ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の金城宗幸さん原作、ノ村優介さん作画のサッカーマンガが原作のテレビアニメ「ブルーロック」が、テレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation(ヌマニメーション)枠」で10月8日深夜1時半から放送される。原作は累計発行部が1000万部を突破し、第45回講談社漫画賞の少年部門に選ばれた話題作で、新人声優の浦和希さんが主人公・潔世一(いさぎ・よいち)役に抜てきされたことも話題になっている。初主演となった浦さんは、先輩の演技に刺激を受け、貪欲に吸収しながら潔を演じているという。話題の新人声優の素顔に迫る。
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「ブルーロック」は、「週刊少年マガジン」で2018年から連載中。日本をサッカーW杯優勝に導く“絶対的エースストライカー”を誕生させるための国を挙げたプロジェクト“ブルーロック(青い監獄)”がスタートし、集められた300人の高校生が戦いを繰り広げることになる。ストライカー300人の生き残りをかけたバトルロイヤルを描くという斬新な設定、個性的なキャラクターが人気を集めている。
浦さんは連載が始まった当初から同作を読んでいて、衝撃を受けたという。
「原作の第1話から読んでいたので、アニメのオーディションを受けさせていただくことになり、アニメ化するんだ!と衝撃を受けました。自分が好きな作品のオーディションを受けるという発想がなかったので、すごくうれしかったです。とても大好きな作品に出演できなかった時のショックって大きいんですよ。ずっと引きずるんですね。自衛の気持ちもあって、マンガを読みながら、自分以外が演じるとしたら?とキャスティングを考えていました。でも、やっぱり自分が潔を演じたかったんです。声に出して読むと、現実味を帯びてしまうので、心の中の声を出しながら、読んでいました。ただ、大好きな作品だったからフラットに読みたかったんです。そんなふうにいろいろと考えていましたが、まさか本当に自分が演じることになるとは……」
「ブルーロック」は、これまでにないサッカーマンガだ。浦さんは「自分が一番になる!というメッセージ」に驚いたという。
「エゴイストという言葉を使っていますし、自分が!自分が!といういう気持ちがとても強い作品です。普段はなかなか言い出せないような言葉で表現しているのが新鮮です。フォワード同士で戦うことによって、ディフェンダーやセンターバック、ゴールキーパーなどの大切さも学べるんです。それに、潔が挫折していて、最初から勝ち組じゃないっていうのが自分の中にすごく刺さりました」
潔は挫折したことをきっかけに人生を変えようとする。浦さんは、そんな潔に自信を重ね合わせている。
「僕も受験などで挫折した経験があり、自分に重なる部分がすごく多かったんです。気持ちがよく分かるし、潔のようなエゴもあります。僕は空手を習っていたのですが、負けるつもりでやっていたのかというと、そんなことはなくて、勝つためにやってるし、優勝したいって思って頑張って練習していました。でも、仲のいい人が勝つんだったらいいかな? 尊敬してる先輩が勝つんだったらいいかな?とも思っていたんです。『ブルーロック』はそんな考えをぶち壊してくれたんです。自分のことなんじゃないか?と錯覚するくらいの勢いで没頭して読んでいて、潔に自分を投影して、作品の世界に浸りました。潔の魅力は自己投影がしやすいところもあると思います」
浦さんは、潔に共感するところがあったようだが、最初に演じる際は迷いがあった。
「原作を読んでいる時から、優しい子なんだなと思っていました。いろいろなキャラクターと対等に渡り合ったりもしますし、人当たりのよさもあり、冷静さもあります。ただ、声の高さがずっと分からなかったんです。高校生だけど体格はしっかりしていて、そんなにクセのない声で、声を張らないタイプなのかな?とは考えていたんですけど。高さが決まらならい中でのオーディションで、どうしよう?と悩みました。最終的に、自分が無理をした音域だと、自分のお芝居が全部乗っからないような気がして、自分の地声でいこう!となりました。潔が立っている姿をイメージをして、こんなふうにしゃべるだろうな?と想像だけして、ナチュラルに演じようとしました。収録が始まると、声の高さについてはディレクションがなくて、自信が付いたのですが、同時に任されているというプレッシャーがすごくありました」
小野友樹さん、斉藤壮馬さん、中澤まさともさん、松岡禎丞さん、千葉翔也さん、仲村宗悟さん、神谷浩史さん……と豪華声優陣が集結したことも話題になっている。そんな中で主演に抜てきされた浦さんは収録を重ねる中で成長を実感している。
