄り添うことができる方だなと感じました。一緒に現場にいると私もシャンとできる。真面目に、より真剣にアフレコに臨めています。

 石毛さん もし現場でそうお芝居ができていたのであれば、久野さんに引っ張っていただいたんです。

 久野さん そんなことないです(笑い)。でも本当に、2人ともすごく集中できていますよね。

 石毛さん そうですね。前半から重厚なストーリーが展開されていきますが、特に2人が出会うシーンはすごく集中力が必要なシーンなので、そういった意味では、お互い相乗効果で掛け合いができたのかなと思います。

 久野さん 2人の会話のシーンは、2人だけでアフレコさせていただいたんです。スタッフさんのおかげで、初めて出会うシーンは、丁寧に時間をかけてやらせていただいたので、お互いがどんどん役に入っていく感覚があって、すごく楽しかったです。萎縮しちゃうような緊張感じゃなく、気持ちのいい緊張感の中でお芝居できた気がします。

 ◇火を見ると安心

 --“火”をテーマにした作品です。“火”と聞いて思い浮かぶことは?

 久野さん 身近なものだと感じますね。日常でお料理する時も、お風呂に入る時も火がないと生活できないので、もしなくなってしまったら困ってしまいます。なくてはならない、ありがたい存在だと思いますけど……翔弥さんはどうですか?

 石毛さん 僕はめちゃめちゃインドアなので、たき火をすることはないんですけど、たき火とか、今の時期のように寒くなってきた時に、やっぱり火に当たると、なにか安心します。動画でもいいですが、火のパチパチしているのを見て……。

 久野さん 私も好きです! たき火の、あのパチパチする音も心地よくて癒やされますよね。

 石毛さん 癒やされますよね、見ているだけで心が安らぐ。ふと自分について思い返すことができるとか、そんなふうに接することができるものですね。

 「火狩りの王」の第1話は、1月14日午後10時半にWOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信。第1話無料。

写真を見る全 4 枚

アニメ 最新記事