「先輩方にも『成長している』と言っていただき、いい意味で第1話の時の自分とは違うと感じています。潔も作中で成長していますしね。最初、監督に『浦君が新人なのは分かっている。だからこそ潔と一緒にこの作品で成長してほしい』という言葉をいただき、自分にできるの?とすごく悩みました。そもそも成長とは何だろうと。台本を読み込んで、ディレクションをいただき、必死にやるしかないんですね。目の前のことをどうにかしなきゃいけない」
新人だから……と言い訳にしたくない。貪欲に吸収しながら、潔を演じきろうとしている。
「潔は洞察力がすごく鋭い。自分も洞察力を鋭くしなきゃいけない。じゃあ、台本を読む時にどうすればいい? 先輩たちはどうやって読んでるのか?と気になったんです。音響監督に『先輩の収録を見学させてもらえませんか』と相談しました。先輩の演技を聞きながら、先輩はこうしているんだ……と洞察力、観察力が養われていったように感じています。音響監督に『すごくよくなってるから、このまま頑張ってください』と言っていただいた時は、泣きました。潔と一緒に歩み、前に進めていることがうれしいです」
「ブルーロック」が初主演となった浦さん。座長として意識していることがある。
「座長は皆さんをまとめなければいけないのですが、じゃあ実際に何をするんだ?と具体的にどうしたらよいか分からなかったんです。(國神錬介役の)小野友樹さんと一緒に収録させていただいた時、『何をすればいいんですか?』と聞いてみたら『何もやらなくていいんだよ。大丈夫、僕らいるから』『本気でやっているぞ!という姿勢でやっていればみんなもそれに感化されてどんどん君に付いていくから』と言っていただいたんです。小野さん、格好よすぎますよね! 迷いが吹っ飛びました。『この作品の中で一番頑張ってる人誰ですか?』となった時に真っ先に『僕です!』と言えるように努力しようとしています。コロナ禍で分散収録ですし、みんなで一緒に録(と)れないけど、だからといってそれを言い訳にしたくないんです。潔役である僕は、ほかのキャラとの絡みが多い分、いろいろな方と一緒に収録することも多いので、僕が皆さんをつなげる役になろうとしています。どんな大先輩であろうが、話をするようにしています。皆さん、優しいんです。本当に優しすぎて泣きそうです」
浦さんは笑顔でハキハキとしゃべり、言葉の節々から熱い思いが伝わってくる。「自身の強み」について聞いてみると、少し照れながら「フレッシュさ……」と話してくれた。
「自分で言うのもあれですけど、フレッシュさだと思うんです。先輩に『今しかないフレッシュさがある。それは武器だから、前面に出して頑張っていけ!』と言っていただけることがありました。悪い意味で慣れてしまってはいけないんです。何でも初めての仕事です!くらいの気持ちで臨んでいます。課題もたくさんありますし、そこをちゃんとブラッシュアップしつつ、誰よりもフレッシュな気持ちでいようとしています」
確かにフレッシュさが魅力ではあるが、冷静に周囲を見ているようにも感じる。
「僕は本来、すごくネガティブな人間なんです。いろいろなことを斜めに見てしまうことがあったのですが、ネガティブでいても、人生が楽しくない……と思い、裏返ってポジティブになろうとしたんです。ネガティブなのは悪いことばかりではなくて、例えば失敗した時にどうする?という選択肢が想像できますし、改善策を考えることができます。ポジティブになってもそこは変わらないんですね。
ポジティブになれたきっかけも気になるところだ。
「声優を目指し始めた時です、それまでは、何をやっても無理、努力するだけ無駄だと思っていました。でも、声優という職業に出合い、声優をやりたい!となった時、険しい道ですし、ネガティブな自分のままだと、きっと難しい……と思ったんです。自分を変えるほど声優になりたかったんです。ポジティブになることで、気持ちが軽くなったところもあります」
浦さんは話題作「ブルーロック」の主演という大役を全うするために、全力で収録に臨んでいる。今後、どんな声優になっていくのだろうか……。
「僕は、先輩声優の皆さんのお芝居で人生が変わりました。いつか、誰かの人生を変えられるようなお芝居をしてみたいです。明日頑張ろう!夢のために頑張ろう!とプラスのエネルギーを伝えていけるような演技力を身につけたいです。この先、何年かかるか分からないですけど、持ち前のポジティブさとネガティブさで頑張っていきたいです。この現場で声優として成長させていただいています。自分は本当に幸せ者ですね。『浦和希に潔をやらせて本当によかった』とスタッフの皆さんに言っていただけるように頑張りたいです」
「ブルーロック」について「映像を見た時は、言葉にならない思いがありました。スタッフの皆さんの汗と血の結晶が注ぎ込まれています」と熱く語る浦さん。潔は無名のフォワードだったが、成長し、才能を開花させていく。新人の浦さんも潔のように大きく羽ばたいていくことに期待したい。
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